アーモンドアイ

18年11/25(日)5回東京8日目11R 第38回ジャパンカップ(G1)(芝2400m)

  • アーモンドアイ
  • (牝3、美浦・国枝厩舎)
  • 父:ロードカナロア
  • 母:フサイチパンドラ
  • 母父:サンデーサイレンス
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1番枠を引いていなかったら、キセキの逃げを捕まえられなかったか。
それほどに、この最内枠を最大限に使ったC.ルメールの完璧な騎乗ぶり。馬も今や完成の域に達したアーモンドアイ。このコンビで走り抜けた時計が2.20.6の大レコードだ。ホーリックスとオグリキャップのデッドヒートが、2.22.2。それをアルカセットが破ってかなり経つ。
そんな過去を大幅に更新したこの2頭。逃げるキセキも立派だが、ゆっくり追いだしたルメールの上手さにも、今年の好調さが垣間見られた……。

生ファンファーレ後の手拍子と、絶叫に近い応援。10万人を少し切る程度だったらしいが、テラスを埋め尽くす人、人、人がアーモンドアイのJC勝利をひとめ見ようと駆けつけているかのように思えたスタンドの高揚ぶりだった。
オーロラビジョンに写しだされたJRAの造った映像。最後に『YES I、am Here』で最高潮に盛り上がる。何よりもスタンド前からのスタート。ゲートがスタートがモロに見えるのがいい。 注目は当然にアーモンドアイ。上へと出たように見えたが、すぐに外の馬よりも速かったと気が付く。キセキが出て行くが、すぐに2番手で並ぶ。ラチ沿いの最高の位置取りで最初のカーブに入っていく。スワーヴリチャードも、今日はゲートを上手に出て内へと入ってきた。ラチ沿いの3番手へ、難なく入った。

2コーナーを廻ってもキセキの逃げは緩めることなく、とっとと行くと言った感じ。2番手のアーモンドアイと外のノーブルマーズとの差が開いていく。かと言って、大きく離して逃げるという感じではない。
向こう正面になると、後ろで離れだす馬がいる。最後方が、外国馬のサンダリングブルー。その前がミッキースワローで、その前がムーア騎乗で凱旋門賞で5着のカプリ。もうここらで後ろの馬に出番がないのが判る。いや、もう前のそれもラチ沿いでレースを進める3頭、先頭のキセキ、2番手のイン、アーモンドアイ。そこから3馬身ぐらい後ろのスワーヴリチャードに絞られたと言ってもいいだろう。何よりもアーモンドアイがこの位置につけてレースをしていることの意味合いだ。鞍上のレースへの読みが、ピタっと当たっているのを感じるものだった。
結局はそのまま、その手応えのままに直線まで来て、最後に追い出しをラスト1F近くまで待ってと完璧、隙のない騎乗でJCを勝ちに行って勝ったのであった。強いアーモンドアイに巧いルメールのマッチしたレースであった。

スタートから最初の4Fまでに、12秒台が3回。1000m通過からズーッと押しなべて11秒台のラップを刻むキセキ。このペースで行って最後の1Fも12.0と、決してスピードが極端に落ちた訳ではない。
このペースについて行って差し切ったアーモンドアイ。負けたが、コンマ3秒差と頑張ったキセキ。従来のレコードを6着のサトノダイヤモンドまでがクリアしたのだが、勝負はたった2頭の競馬に近いものだった。スワーヴリチャードもゲートを普通に出て好位のインについたまでは良かったが、このスピード決着ではここまでだった。
恐るべき3歳牝馬、アーモンドアイ。父がロードカナロアで母がフサイチパンドラ、この血統が何で関西に入らなかったのが不思議でならない…。

火曜朝、坂路上の角馬場そばで明日朝の稽古の段どりをしていたら、隣りに立っていたのがブエナビスタの山口厩務員。『火曜から何をしているねん』と冷やかされたが、JCの驚愕のタイムのことを二人で話題にする。そして彼らベテランには驚くべきホットラインがあって、『アーモンドアイも、前回同様にフラフラで帰ってきたらしいぜ』と教えてくれる。
その後に角居厩舎の別棟にお邪魔したら、キセキの清山助手がいた。《いや~、いい体していたね~》とふると、『川田と話していたんだけれど、天皇賞がもの凄くいい出来。あれに近づいたらいいねと話していたんだ。それほどに最高のデキだったのだが、馬ってまだ上があるんだね~と思ったよ』と言う。

《アーモンドアイが、あの1番枠を引かなかったら負けてなかったかもね、それほどに最短を走って完璧な競馬をされたものね》に、『いや~、本当。うちのより外なら負けなかっただろうね。さすがに全能力を発揮してきたので、引き上げてきた時に前脚がプルプル震えていたよ、今朝も運動をしたんだけど、いつもなら廻りの馬にうるさいぐらいの馬が何も反応せず。よっぽど完全燃焼をしたんだ』と言う。これで放牧に出すらしいし、有馬記念はなさそうだ。
こうやっていろんな話が聞けるのが、レースの終えた火曜朝で大事な時間だ。そうそう、先週の日曜に関西馬は相当数が府中へ行ったが、1鞍も勝てずじまい。全てが関東馬が勝った。ひしひしと感じる東の勢い。来年はもっと格差が生まれそうな気がするものであった……。