アーリントンC(G3)など注目3歳戦の動向を分析!
2017/2/24(金)
アーリントンC有力馬の思惑を読む
POG実行委員長Y(以下Y):気付けば京都、東京開催も終わりで今週は武幸四郎騎手などが引退。
ライター野中(以下野):事実上の年度末ですからね。その幸四郎が乗るアーリントンCですが……。
Y:やっぱりミラアイトーンなのかね。

野:こうなってくるとペルシアンナイトの方が上だと思うのですが、何故か、この馬は池江厩舎の中でのランクが低い気がしますよね。

Y:ランクが低いとは?
野:そもそも2歳夏の小倉デビューというのは気になるんじゃないでしょうか。暑い時期から使われている。しかも、東京や中京にまで遠征済。母系はともかくハービンジャーの評価が思いのほか低いからなのか、ノーザンF系の馬がい過ぎて追分F系の馬だからなのか……といろいろと穿ってしまいたくなります。
Y:確かにシンザン記念を使ってアーリントンCとなるとクラシックを意識しているという使い方ではないよね。
野:マイル向きかも知れませんが、GIレーシングの牡馬ならクラシック路線を目指すものかとは思いますよ。本当にマイル向きなら新馬、OP特別で1800m戦を使うとも思えないですし。
Y:そういった意味ではミラアイトーンもデビュー戦は芝1800m戦で葉牡丹賞を使っているんだよね。
野:それが前走でいきなり距離短縮して1400m戦で快勝。ただ、こちらはデビューから武幸四郎騎手がずっと手綱を取っている馬だしまだ理解できるところもありますよね。最後に重賞で送ろうというのは、前走を勝った時に決まっていたことでしょう。
Y:ペルシアンナイトはそういった意味では他のレースでも良かった気はしてきたよ。
野:表面的には使い分けはないということになっているので、距離適性を見てということになるのかも知れませんが……。でも、日曜阪神9RのすみれSを試しても良かったはずという気がしてなりません。
Y:でも、M.デムーロ騎手を確保しているってのも確かによく分からないよね。
野:明らかに短距離向きという以外のクラブ馬ってクラシック路線を目指すのが王道ばかりだと思っていましたが、ある意味、明日のレースで方針がハッキリするでしょうね。
Y:じゃ、本命はペルシアンナイトのなの?
野:いえいえ、キョウヘイです。シンザン記念でもペルシアンナイトに先着していますし、そもそも千両賞の内容も良くレベルも高かった。単なる道悪巧者ではないと思っています。
すみれSのポイント
Y:日曜日にはそのすみれSが行なわれるけど。
野:7頭立てですがそこそこの面子だと思います。
Y:タガノアシュラがいるから流れることは流れるだろうしね。
野:横綱級というよりは関脇、小結3役クラスがハッキリする感じでしょうね。
Y:ポイントを教えて貰おうか。
野:ルーラーシップ産駒が3頭出ていることでしょう! 初年度産駒だけで判断するのは危険だと思いますが、少なくとも切れる脚を持っている馬が少なく距離もあった方がいいだろうし、スタミナやパワー型というのが大きな特徴でしょう。こうした阪神の中距離戦に馬が集まるのが結果を象徴している気がします。
Y:ルーラーの仔は33秒台前半で上がって来るイメージが確かにないよね。
野:そういった意味でキセキは今回、かなり力が入るところでしょうね。前走は除外されて東京回り。先行馬が33秒台前半の脚で上がる展開は不向きだったはず。

Y:タガノアシュラが普通に逃げればドスローで上がり勝負ということにもならないだろうしね。
野:仮にスローでもどこかでペースアップして流れると思うんですよね。同じくルーラーシップ産駒のダノンディスタンスも上がり勝負にすれば切れ負けするのは分かっていることでしょうし。
Y:もう1頭のグランドディアマンに至ってはダートで連勝してきた馬。
野:母父デヒアということも影響しているとは思いますが、ルーラーシップ産駒を象徴する1頭かも知れません。芝では結果が出ずにダート替わりで押し切る。スタミナはあると思うので……。
Y:確かにこのメンバーならペルシアンナイトは距離が多少長くてもって気はするよ。
野:OP特別だと勝たない限り賞金が積めないので重賞という選択なのかも知れませんが……。
Y:他に注目レースはあるかな。
ライターにとって冠名とは!?
野:日曜京都6Rのエクレアスパークルでしょうね。
Y:アンタラジーやアグレアブールの下だね。
野:馬主の李 柱坤(リーチュークアン)氏は、海外(香港)在住の馬主さんです。マカオジョッキークラブのCEOだとか。日本で馬を走らせるのは初めてですが、セレクトセールでは11年にも馬を購入されています(トーマスリーと表記されています)。この時期のデビューですが注目は注目でしょう。
Y:中内田厩舎なんだね。
野:語学力が買われたんでしょうね。
Y:随分、あっさりしているね(笑)。
野:期待度が高い厩舎なのは間違いありませんが……。
Y:何を言い出すか分からないからよそう(苦笑)。
野:ちなみに、日本では冠名を批判したりする人も少なくありませんが、海外ではエクレールを冠名で使用されています。今後の馬や9文字制限次第でしょうが、エクレアが冠名になる可能性もあるんでは。
Y:別に冠名は日本だけの文化じゃないんだろうにね。
野:ライターやっていると冠名は賛成ですよ。アドマイヤ牝系とかダイワ牝系とかって名付けやすいですし。確認もしやすい。
Y:個人的な問題じゃないかよ。
野:冗談はともかくエクレアスパークルは下の2歳牝馬が(父ハーツクライ)がシルクRでの募集。1歳の牡馬(父オルフェーヴル)はセレクトセールでKTレーシングが1億800円(税込)で落とした馬。アンタラジー以上の馬が出るのかPOGファンは注目しておいた方がいい牝系ですね。
Y:なるほどな。一応、土曜中山9R水仙賞にも触れてよ。
野:梅花賞であっさり負けたのが気に入りませんが、スパークルメノウには注目しています。福永騎手は少頭数レースだと溜め過ぎて届かないレースが多いように思うので、ひょっとすると変わり身があるかなと。
Y:サトノクロニクルも人気を集めそうだけど。
野:キャリアの浅い馬では有力でしょう。ただ、フォーリー騎手を起用してくる意図は見えません。
Y:ハーツクライ産駒だし間に合えばダービーってところかも知れないね。
野:勝たせてあげたいという思いは伝わってくるのですが……。
Y:しばらくはトライアル戦などが続くけど引き続き情報をよろしくね。
プロフィール
野中 香良 - Kosuke Nonaka
編集&ライター。ギャンブル雑誌、競馬最強の法則の元編集者で、現在は競馬関連の編集&ライター業をメインに活動中。最強の法則では『俺はまだ馬券で本気出していないだけ』を過去に連載し神業的なハズレ馬券を披露したこともあった。同誌の連載卒業後も相変わらずの神業的ハズレ馬券を量産中。最新著書は「大手生産牧場の戦略意図が分かれば必然的に馬券は当たりまくる! (競馬王馬券攻略本シリーズ)」。