ミッキースワロー 秋を見据えた輸送の経験活かして京都で戴冠だ
2017/10/18(水)
「(京都新聞杯は)ちょっとテンションがね…。直前の調整がこの馬にとっては少し気を入れすぎてしまったかな、というところもありました。普段から、走ってるときが一番おとなしいんですよ(笑)」
-:ミッキースワロー(牡3、美浦・菊沢厩舎)は未勝利、500万下と連勝して重賞(京都新聞杯)に向かわれました。そこを使われたあたりの状況を振り返っていただけますか?
菊沢隆徳調教師:ちょっとテンションがね…。2連勝したので「これなら秋」と思って、東京のトライアルじゃなくて京都を経験させようと思ったんですよ。お父さんのトーセンホマレボシが京都新聞杯をいい時計で勝っていたのもあって、使いに行ったんですけどね。
菊沢師を背に京都新聞杯直前の調整を行うミッキースワロー
-:収穫はありましたか?
菊:収穫よりも、反省点がありましたね。初めて輸送を経験しましたが、直前の調整がこの馬にとっては少し気を入れすぎてしまったかなというところもありました。
-:使った後の調整では、どのあたりを気をつけて進めて来られましたか?
菊:体もちょっとガタついちゃってたので、当初は3歳馬同士のラジオNIKKEI賞を目標に牧場で乗っていたんですけど、見ていてもちょっと間に合わないなと思ったんです。新潟ではちょっと使いたくなかったので、福島最終週に古馬相手ですけど1000万下の1800mがあったので、そちらで競馬を覚えさせようと思いました。
-:そのときのレースプランはどのようにお考えでしたか?
菊:京都新聞杯でちょっと掛かったりして息が入らないような格好をしていたので、1800mでも「後ろから終いを生かして最後だけ」という指示でした。
-:もう1度、我慢して脚を伸ばす競馬をさせたかったということですか?
菊:我慢させるというか、あの馬にとっては福島の1800mは忙しいと思うんですよ。気分良くついていく感じで後ろになってちょうど良いかなという感じです。
「デビューの頃から軽い体になって、そのほうが走りがスムーズになったのは確かです。ここ1、2週間で首差しもスッと伸びたような感じがするし、本当に良くなるのは古馬とかまだまだ先だと思います」
-:レース後の馬の状態はいかがでしたか?
菊:1回放牧を挟んだんですけど、まだ良くなるなという感じでしたね。入厩させてセントライト記念を目指して、日に日に良くなってきて、これなら楽しめるなというところはありましたね。
-:セントライト記念の馬の状態は?
菊:暑くて虫もいっぱいいて、尻っぱねして装鞍所でもうるさかったんですよ。下見所ではまだ我慢していたんですけど、(ジョッキーが)乗るときはいなないて、「これはまだ若いな」と……。それくらいの気性の馬なので、油断はできないですよね。でも、普段から走ってるときが一番おとなしいんですよ(笑)。走り始めるときとか、スイッチが入ると難しいところはありますよね。怪我させないようには気をつけています。
-:レースを振り返られていかがでしょうか?
菊:ジョッキーには「ゲートはそんなに速くないけど、促してもたぶん掛からない」と言っていました。そうしたら、うまいこと1、2コーナーでスッといいポジションに入っていきましたね。
-:終いは素晴らしい脚を使いましたね。
菊:リラックスして走っているので、あとはいつ仕掛けるかという形でした。ちょうどいい目標もいたのかなと思います。
セントライト記念では春の実績馬達をまとめて差し切った
-:強い勝ち方をしたレース後の馬の状態はいかがでしたか?
菊:パーツ的には傷んでないんですけど、ちょっと体は減りました。でもエサなんかは食べてますよ。デビューの頃から軽い体になって、そのほうが走りがスムーズになったのは確かです。デビュー当初は少し立派すぎたというか、体を弄んでいるような感じ。でも、ここ1、2週間で首差しもスッと伸びたような感じがするし、本当に良くなるのは古馬とかまだまだ先だと思います。
-:中間の調整はいかがですか?
菊:負荷をかけすぎず、気分良く走らせることを重点的に、馬が苦しがらないようにやってきました。セントライト記念もいい仕上がりだったので、前走くらいの状態では出せると思います。
-:今日の最終追い切りはご覧になってどうでしょうか?
菊:馬場に入る前にゲートを練習したんですけど、それから大人しくなっちゃったんですよ。今日は終わったと思ったのかな?(笑い)。馬場に連れて行っても、他の馬がビュンビュンやっているのにトコトコトコって出ていきましたね。馬場が重い中で走りづらそうだなと思いましたけど、時計はそれなりに出ていたし、あとは追い切りの疲れを取って週末に向かいたいなと思います。
最終追い切りも菊沢師を背にCWコースで行われた
-:このあと輸送がありますが、そこは春に経験している部分ですね。
菊:少しは慣れていてくれないかなと、期待しています。
-:最後に、意気込みをお願いします。
菊:みんな初めての距離ですからね。この馬の可能性は感じていたので、どういう結果が出るのか楽しみにしています。
プロフィール
【菊沢 隆徳】Takanori Kikuzawa
1988年に柄崎義信厩舎所属としてJRA騎手デビューを果たす。同期は内田浩一氏、岸滋彦氏などで、初年度は13勝をあげた。1993年に天皇賞(秋)でG1初騎乗を果たし、同12月の愛知杯にて重賞初制覇を成し遂げる。現役22年のうちフェアープレー賞を5度受賞するなど、その騎乗スタイルは若手騎手の手本として評された。
2011年に調教師として厩舎開業を果たすと、初年度にオープンガーデンで阪神スプリングジャンプを制し重賞初制覇。この春はアエロリットがNHKマイルCを勝ってG1初制覇。美浦の新進気鋭として充実のシーズンを送っている。