競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【大阪杯】豪華な顔ぶれで群雄割拠、狙いどころは…
2020/3/31(火)
今週もG1、大阪杯は豪華な顔ぶれだ。3年前にG1昇格し、初代王者がキタサンブラック。もう懐かしいのフレーズがついてしまうほどだ。昨年もブラストワンピースは出ていたが、ゲートを出てから後ろで細かい不利もあった様子。最後は伸びて来ていたものの、内で脚を貯めていた馬に先着を許した。
その前年もスワーヴリチャードが4角先頭から長い脚を使ってと、やはり内が結果的にいい。阪神は馬場さえ良ければ内有利。内々で脚を温存した馬がゴール前の粘りに繋がる。好位づけ、イン狙いの乗り方をする馬、ジョッキーが狙いだ。
もちろん枠順が大事。若い4歳牝馬のクロノジェネシス。中山記念組のダノンキングリーとラッキーライラック。友道厩舎のダービー馬2頭マカヒキとワグネリアンと、群雄割拠である。水曜の最終追い切りが俄然注目だ。
20年3/29(日)1回中京8日目11R 第50回 高松宮記念(G1)(芝1200m)
- モズスーパーフレア
- (牝5、栗東・音無厩舎)
- 父:Speightstown
- 母:Christies Treasure
- 母父:Belong to Me
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関西TVのカメラが検量室内を映す。PVを見上げるジョッキー達。武豊騎手が傍らの和田騎手と話している。和田騎手の表情は冴えない。重苦しい雰囲気が伝わってくる。TVの解説者もトーンが上がらない。ゴール前でクリノガウディーが内へ凭れ、中のダイアトニック、内のモズスーパーフレアへ影響を与えたとの裁決。かくして1着入線のクリノガウディーがダイアトニックへの下へと降着。大接戦だっただけに、惜しまれる馬の斜行ではあった。
芝は少し回復して重馬場。1勝クラスで1.09.4の時計で走れたし、そう悪いコンディションでない。内もしっかりと踏ん張れる状態。グランアレグリアが馬体増。3歳時の阪神JFで480台で走っているから大丈夫の印象だった。入れ込む馬もそうおらず、パドックはそれなりに終わった。
ダイアトニックがいいスタートを切る。ダノンスマッシュが崩れるような出方だった。モズスーパーフレアの二の脚が速く、すっと交わし先頭へ。2番手にセイウンコウセイ、クリノガウディーと続く。ブービーはモズアスコット。前と離れている。そして一番ドンジリはアイラブテーラー。後ろながら、武豊騎手が手綱をかなり抑え気味に見えた。
意外と前が飛ばさない流れ。音無師が常々「モズスーパーフレアは引き付け逃げはダメ。後ろに脚を使わす様に離して行くぐらいでいい馬」と語っていたが、後ろに2馬身ぐらい空けての逃げ。セイウンコウセイ、クリノガウディーらも手応えよくカーブを廻る。
どうしても視線は真ん中あたり。タワーオブロンドンとその少し前、3列目ダノンスマッシュ。真ん中ぐらいのグランアレグリアの姿を探していた。前の動きは前として、視線のほとんどは外の馬の動きを観ていた。
タワーオブロンドンがもたつのに、その外のグランアレグリアはさらにエンジンに点火して伸びて行く。勢いはなかなかいいが、前の3頭を飲み込むほどではない。急接近してのゴールであった。
タワーオブロンドン、ダノンスマッシュは中1週のローテ。モズアスコットは距離で影響があったのだろうか。難しい戦いであった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。