2010年のショウワモダンで勝ち時計が1分31秒台に突入、3年前にはインディチャンプが1・30・9とついに30秒台まで早くなった。このまま好天が続くと時計が要求されるレースになるかも知れない。昨年は3歳馬のシュネルマイスターが3着と善戦した。過去20年での3歳馬勝利は2011年のリアルインパクト(堀厩舎)で意外と少ない挑戦だ。

今年はセリフォス(中内田厩舎)がNHKマイルから進めてきた。朝日杯2歳Sでドウデュースの2着、1番人気支持の4着はらしくない負けだが今回は4キロと古馬との斤量差は大きいだろう。シュネルマイスターの今年初戦がドバイ。敗戦となったがそこでの負けからどれだけ立ち直っているのか。関東ではイルーシヴパンサー、関西馬はソウルラッシュ。共に条件から4連勝で重賞勝ち。メンバー最速の上りでの勝利、共にマイル適性がいい。東京コースで抜群のイルーシヴパンサーに期待する。

【日本ダービーの回顧】

22年5月29日(日)東京11R 日本ダービー(G1、芝2400m)
  • ドウデュース
  • (牡3、栗東・友道厩舎)
  • 父:ハーツクライ
  • 母:ダストアンドダイヤモンズ
  • 母父:Vindication
  • 通算成績:6戦4勝
  • 重賞勝利:
  • 22年東京優駿(G1)
  • 21年朝日フューチュリティ(G1)


《豊コール》が湧いたらしい。上階の馬主席からのエレベーター内に居たからだろう。まったく知らなかったし、聞こえなかった。関係者の喜びで溢れるエレベーターの中で松島オーナーは涙でクシャクシャ。地下へ降りて、しばしドウデュースが帰ってくるのを待つ。地下道へ現れた。傍へ駆け寄りたい衝動を抑える。GⅠの時だけは誰よりも先に鞍上と握手と決めて近づいたエージェント時代の癖をグッと我慢する。通り過ぎる武豊J、前川助手、大江助手に声だけかける。馬場内から観るスタンドは人、人で溢れている。《6万人でこれか~》と驚く。記念撮影の輪に加わり、表彰式も眺めていた。多くのファンが動かない。まるで誰もがこの瞬間を待っていたかの様である。

そもそも出走馬が馬場内へ入ってそれぞれにキャンターで散って行く。その映像をカメラが追うのだがドウデュースの拍手がいちばん多かった。JRA映像で3人のジョッキーが映された。その時もいちばん最初に登場する武豊Jに場内がどっと沸く。やはり皆がこのジョッキーを待っているのだと感じた瞬間でもあった。

スタートからドウデュースしか観ていなかった。向こう正面で前の4頭の1馬身後ろでポツンと折り合っていい感じのドウデュースに《いい感じだな~》と。4コーナー手前から少し上がって直線に向いて外をビューンと伸びてくる瞬間に《勝ったな~》と思った。後ろに迫ってきたイクイノックスしか視界になかった。後で観るとグイグイと迫ってきていた様だったが、廻りも憚らず声を出していた。

完璧に導いた鞍上の仕事ぶり。皐月賞の負けは今日のこのダービー勝利のためにあったものだと確信した。朝日杯時に感じた操縦性の高いドウデュース。何事にも動じない性格も頼もしい。2019年生まれの3歳馬7522頭の頂点に立った。ダービーを身近で観させて貰った。やっぱり現場はいい。馬の匂いがたまらん!。