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南井大志調教助手

兄弟に短距離の重賞ウイナーを並べるタマモベストプレイ(牡3、栗東・南井厩舎)。少し血統を知るファンであれば同馬のダービー出走がまず驚きだと思うが、聞けば南井大志調教助手は距離不安を真っ向から否定する。直前に話を伺った皐月賞も内容がある競馬で5着と好走しており、今回も穴党を熱くさせる走りを披露してくれるに違いあるまい。

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良い意味で裏切ってくれる馬

-:日本ダービーに出走するタマモベストプレイですが、昨日(5/15)、1週間前追い切りが終わりました。和田騎手が乗って、結構良い動きに見えましたが、南井助手からみて、どんな調教だったでしょうか?。

南井大志調教助手:理想通りと言えば理想通りですね。取りあえず2週前と1週前は和田さんを乗せる予定で、最終追い切りはあんまり強くしたくないから、僕が乗る予定です。最初からその予定でやってきましたから、昨日は終いもビッシリとやってくれて、1週前としては完璧という時計じゃないですかね。

-:ああいう動きを見ると、皐月賞の疲れはないと思って良いですか。

南:全然ないですね。放牧にも出さなかったですけど、逆にスゴく落ち着いていますしね。(調教を)やり出したら結構ピリピリとしてた馬やけど、今のところは全然そんな雰囲気もないのでね。

-:欲を言えば、皐月賞はこの馬にしては流れ過ぎたという。

南:速すぎましたね。でも、あの時計でも終いは伸びてきていますしね。 ダメージがあった馬が一杯いたけど、ベストプレイは全然ダメージもなかったしね。

-:そういう意味では思っているよりタフですね。

南:タフやし、どこの競馬場でも対応できそうやし、どんな競馬でもできそう。だから、2400も楽しみが出てきましたね。

-:血統は度外視で、この馬だけ別馬という感覚でコッチも見た方が良いと?

南:距離面で、周りの人らは短いところの馬だと思ってるやろうけど、この馬だけはホンマに違いますね。

-:来年も中距離路線の1800とか、2000を使う馬になっている可能性もあると?

南:今のままなら、あるんじゃないですかね。ココで大敗するようやったら、“距離なんかな?”と思うかもしれないけど、今のままやったらね。

-:ココで大敗をするようだったら、皐月賞で5着には来ないでしょう。

南:まあそうでしょうね。一番良いところは引っ掛からへんとこですからね。 ダービーはスタンド前の発走で多分ピリピリはすると思うけど、スタートをしたら引っ掛かることはないと思うので。

-:流れに合わせて乗れるというところも、この馬のセールスポイントですね。

南:今回は速い馬がいそうにないから、皐月賞よりはある程度、前で競馬ができそうな感じはするんですけどね。

-:この馬の持ち味である渋太さを活かせるレースになると。

南:それを期待しています。



時計が掛かる馬場、道悪も歓迎

-:ダービーの時期は天候が悪い時があるじゃないですか。雨が降った場合の想定はどうでしょうか?

南:この馬は馬場も全然、関係ないと思いますよ。スプリングSとか初めての中山で、結構、馬場が荒れてたじゃないですか。あの時も一番悪い内を通っても、全然気にしてなかったみたいやしね。普段の調教に乗ってても、どれだけ荒れた馬場でも時計も出してくるしね。

-:極論を言ったら、思いっきり荒れてくれて、他の馬の速い脚を封じてくれるようなことがあれば、よりこの馬にとっては理想的だと?

南:ムッチャ荒れた馬場はやったことがないからどうかなとは思うけど、僕は大丈夫やと思いますよ。この血統はダートも走るし、馬場とかはそんなに気にせえへんしね。

-:逆に時計勝負のレコード決着になる方が分が悪いと。

南:あんまり速過ぎたらねえ……。でも、この血統は中山で全然走ってないけど、この馬は関係なかったしね。そういう意味でもホンマに良い意味で裏切ってくれている。

-:今の体重はどうでしょう?

南:体重はあんまり変わらないぐらいです。もともと体重の増減も全然ない馬やから。

-:見た目の体型の変化で、大一番を使うにあたって、締りが出てきたとか、跨った時のシッカリ感が出てきたとか、そういう微妙な変化はありますか?

