競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【NHKマイルカップ・解説】強い男の子アドマイヤマーズ、マイルは負けない!
2019/5/7(火)
19年5/5(日)2回東京6日目11R 第24回 NHKマイルカップ(G1)(芝1600m)
- アドマイヤマーズ
- (牡3、栗東・友道厩舎)
- 父:ダイワメジャー
- 母:ヴィアメディチ
- 母父:Medicean
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圧倒的人気の桜花賞馬、グランアレグリア。今日はスタートが決まらず位置が少し後ろとなった。イベリスがスンナリと行けず内枠の馬が絡んでくる流れでハイペースとなる。インの4番手ぐらいのグランアレグリア。直線でもややもどかしい伸び。半ばで進路を探して外へ出ると、外にいたダノンチェイサーに接触。
その2頭の外にいたアドマイヤマーズだが、外から被せる様に今日は最後まで反応も良くそのまま先頭に躍り出て抜けて行く。着差以上の危なげない勢いでゴールを駆け抜けた。令和元年のG1初勝利は平成最後の2歳王者のアドマイヤマーズだった。
土曜に雹で10R以降が中止となった東京競馬。朝から好天に恵まれ、芝コースは途中から良発表とはなった。だが直線の伸びは外からの差しが決まる傾向にあった。先週に3角から4角の内側が悪いとジョッキーに聞いてはいたのだが、ここまで影響をするとは思いもせしなかった。イベリスが行くには行ったが、スンナリとは行かせて貰えず。好発を切ったのはワイドファラオ。ジワっとしている間にイベリスと白帽の2頭、プールヴィルにクリノガウディーが行く気を見せて、最初の1ハロンはその3頭が雁行となる。先頭に立ったものの、楽な流れを造れず前半の3Fが33.9。
向こう正面ではイベリス、クリノガウディー、プールヴィルと縦での3頭となる。ジワっとしたワイドファラオの前にはグランアレグリア、後ろにはダノンチェイサーが内にいた。スタートで少しダッシュのなかったアドマイヤマーズも、真ん中あたりの外目についた。 3角を過ぎて4角が近づいたあたりでワイドファラオ、その外にいたトオヤリトセイトが前へと動く。その少し後をアドマイヤマーズと内のダノンチェイサーも動き出す。グランアレグリアも、内から前へと差を詰めて行く。先に動いたワイドファラオとトオヤリトセイトの真後ろで3頭が横並びに続いて、直線へ入って来た。グランアレグリアの後ろにグルーヴィットも続いて来ていた。
直線ラスト400あたりで、ワイドファラオの左横が空いた。そこへ反応しかけたルメールだったが、思い直したのか外へと進路を振る。トオヤリトセイトの外へと出して行った。アドマイヤマーズに外からカバーされていたダノンチェイサーに接触。 2頭の間でフラついたダノンチェイサー。それでももう一度、鞍上のステッキで前へと進む。外のアドマイヤマーズが勢い衰えずに前へと進む。ワイドファラオとプールヴィルとの狭い間を、カテドラルが割って出て来た。大外からはケイデンスコールが目の覚める様な脚で伸びては来たが、先に抜けたアドマイヤアマーズには半馬身差及ばずだった。
ルメールが勝たない時にはMデムーロが勝つ。そんな図式が戻って来た。いや、両雄並び立たずなのかも知れない。アドマイヤマーズは自分のテリトリーなら部類の強さを出す。ただそれだけの事なのかも知れない。
火曜朝の坂路監視小屋で、友道師に思わず『安田記念には使わないですか?』と思わず聞いてしまった。だが先生の返事は『いや、休ませます』との事だった。当然であろう。ただ3歳馬が54キロで出られる安田記念もありかもと漠然と思っただけ。そんな素人の考えに快く答えてくれた友道師なのである。
私の狙いはグルーヴィットだった。朝に松永幹師に話を向けたらば『直線でルメールの後ろにいて、行くところ行くところあの馬が壁になってしまいました』だった。PVで見るとまさしくその通りであって、最後は追えもせずただ流してのゴールでありました。そうそう梅田師にも会えたのだが、ファンタジストは短距離路線に戻すそうだ。火曜の朝にいろいろと聞けるのは、実に楽しい…。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。