競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【チャンピオンズC】勝負のカギを握る3歳馬たち
2022/11/28(月)
昨年の覇者、テーオーケインズが盛岡でのJBCクラシックを快勝しての今回だ。昨年は金沢でのJBCで4着からの勝利だっただけに今年の臨戦態勢は十分であろう。この馬の負ける時はスタート。そこさえスムーズなら勝機は高い。10勝中の8勝を松山Jであげているし、この中京では3戦3勝のコンビだ。
私がもっとも肩入れしたいのはジュンライトボルト。ダートに転向した当初だけ2着だったが小回りの福島コースだっただけに仕方ない内容。その後の2戦がいい勝ち方で新潟、前走の中京と左廻りも文句なし。
3歳馬にもいい素材が。JBCでテーオーケインズの2着のクラウンプライド。ケンタッキーダービー参戦は大きな財産。これからだろう。ハピ、ノットゥルノにも注目だ。
【ジャパンカップの回顧】
22年11月27日(日)東京12R ジャパンカップ(G1)(芝2400m)
- ヴェラアズール
- (牡5、栗東・渡辺厩舎)
- 父:エイシンフラッシュ
- 母:ヴェラブランカ
- 母父:クロフネ
- 通算成績:22戦6勝
ジャパンカップのパドックで周回している馬を観ていた。そして《こんな歩様をしていたっけ?》と思った。
ダノンベルーガが歩いているのだが、右後脚の送りがあきらかに反対側よりも遅い、小さい。だから違和感がある。昔から良く耳にしていた《鳥脚》と言われる歩様だ。
今年の3歳世代はかなり秀逸で秋も結果を出している。ましてダービーで上位争いをしたダノンベルーガである。天皇賞3着からの前進は間違いないだろうと思って期待したのだ。天皇賞同様にシャフリヤールよりも絶対に先着する筈と思いこんでいた。パドックを観て、何か馬券を買いたくなくなったほどに嬉しくない歩きであった。
馬場入場や映る限りの返し馬を観た。《いざ走ったら気にはならない程度のものか・・》とやや納得した気持ちに収まった。しかしレースを終えた今、4コーナーでいち早く鞍上の手が動いていた。その後で何とか前にとりついて先頭にはなったけれども最後に脚もなくなった。あの不利がなくとも前の馬を逆転できる脚色ではなかったと思う。《やはりあの歩様は良くなかったんだ・・》と自分のなかで結論を出した。
それにしてもヴェラアズールの中割りの脚色であった。決してスムーズでない直線の内めでの馬群のなかをそれこそ間を縫って出てきた。最後も狭い間を抜いていくあの脚。もちろん馬に負けん気があるからだろう。重賞初挑戦での京都大賞典での勝利。そしてGⅠ初挑戦での今回と全てが規格外なのである。
3着のヴェルトライゼンデも一旦は内で先頭といい競馬内容だった。この馬も屈腱炎からの復活と我慢の時期があった馬。
5歳馬3頭が1、3、5着。デアリングタクトも最後にいい脚を見せてくれた。先週の重賞展望でジョッキーの順番で言えばR・ムーアの番かと触れたとおりになった。唯一当たったのがテーオーロイヤルが春と違うと言えたことだけ。情報の処理能力の甘さが残念だ。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。