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榎本優也調教助手

榎本優也調教助手(栗東・須貝尚介厩舎)


掴みきれない愛馬の適性は何処に!?

-:今朝(1/30)の追い切りは、どんな動きだったか教えて下さい。

榎:前に2頭(3歳新馬のシルヴァーグレイスとストライクルート)、併せ馬をしているのを見ながら。

-:どれぐらい追い掛けながらですか。1秒ぐらいですか?

榎:結局、坂路なんで、併さったらマズイじゃないですか。前に2頭なので。だから抜いてはないです。でも、そのつもりぐらいで……。1秒も離れてなかったかもしれないですけれど、前半はチップを被せながら我慢させて、最後、出して行く気があるかって感じで、感触だけ。

-:出した時に前に進路が開いたら、馬がグッとくると思うんですけど、その反応はどうでしたか?

榎:今日は良かったです。

-:グッときましたか?

榎:追い付いてしまうんじゃないかというぐらいに余裕があったので。

-:1週前としては十分、納得のいく内容でしたか。

榎:はい、良かったですね。



-:金杯同様、1番人気になるかもしれないですね。京都の馬場について聞かせてもらいましたが、京都コース自体はどう思われますか?阪神とか前が止まりやすい条件が合うのかなと思うんですけれど、京都は直線が平坦じゃないですか。先行馬もオープンぐらいになってくると、なかなかバテてくれないというのがあって、差し馬に向く京都というのは馬場状態に影響されるという気がするんです。

榎:どうですかね。きさらぎ賞の1回だけですが……。でも、走りやすいとは思いますけれどね。

-:金杯の時もあれぐらい出していってたら、噛む馬だったらグッと引っ掛かって、ダイワマッジョーレとタッチミーノットの間にメリ込んでいくぐらいのヤツもいると思うから、それに比べたら乗りやすいかなと。

榎:そうですね。

-:結構、距離適性もあるから、もしかしたら長い距離も良いのかもしれないですね。

榎:まだ、掴みきれませんもんね。ここまで来ても。これからどういう路線で行くのか、ちょっと難しいですね。

-:2歳の時からすごい可能性を持った馬で、かなり成長はしてきたんですけれど、どこが一番パワーアップしたか教えて下さい。去年の秋の毎日王冠前に大分、変わったという。

榎:良くなりましたけど……。

-:人気はなかったけど、自信はあった毎日王冠だったと思うんですけど、あの辺で疲れが癒されたというのが、一つ大きなポイントで、春の疲れが抜けたことと、もう一つはやっぱり体がシッカリしてきたというか。

榎:目に見えてはあんまりないですけど、やっぱり時計とか見ると、昔より楽に良い時計が出るようになってきているので、その辺ですかね。

-:ゴールドシップという馬がいるから、ジャスタウェイが格下っぽく映ってしまうけれど、坂路の動きとか見てたら互角以上で、ジャスタウェイはまだ、ベストレースというか、持っているモノ全てをレースで出したことがないんじゃないかなと思うんです。それはいつ見れそうですか?

榎:難しいですね。それは本当に。僕も今までこんなに重賞を勝たせてもらって、それなりに成績を残せてますけれど、本当はもっと大きいとこを獲れる馬なんじゃないかと思っているので。毎日反省というか、今まで何がダメだったのか、ずっとそんなことを考えてますね。僕じゃなかったら、もっと走ったんじゃないかとか……。まあ、それは分からないですけれどね。それぐらいの気持ちでいるんで。

らしいレースで鬱憤を晴らす

-:今回、ジャスタウェイに接するにあたって、何か修正した所はあるんですか。

榎:毎日王冠の頃は何をしても平気というか、強い追い切りをしてもカイバをシッカリと食べてくれましたし、レースの後もガタッとこなくて、スゴいなと思ってたんですけれど、ちょっと金杯に向けての過程を見ると、僕が気を抜いてたというか、加減をしなかったんですよね。大丈夫やと思って。

-:馬を信用し過ぎた?

榎:そうしたら、やっぱりちょっとストレスに弱い所がまた出てきたんで、そこは気を付けてますね。

-:結構、珍しい馬で若馬の時に見た時から将来どうなるのかが全く分からないという馬だったんですけれど、いまだに分からない。マイルでもいけそうだし、もしかしたら2400以上でもいけそうな気もするし、何だろうみたいな。

榎:結構、精神的な所で左右されちゃうんじゃないですかね。

-:ジャスタウェイのベストパフォーマンスが出せる舞台で、他のG1馬がもしかしたらベストじゃない舞台が3200の春の天皇賞とか、ソッチかもしれないし。何か色々な妄想というか、僕以外のファンもしていると思うし、ゴールドシップのようなオールマイティさはない馬ですけれど、その分、終いの瞬発力とか、切れ味が好きなファンもいると思うし、シッカリと日本を代表するオープン馬にして欲しいですね。

榎:できるように頑張ります!



-:ジャスタウェイのファンにメッセージをお願いします。1番人気の3着で怒っている人がいるかもしれません(笑)。

榎:前回は残念な結果になりましたけれど、ジャスタウェイらしいと言えば、らしいレースだったんです。僕も毎回、反省しつつ、結果を出せるように全力でやらしてもらっているので。

-:この馬を見る時は結構、展開を注意して、ジャスタウェイ向きの展開は何かというのを分かった上で、見た方が良いかもしれませんね。

榎:そうですね。まあ、馬券を買っている人は大変かもしれないですけれど、ただ見てる分には楽しみな馬なんじゃないですか。

-:じゃあ、別に枠は拘らなくて良いですか。馬券を買う側からしたら。

榎:大丈夫だと思いますけどね、枠は。

-:ある程度、スンナリ外に出しやすい方が?

榎:あの時も大外でしたしね、アーリントンC。

-:あの時ほど止まってくれるかは分からないけど、毎回着順はともかく、良い脚は使っているので、不発というのはまだない。よっぽど疲れている時は別として、コンディションが良い時はだいたい自分の脚だけは使ってくれる馬なので、本命党にはありがたい馬ですよね。

榎:ハハハ(笑)。そうですかね。

-:今回もありがとうございました。

(取材・[競馬場を除く]写真)高橋章夫


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【榎本 優也】Yuya Enomoto

大の競馬ファンである父親の影響で、幼い頃から阪神競馬場、京都競馬場へ足を運んでいた。 武豊騎手に憧れてジョッキーを志すも、目の悪さで受験資格をクリア出来ず断念。 しかし、競馬関係の仕事に就きたいという思いに変わりは無く、牧場勤務を経て、25歳の時にJRA厩務員課程へ入学し無事卒業する。

しばらくの待機期間を過ごし、09年5月に須貝尚介厩舎で待望の厩務員生活をスタート。 7月には持ち乗り助手となり、それ以来、2頭の競走馬を担当している。

その後は、アスカクリチャン、アスカトップレディ、クリーンエコロジー、コレクターアイテムなど、厩舎の代表馬の育成を担当。2012年には担当するジャスタウェイがアーリントンC(G3)を制して人馬ともに重賞初制覇。NHKマイル、日本ダービーと駒を進め、自身も大舞台を経験した。