夏競馬ということもあり、2歳戦の話題も白熱してくるもの。戸崎騎手は全兄がリアルスティールという前評判の高かったプロディガルサンで新馬勝ちを収めたことは周知の通り。また、古馬路線でも騎乗馬が徐々に決定と、秋へ向けての楽しみな話題も出てきている。開催を終えた夏の福島競馬などを振り返りつつ、先々の展望にも触れてもらった。

揉まれ弱さが出た?レッドアルヴィス

-:今回はレース回顧の話題となりますが、プロキオンSレッドアルヴィス(牡4、栗東・安田隆厩舎)は前哨戦の勝ち方からすると、意外な結果でした。敗因として挙げられる要素はありましたか?

戸崎圭太騎手:う~ん、もう少し頑張れるかなとは思ったのですが、ちょっと原因が分からないですね……。

-:走りのパフォーマンスからすれば、古馬の重賞でも通用しておかしくないほどに見ていました。気性面や折り合いなど、そういった敗因もあるのですか?

圭太:そのようなところは見受けられなかったのですが、「揉まれる競馬は少し苦手」とは聞いていました。なるべく前目でスムーズにと思っていたので、外は回されたとはいえ、スムーズな競馬はできたと思います。それだけに、もう少しやれるかなと思ったのですが、直線はもう反応がないというか、ダラダラした走りになってしまいましたね。

-:思い返せば、ファブラリーSの前も良い勝ち方をしてきて、人気薄ではありましたが、内枠でやっぱりあんまり見せ場なく終わった経緯もありました。考えられる敗因としては、揉まれたこと、気性面かなと思ったのですが、乗った印象では外枠の方が良いと。

圭太:外枠の方が見ながら行けますからね。内枠だと外で揉まれない競馬をしようとすると、なかなか出来ない場合もあります。自分で出していかないといけないので、そこはどうかと思います。それに、芝もちょっと苦手かもしれないですね。芝発走では勢いがつかないですね。

戸崎圭太

-:そもそもフェブラリーSの東京ダートのマイル戦も比較的、内枠は不利ですものね。

圭太:そうですね。

-:3歳時にヒヤシンスSで騎乗されて、ここ2戦との変化は感じられましたか?

圭太:まあ、確実に力はついていますよ。緩さなども解消されていますしね。

-:それにしても、今まで乗られてきた勝ち馬(ベストウォーリア)が、59キロを背負ってあれだけあっさり勝つというのは、僕はビックリしました。

圭太:そうですね。内々でずっとロスなく、良い競馬をしていた印象でしたね。すごい切れ味でしたよ。

福島は脚質を問うコース

-:重賞ではないですが、夏競馬なのでオープン特別のレースも。福島テレビOPヒストリカル(牡6、栗東・音無厩舎)はファンにはお馴染みの存在ですが、テン乗りでの一戦でしたね。

圭太:う~ん、福島というコースに僕が戸惑ったというか、あの脚質なので、どの乗ろうかと思いながら、ちょっと早仕掛けで距離ロス。結果的には中途半端になったな、下手に乗ったな、という印象です。

-:向正面で少し動いて行ったので、そのまま行くのかと思ったのですが?

圭太:う~ん。行ったら行ったで、またダメですね。

-:昔、乗っていた安藤(勝己)さんが確か「あの馬はメチャクチャ溜めなきゃダメ」と言っていたので。

圭太:(納得するように)はぁ~、そうですか。

-:「本当に途中で動かすとダメだ」みたいなことを。今はどうか知れないですが。

圭太:レース映像を視て、(松山騎手が乗って)阪神の外回りで3~4コーナーから捲っていって押し切るという競馬だったので、あのイメージが強くなっちゃいましたかね。

戸崎圭太

-:とはいえ、今回はそうならなかったということですね。

圭太:まあ、2コーナーで番手を上げるのは良いと思うのですが、あそこからダラダラと走らせ過ぎたのは事実ですね。どこかでもう1回我慢しても、というか、2コーナーで上がってくのもビューンと行っている訳ではないので、もう1回溜めるべきでしたかね。

-:阪神での勝ち方を見ていると、まだまだやれるのだなという感じがしたのですが、その後が今イチというところが、この馬の難しさといいますか。それでも、また重賞でも勝ち負けしてもおかしくないかなと。

圭太:切れるというか、溜める馬なんだね。でも、あの捲った時は強かったですものね。強いし、あり得ない競馬ですからね。あの印象が強過ぎちゃいましたね。

戸崎圭太

-:そして、夏の福島開催が終わりましたが、開催を通しての印象はいかがだったですか?

圭太:後半は暑かったですね……。前半は楽でしたが。

-:気候のことですか(笑)。それは福島に限らず、全国的に言えることではないですか。勝ち星の数字はどうでしょうか。

圭太:まあ、勝てればもう少し勝ちたかったなというのはありますよね。

-:シーズンを通して行くのは3年目ということですが、もうだいぶ慣れたのではないかと思います。

圭太:最初に比べると、良くなってきたかなとは思います。前に行ける馬は良いのですが、後ろから行く馬の仕掛けところが難しいですね。


「(福島芝は)後ろから行く馬は本当に仕掛けどころが難しいのと、展開に左右される面があるかなと」


-:しかも、外を回って差し切れそうに見えるのですが、やっぱり結局は内側の馬が残っていますからね。レースを観ていてもまやかしのように見えます。

圭太:そうですね。そういう傾向が多いですね。

-:あれは、コース形態的に内を差すというのは難しいコースですか?

圭太:切れる馬なら良いでしょうね。馬のタイプにもよるし……。

マネージャー:後ろから行って内というのは……。

圭太:それは本当に賭けですよね。

マネージャー:みんな外に出して、3~4コーナーで上手く上がっていけるような展開にならないと、ちょっとあの直線では厳しいですよね。余程切れる馬でないと。

-:昔のラジオNIKKEI賞のケイアイチョウサンのような競馬はレアケースと。

マネージャー:腹を決めて乗らないといけないですね。

圭太:あの馬も切れるタイプの馬ですからね。シュッと脚を使える馬なので、ああいうタイプの馬は、逆に外を回ってしまうと勝ち切れないところがありますよね。本当にノリさん(横山典弘騎手)らしい乗り方というか、素晴らしい乗り方でしたけどね。

-:少しダラッとした脚を使うような馬だと、やっぱり外を回るように見られても、そうせざるを得ないようなコース形態だと。終わってしまいましたが、ファンの人もそういう馬の脚質を踏まえつつ、レースを観てもらえばというところで良いですね。

圭太:まあ、そうですね。後ろから行く馬は本当に仕掛けどころが難しいのと、展開に左右される面があるかなと。

インタビュー(後半)
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