名馬、名手の里・笠松競馬から2005年にJRAへ移籍。美浦を拠点に活躍を続けるいぶし銀ジョッキー。
不惑を迎えた現在、G1の頂きを目指し、奮闘する騎手人生、騎乗哲学を綴ります。
この距離も3度目 今度こそ勝利を狙いたいです!
2019/8/15(木)
先週のエルムS(G3)はとにかく展開が厳しかったですね。ペースが速くなるだろうとは思っていましたが、予想を上回る速さ。後半の勝負どころでもまた加速するような感覚で、メイショウスミトモにとっては持つところがなく、忙しすぎました。
今週の騎乗馬では、土曜6R(3歳未勝利)のローブドールは以前に乗せてもらったところ、悪いイメージがなかっただけに未勝利のままに終わっていることが意外ですね。いいところを引き出せれば。
日曜6R(3歳上1勝クラス)のグトルフォスは普段がぼーっとしたところのある馬で、厩舎スタッフの方も気を乗せるようやってくれています。このクラスは早い内に勝てると思っていた馬。能力さえ出しきれば、というところです。7R(3歳上1勝クラス)のディーグランデは前回がいい競馬。この距離にしてから、ムキになって走るところはあったのですが、それでも踏ん張ってくれていますから。今の札幌の芝は、先週が雨の影響もある中でのレースだったこともあり、3~4コーナーは多少掘れてきました。それでもいい状態には変わりないのですが。
ちなみに、以前、読者の方から現在の馬場について質問をいただきました。今年も東京で高速決着が続いたり、度々、速い時計が批判の的になりやすいですが…決してJRA側も高速決着を意図して作ろうとしているわけではないです。僕も馬場委員として、開催日なら毎日のように「今日の馬場はどうでしたか?」と聞かれますし、騎手側から馬場が硬いという声が多ければ、中間の散水を増やした方がいいんじゃないか、など要望を出しています。
開催前の競馬場での作業内容も逐一、僕らにも届いており、馬の脚元に負担が掛からないよう、クッションのいい馬場を目指して取り組んでもらっていますし、ましてやレコードが出た時なんて、職員さんが喜んでいることはないですからね…。今年の東京なんかも馬場は速かったですが、決して硬い馬場ではなかったですよ。一般的に速い馬場を目指しているような誤解もありそうなので、たまにはこんなことを伝えたいと思いました。
その他の先週のレースですが、マハヴィルは3コーナーで勝ち馬にかぶされる格好。理想をいえば、勝ち馬の位置につけたかったですね。手応えが決して良くない中でスムーズさを欠きながらも、最後もよく盛り返してくれました。
ギンコイエレジーはいかにも休み明けという内容。道中はうまく運べたものの、伸びきれなかったです。次は変わってきそうですよ。ダブルシャープはゲートの中でバタバタしていなかったものの、4本脚でしっかり立っていない状態。結果、モコッとゲートを出てしまいました。前走と同じような競馬になってしまい、悔しい限りです。
次週はキーンランドC(G3)が行われますが、タイムトリップに乗せていただく予定。使った後も順調に来ているので、差しがきく馬場になってくれることを期待します。
※次回は8月23日(金)に更新予定です!
プロフィール
柴山 雄一 - Yuichi Shibayama
1978年2月19日生まれ、大阪府出身。
1998年に笠松競馬でデビュー。2004年にJRA騎手免許試験を受験したが、それまでに地方競馬からJRA移籍を果たした安藤勝己元騎手らとは異なり、筆記試験の一次試験から挑戦。猛勉強の甲斐もあり、一発合格。4人目の移籍騎手となった。
JRA移籍初年度は80勝をマークする大活躍をみせるも、一時は成績が落ち込み、2009年には年間14勝に留まった。しかし、近年は巻き返しの狼煙をみせ、2015年は72勝。6年ぶりの重賞制覇を成し遂げた返り咲きジョッキー。