'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月9日時点1566勝
ここまで8勝の福島、開催3週目は17鞍の騎乗!
2024/7/12(金)
先週はレッドラディエンスで勝利!七夕賞最多タイとなる4勝目をマークした。他のレースでも勝ち星を重ね、福島開催は8勝を挙げているが、昨年の開催15勝を上回ることができるだろうか。また、引き続き読者からの質問にも答えていただいた。
展開で適性をカバーできた七夕賞
——先週はレッドラディエンスで七夕賞(G3)を勝利!おめでとうございました。七夕賞と相性が良いですね!
ありがとうございます。まあ、本当にいつもいいタイミングで乗せていただいていますからね。
——新潟記念でサマーシリーズ制覇が懸かるので、その楽しみもありますが、枠はあまり気にされていなかったと思います。その上で課題に挙げられていたコース適性はどうだったでしょうか。
コース適性にとらわれないような展開になってくれたのが大きかったですね。ある程度、流れるのはわかっていましたが、ペースも速かったですからね。あとはリズム良く良ければと感じていました。
——東京でも騎乗されていて状態面はどうでしたか。
スタッフからは「前よりも上がってきている」と戦前に聞いたのですが、その通りでしたね。結果にも結び付いたと思います。
——道中はかなり縦長の展開。行きっぷりも少し気になるところはありましたし、よくあれだけ下げられましたね。
そうですね。道中でアレっという手応えでしたが、力があるのはわかっていましたし、自分が逆算すると言いますか、仕掛けどころ次第かなと。縦長の展開でも惑わされずに運べましたし、しっかり反応してくれました。
——戦前、話題にはしませんでしたが、2016年のアルバートドックのような競馬になるのかなと思っていました。
確かにそうですね。ディープ産駒ながら長く脚を使うタイプですし、似ているようなところはありますね。今後も多少、展開の助けは必要かもしれませんが、次も頑張ってほしいです。新潟記念は今回以上に実績を残している馬も出てくるようですからね。いい結果を残せれば何よりです。
——今週の騎乗馬では土曜のマックスキュー、日曜のエリーナストームと同じ厩舎の新馬に騎乗されます。追い切りにも跨られていましたね。
マックスキューはとてもいい動きをしていました。気持ちもしっかりしていて、フットワークも良かったですね。一つ上の馬(アフィリオン)にも乗せていただいたことはありますが、現時点では前向きさは共通していますね。
——パレスドフィーヌは中山で圧勝した馬ですね。
当時は強かったですね。もう一つ体が使えるようになると良さそうですが、ここでも期待しています。
——パウオレは昨夏の福島で勝たれましたね。
オープンに入ってから一進一退といった戦歴ですね。これまでの結果からも1列目に行けた方がいいタイプなのかな、という心配はありますけどね。そのあたり枠や隊列が気になるところです。
——カピリナは初めての芝になりますね。
能力自体は感じています。ただ、まだ条件面は手さぐりなところもあり、レイハリアの下でありますが、芝でどんな走りをしてくれるか……。距離が短くなること自体は良いと思いますよ。
——日曜のココクレーターは引き続き騎乗されます。
前走は忙しさも感じました。このコースにどう対応していくかですが、走りのメリハリももう少しついてきて欲しいです。
——プレミアペガサスは長期休養明けですね。
さすがにこのブランク明けですからね。どんなコンディションで出てきてくれるか。能力自体はあると思うので地力に期待しています。
福島2週目は5勝!
——先週のその他のレース回顧もお願いします。人気馬も多かったので普段より多めです!ストリンジェンドは3着でした。
同じような結果になってしまったのが悔しいですね。こういう形は安定して走れるのですが、少しペース面で忙しさを感じたのも事実です。
——勝った時が目を引く走りでした。1400mでもいけそうですか?
こなしていいと思います。ただ、距離が延びると集中力を保てるかといった課題もありますね。
——ジョージテソーロは少頭数でスムーズな運び。距離延長も問題なかったですね。
前走よりもむしろ上手に走ってくれました。距離を延ばして幅が広がってくれましたし、この後も延ばすことになると思います。
——競馬場で写真を撮られている方のSNS投稿を見ていると気性の強そうな眼ですね。
悪さをするわけではないのですが、我が強いところはありますね。
——テンペストは2着でした。
乗せてもらった時よりも上手に走れていました。広いコースの方が合うと思いますが、勝ち馬にはスイスイいかれてしまいましたね。
——サトノアインスは1番人気で3着でした。
上手にレースは運んでくれました。3、4コーナーでひるんでモタついていましたが、最後はその分の差ですね。
——ショウナンバシリスはチャンスがあるかと思いましたが、4着でしたね。
ちょっと硬さがありました。実は追い切りでも感じていて、福島の芝なら大丈夫かと思ったのですが……。
——関西馬のジェットマグナムは新馬勝ちです。
だいぶ緩さがありながらも乗り味の良さがありますね。返し馬ではいい感触。レースも上手に運んでくれました。変わり身、成長があるならば今後も楽しみです。
——所属厩舎のタッカーバレットは惜しい2着でしたね。
内容的には良くなりましたね。あともう一歩です。右に張る馬で左回りがどうか、と言われているのですが、今回は上手に走れていたので今なら大丈夫なのかと思います。
——パンドジェーヌは接戦で惜敗でしたね。
力は上位ですし、安全策で行きました。あとは追ってからの甘さが良くなるといいのですが。
——ヘインズポイントは完勝でした。
力もありましたし、危なげないレースぶり。コーナー4つも問題なかったです。
——ソニックロプロスは昇級初戦でした。未勝利を勝った時はスムーズに流れに乗れた印象でしたが。
返し馬からトモのハマりがもう一つ。レースでも踏み込めていない印象でした。そこが良くなって、あとはレースの組み立てを変えられたら変わってきそうです。
——リチャは4着。もうひと押しに欠けた分は小回りになった分でしょうか?