南:見た目はあんまり変わってないのかもしれへんけど、乗ってる感じではスプリングSの後ぐらいから、張りとかが良くなってきている気がするし。

-:気温も上がりつつ、体調も?

南:良い感じですよ、ホンマに。落ち着きがあるのが一番良いかな。



この血統が菊花賞に出走!?

-:皐月賞5着というと、故障してしまったカミノタサハラを除いた上位3頭からはワンランク落ちる評価をしてる人が多いと思うんですよ。

南:勝った馬とかと比べたら差は開いてたけど、競馬は何があるか分からへんしね。だって、「絶対勝つと言われていた」ゴールドシップがあれだけ敗けるんですから。何があるか分からない。

-:一泡吹かせられるという気がちょっとはありますか?

南:あんまり欲を出し過ぎるとね。でも、力はホンマにあると思う。

-:結果云々じゃなくて、タマモベストプレイがこのメンバーでどこまでやれるかというのを楽しみにしているダービーという感じで?

南:そうですね。

-:色んな条件で可能性があるから、チャンスがあれば良いですね。

南:皐月賞でベストプレイより前に来ている馬は結構引っ掛かる馬とかが多いから、2400のダービーやったら、その辺で逆転の可能性があっても良いんちゃうかなと。

-:この馬は車で言ったら、オートマ見たいな感じでスゴい乗りやすい馬ですか?

南:乗りやすい。普段の調教もメリハリがスゴく付けやすいし、それがデカいですね。

-:フットワーク的にはどんな感じですか?

南:全然、硬くないですよ。柔らかいと言えば柔らかいけど、追い切りをして速いところに行った時にグッと重心を下げて、伸びていく感じ。それが他の馬とは違いますね。スゴく体全体を使ってる感じですね。



-:ファンに向けるメッセージとしては、「思っているより走るぞ」ということですか?

南:そう。みんな「距離、距離」言うてるけど、それは違いますね。現に1800で勝ってるし、2000でも結果を出してるしね。

-:その辺は今の時期の同世代の3歳馬と比べても、完成度が高いということが言えると?

南:現段階でね。まだまだ良くなりそうやしね。ダービーで結果を出して、放牧に出して秋がまた、楽しみですよね。やっぱりダービーで結果を出したら、そりゃ菊花賞になるでしょうね。

-:昔は長距離がベストの種馬とかがいましたが、今はどっちかと言えば中距離がベストの馬しかいないご時世ですから、大雑把にいえば、長距離適性がないといえば、ないですから。

南:だから、調教ひとつなんでしょうね。

-:やっぱりこのクラスの馬の調教をするのは楽しみじゃないですか。

南:楽しいですよ。やりがいはある。

-:枠はどっちが良いですか、内目か外目か?

南:枠は全然、気にしないですけど、やっぱり外過ぎるのは嫌ですよね。でも、この馬は内枠しか当たったことがないでしょ。どこでも良い、別に。馬込みも大丈夫やしね。今回はホンマに皐月賞みたいに速くならんかったら、レースはしやすいと思いますしね。

-:平均ちょいスローぐらいだったら、前目に付けて粘り込むというベストプレイの形で?

南:多分、そうなるんじゃないですかね。後ろから行っても、伸びてくることは伸びてくると思うんですけどね。

-:ファンもタマモベストプレイの渋太さを期待してると思うので、あと1週キッチリと仕上げて下さい。

南:頑張ります。ありがとうございます。

皐月賞前・タマモベストプレイについての
南井大志調教助手インタビューはコチラ→


【南井 大志】Hiroshi Minai

父は元騎手の南井克巳調教師。タマモクロスに乗っていた父の影響を受け、中学3年で乗馬を始める。1浪で競馬学校に入学し、2002年に栗東の橋田満厩舎所属で騎手デビュー。当時に調教で跨った名馬としてアドマイヤコジーン、アドマイヤマックスを挙げるが「乗り味が一番良かったのはラスカルスズカ」と。2012年の3月に騎手引退後は南井厩舎の調教助手に転身。その感想としては「障害に乗っていたから、精神的に楽になった。自分的にも助手になって良かったと思う」と。第二の競馬人生にやりがいを感じている。