関西もいよいよ梅雨入り下の週明けである。週末の東京競馬の空模様が気になるところでもある。この2年はついに35秒を切る戦いに突入している3歳のマイルダート戦。2年前のカフェファラオは今年もフェブラリーSを勝つなど古馬となっても輝きを増している。

今年もそんな馬が居るのだろうか。ダート戦では負けなしのハセドン。その3戦ともに最速の上り脚での勝ち方は豪快だ。そしてジュタロウ。衝撃のデビュー戦から脆さを見せた3戦めを経て前走はスムーズならの強さを再確認できた。そして外国帰りの2頭。セキフウとコンバスチョンだが海外で強い処に揉まれてきた経験を活かせるのは今ではないだろう。NHKマイルからの参戦で勝ったワイドファラオに続くのかがインダストリアにタイセイディバイン。ダートを試すにはいい舞台なのだろう、怖い存在となるかも知れぬ。個人的にはラニの子供リメイクに注目している。楽しみな一戦だ。

【 函館スプリントSの回顧】

22年6月12日(日)函館11R 函館スプリントS(G3、芝1200m)
  • ナムラクレア
  • (牝3、栗東・長谷川厩舎)
  • 父:ミッキーアイル
  • 母:サンクイーン2
  • 母父:Storm Cat
  • 通算成績:8戦3勝
  • 重賞勝利:
  • 22年函館スプリントS(G3)
  • 21年小倉2歳ステークス(G3)


桜花賞でコンマ1秒と惜しい競馬をした旬の3歳牝馬、ナムラクレアが出走メンバー中でいちばん軽い50キロで戦えば2馬身半の完勝も驚かない結果でもあった。

JRAの全10場のなかでも最も短い直線、262・1mの函館競馬場。直線に入ってすぐの後200のハロン棒を通過する時に、自分の体のアクションでナムラクレアの手前を替えさせた浜中。そこから追い出して行ったがステッキを7発の叱咤激励。さすがにゴール前の2、3完歩は勝利を確信して少し流し気味。それまでの厳しい追い方を観る限りここは絶対に《勝つ!》の思いが伝わってくるものだった。

着差は2馬身半、これは5年前のやはり3歳牝馬ジューヌエコールがレコード勝ちした時と同じ着差。この時はシュウジが前半3Fを32・2と飛ばしに飛ばした産物でもあった。ビアンフェが昨年とまったく同じ32・8で行ったのだが、今年は次のハロン棒通過で2番手のレイハリアに簡単に抜かれてしまった。後1ハロンではもう気持ちも失せた感じで失速して行った。

目立ったのは2着のジュビリーヘッドではなく最内をスルスルと勢い良く伸びてきた3着のタイセイアベニールの勢い。今日で41戦目のキャリアで鞍上も20人目となった鮫島克駿。過去、当地で2着3回は2歳のデビューから3戦とまだ幼少時のもの。ミルコのプルパレイが進路を探し内から外へと切り替えたその後を風の様に通り抜けて行ったもの。

勝った浜中はゴールを過ぎて勝利のVサインを左手で示した。その後に頭をプルプルと震わせた。まるで岩田康成を観ているかのシーンであった。それほどに痺れる切れ味なのだろう。これで1200は3戦3勝。もちろん今年の最大目標は10月2日のスプリンターズS。父ミッキーアイルでGⅠ2勝の浜中。その子供でのGⅠ制覇が彼のテーマでもある筈。函館の青い空の下で絆をさらに深めたナムラクレアと浜中だった。