状態は変わらず良かったですよ。レースが上手なので福島も問題なかったです。あと一歩という結果で差はない内容だったと感じましたが。
——マーズオデッセイも新馬勝ちでした。
緩さはありましたが、体幹が強そうな印象でしたね。力もあり、上手く走ってくれましたね。
——アズベリーは初コンビで2着でしたが、内枠がどうかと思いました。
モマれ弱いところがあるようでしたが、周りが速くああいう形に。それでも好走してくれましたし、あとはテンション次第でしょうか。
——今回も読者の方々からの質問を取り上げたいと思います。「戸崎騎手といえば髪色を時折変えられる印象があります。今後も変えていく予定はありますか?」とのことです。
これがですね、今週、変えたんですよ。期待していただけるのならば、是非競馬場で観ていただければと思います。ただ、自分も色々と試したいのですが、ジョッキーはお風呂に入ったり、汗をかいたりするからすぐに色が落ちちゃうんですよ。だから、色をつけるのも限界がありますね。
——職業が美容師という、うーちゃんママさんから「戸崎さんの髪型が気になります!一時期ハイライトだったり攻めたカラー、ヘアスタイルになったなぁと思いました笑!ご自身でこのスタイルにしたいなーとか決めているんですか?!それとも美容師さんにおすすめされたスタイルにしているのでしょうか?!」と近いテーマの質問もありました。
美容師の方と相談ですね。今でも色々試したり、変えたい感じはあります!
——陸の孤島さんから「返し馬についての質問です。中央競馬では待機所までサーっと走るだけなことが多いですが、大井をはじめとした地方競馬ではじっくりと長い距離を走っているイメージがあります。何か訳はあるのでしょうか?」という質問です。
その通りですね。これは中央競馬と地方競馬、それぞれの慣習の違いみたいなものではないでしょうか。JRAはダグをしないでサッと行かせますが、その中でも貴重な時間だと感じます。色々と確認すること、感じられることがあって、とても大事ですね。今は昔以上に気を付けています。
——すぐるさんから「騎乗していて最も大事にしている感覚はありますか。それがハマったレースなどあれば教えて頂きたいです!」とのことです。
難しいですねえ。馬とのコンタクト、そこからさらに感じられるものですが……まだまだです。これからハマったレースを増やしたいですし、質問いただいた方がそう感じられるレースを作り上げたいです。
——ショコラさんは「“お手馬”だった引退馬の中で、私にとってはエポカドーロは特に思い入れがあるのですが、特に印象に残っている馬、思い入れのある馬、引退後に会いに行ったことがある馬はいますか?」という質問ですが、常々、自分の馬じゃないとはおっしゃっているので気になるところですね。
やっぱりフリオーソですね。とはいえ、引退後に会いに行ったりということはありませんが。
——フリオーソの引退式では珍しく涙したことで知られますね。知られているかどうかですが(笑)。フリオーソはここのところゲームでも取り上げられたようですね。
らしいですね。
——にんじんおりーぶさんから「もし、お祝いとして10日間休暇が取れるとしたら、どのように過ごしたいですか?」とタイムリーな質問ですね。ルメール騎手などは現在、お休みされています。
いや~パッと出てこないですね。本当にそういう立場になれば考えるのでしょうが。そもそもその瞬間では「休みたいな」と思うことがあっても、休みたいか同課で言えば、特に思わないんですよね。
——昔はいつか世界遺産を観に行きたいなんておっしゃっていましたね。続いて「競馬におけるご自身の強みはズバリ何でしょうか?」という質問です。
強みねえ……。もっと自信を持てるジョッキーになって、皆さんから強みと感じられるジョッキーになりたいですね!
——今週はジャスティンミラノが天皇賞・秋に向かうことも発表されましたね。また、東スポさんの動画にも出られていましたね。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。