ジョッキー対談

競馬ラボがお送りする2012年新春ビッグ企画は、日本の競馬には既に欠かせない存在ともいえるクリストフ・ルメール騎手と、3年連続フランスリーディングの実績を引っ提げて昨秋に初めて短期騎手免許を取得したイオリッツ・メンディザバル騎手によるスペシャル対談!世界を股にかけて活躍する2人が胸の内をタップリと明かしてくれました。

母国・フランス競馬とは


-:まずルメール騎手からメンディザバル騎手の紹介をお願いします。

ルメール:長年、フランスのトップで活躍しているベテラン騎手です。もちろんフランスだけに留まらず海外でも乗っているし、多くの経験を持っています。日本でも過去にワールドスーパージョッキーズシリーズで乗ったことはあっても、短期免許を取得して乗るのは初めてだから彼自身にとって日本での競馬はいい経験になると思う。世界的に名の知られたジョッキーだけど、もっと有名になれる騎手だと思っています。

-:メンディザバル騎手からルメール騎手を紹介してください。

メンディ:クリストフはとてもインターナショナルな騎手で、どこの国でも有名です。そんな騎手が8年も前から短期免許で日本に来ていたなんて凄いことだと思います。今回、僕が日本で乗るにあたってクリストフからいろんなアドバイスをもらいました。それは“日本で友だちを持つこと”です。日本ではフランスのように毎日競馬があるわけじゃない。一人でいる時間が長いとホームシックになってレースでも悪影響が出てしまうもの。彼からのアドバイスは本当に有難かった。

ルメール:このアドバイスは僕が考えたことではなく、何年か前にオリビエ(ペリエ)に言われたことの受け売りなんだけどね(笑)。

-:お二人はフランスで競馬の後、プライベートで一緒に遊んだりするんですか。

ルメール:プライベートでは会わないよ。僕はシャンティに住んでいてメンディザバルは離れたところにいるからね。

メンディ:僕はフランスでもかなりスペインよりにあるPaw(ポー)という所に住んでいます。まぁ、週に1、2度くらいしか帰れないんだけど(笑)。僕は毎日いろんな所で乗っているから、家がPawにあって家族がそこにいるっていうだけなんだけどね。ちょうど日本の栗東と美浦の騎手みたいな関係で、なかなか競馬場以外でクリストフに会う機会自体が少ないんですよ。

-:フランスのジョッキールームの雰囲気を教えてください。

ルメール:だいたい、どこも日本のジョッキールームより小さくてジョッキーが30人もいると一杯になる感じ。メゾンラフィット()のジョッキールー ムが広いのかな?

()ヨーロッパ最長の直線コースを備え る競馬場。その長さは直線2,000mにも及ぶ。

メンディ:あそこは東京競馬場と同じくらいの広さがあるんじゃないかな。

ルメール:それと、フランスにもバレットはいるけど日本みたいに大勢はいない。一人の騎手専用のバレットではなく、一人のバレットが10人くらいのジョッキーを担当している所が日本とは違うね。

メンディ:実は僕もクリストフもフランスでは同じバレットなんですよ。だから月に払うバレット代も日本の騎手の方が多いんじゃないかな?おそらく僕らがフランスで支払うバレット代は日本人騎手が支払うバレット代の1週間分くらいだと思う。それでも10人の騎手を担当していれば月の収入としては十分なんですよ。

ルメール:バレット以外にも違う点は多いね。フランスではJRAのような厳しい規則はなく、レースの合間に携帯電話で外部の人と話してもおとがめなしだよ。空いた時間は騎手が集まってカードで遊んだり、和気あいあいと過ごしています。

メンディ:日本の調整ルームは完全に管理されたシステムで、それを守れる日本人騎手はマナーが良いと思う。だって、もしもフランスギャロが日本のルールを適用したら、おそらく誰も守らないと思うよ(笑)。