今年もドバイ・ワールドカップと同じ週に高松宮記念。

世界を目指して遠征するのが当然の時代。今年も大挙、日本馬が空を飛んだ。馬もさることながら日本のトップジョッキーも騎乗に行く。同じ週に日本のGⅠがあることが問題だ。

調べると1996年に中央競馬の短距離競走体系が整備、高松宮記念が1200芝に短縮されGⅠに昇格。最初の4年は5月に施行。2000年に3月に変更された。ほぼ同じ時期にドバイワールドCシリーズもスタートしている。高松宮記念が後に変更した事もあるのだから、1週でもズラすだけでスッキリした筈なのに残念だ。

本題に入ろう。3年前の2歳女王、レシステンシア。路線を短かくしたのが昨年のここから。1番人気でクビ負け、スプリングSでも2着とGⅠ勝利に届いてないが今年こそだ。鞍上に若武者、横山武史を迎えた。阪急杯勝ちのダイアトニック、シルクS快勝のメイケイエールと役者には事欠かない。

【阪神大賞典の回顧】

22年3月20日(日)阪神11R 阪神大賞典(G2、芝3000m)
  • ディープボンド
  • (牡5、栗東・大久龍厩舎)
  • 父:キズナ
  • 母:ゼフィランサス
  • 母父:キングヘイロー
  • 通算成績:16戦5勝


5月1日の天皇賞・春(芝3200m)の勝者にもっとも近い存在であろうディープボンドの今年の緒戦、阪神大章典。ここで堂々たる結果で進めて行くのだろうと思っていただけに、アイアンバローズに1馬身も満たない着差での結果にやや不満を覚えるものであった。単勝120円が物語る圧倒的1番人気支持。2番人気マカオンドールが7・6倍であるから完全に1頭が図抜けた存在であった今年の阪神大賞典だった。

鞍上の和田竜二からはステッキを数えただけでも17発は入っていた。数字だけみれば上り3Fは誰よりも早い34・6であり、4コーナー手前からのロングスパートで長い脚を使っての勝利と完勝なのだろうがちと物足りなさを感じるものではなかったか。昨年の2着馬のユーキャンスマイルに付けた差が今年はコンマ6秒。昨年はコンマ9秒であるから昨年よりは差をつけている。昨年は重馬場で今年は良馬場、その差もあろうし相手関係も今年の方が生きのいい馬が多いのは確かではあったが。どうしても父のキズナに想いを重ねてしまうからだ。

父と同じく京都新聞杯を勝ちダービーへ進んだディープボンド。ダービーの結果は大違い、そこは仕方あるまい。フランスへ飛んで前哨戦は勝ったのも同じ、本番では息子は惨敗。父と比較する方がいけないのかも知れない。だが父がなし遂げなかった天皇賞勝利を託せるのは今、ディープボンドがいちばん近い。昨年の天皇賞はワールドプレミアにいい脚を使われて2着。暮れの有馬記念では年度代表馬のエフフォーリアに屈したが内容は遠征帰りとしては上々の結果だった筈。今年の初陣で8キロ増の馬体であるからひと叩きしてグンと気持ちも体も締まってくるのだろうと期待したい。

2着のアイアンバローズは暮れのステイヤーズSに続いての2着。長丁場はお手のもの、次はいよいよ初のGⅠ挑戦だろう。しっかり見届けた天皇賞の前哨戦だった。