母国・フランス競馬とは
2012/1/13(金)
競馬ラボがお送りする2012年新春ビッグ企画は、日本の競馬には既に欠かせない存在ともいえるクリストフ・ルメール騎手と、3年連続フランスリーディングの実績を引っ提げて昨秋に初めて短期騎手免許を取得したイオリッツ・メンディザバル騎手によるスペシャル対談!世界を股にかけて活躍する2人が胸の内をタップリと明かしてくれました。
-:まずルメール騎手からメンディザバル騎手の紹介をお願いします。
ルメール:長年、フランスのトップで活躍しているベテラン騎手です。もちろんフランスだけに留まらず海外でも乗っているし、多くの経験を持っています。日本でも過去にワールドスーパージョッキーズシリーズで乗ったことはあっても、短期免許を取得して乗るのは初めてだから彼自身にとって日本での競馬はいい経験になると思う。世界的に名の知られたジョッキーだけど、もっと有名になれる騎手だと思っています。
-:メンディザバル騎手からルメール騎手を紹介してください。
メンディ:クリストフはとてもインターナショナルな騎手で、どこの国でも有名です。そんな騎手が8年も前から短期免許で日本に来ていたなんて凄いことだと思います。今回、僕が日本で乗るにあたってクリストフからいろんなアドバイスをもらいました。それは“日本で友だちを持つこと”です。日本ではフランスのように毎日競馬があるわけじゃない。一人でいる時間が長いとホームシックになってレースでも悪影響が出てしまうもの。彼からのアドバイスは本当に有難かった。
ルメール:このアドバイスは僕が考えたことではなく、何年か前にオリビエ(ペリエ)に言われたことの受け売りなんだけどね(笑)。
-:お二人はフランスで競馬の後、プライベートで一緒に遊んだりするんですか。
ルメール:プライベートでは会わないよ。僕はシャンティに住んでいてメンディザバルは離れたところにいるからね。
メンディ:僕はフランスでもかなりスペインよりにあるPaw(ポー)という所に住んでいます。まぁ、週に1、2度くらいしか帰れないんだけど(笑)。僕は毎日いろんな所で乗っているから、家がPawにあって家族がそこにいるっていうだけなんだけどね。ちょうど日本の栗東と美浦の騎手みたいな関係で、なかなか競馬場以外でクリストフに会う機会自体が少ないんですよ。
-:フランスのジョッキールームの雰囲気を教えてください。
ルメール:だいたい、どこも日本のジョッキールームより小さくてジョッキーが30人もいると一杯になる感じ。メゾンラフィット(※)のジョッキールー ムが広いのかな?
(※)ヨーロッパ最長の直線コースを備え る競馬場。その長さは直線2,000mにも及ぶ。
メンディ:あそこは東京競馬場と同じくらいの広さがあるんじゃないかな。
ルメール:それと、フランスにもバレットはいるけど日本みたいに大勢はいない。一人の騎手専用のバレットではなく、一人のバレットが10人くらいのジョッキーを担当している所が日本とは違うね。
メンディ:実は僕もクリストフもフランスでは同じバレットなんですよ。だから月に払うバレット代も日本の騎手の方が多いんじゃないかな?おそらく僕らがフランスで支払うバレット代は日本人騎手が支払うバレット代の1週間分くらいだと思う。それでも10人の騎手を担当していれば月の収入としては十分なんですよ。
ルメール:バレット以外にも違う点は多いね。フランスではJRAのような厳しい規則はなく、レースの合間に携帯電話で外部の人と話してもおとがめなしだよ。空いた時間は騎手が集まってカードで遊んだり、和気あいあいと過ごしています。
メンディ:日本の調整ルームは完全に管理されたシステムで、それを守れる日本人騎手はマナーが良いと思う。だって、もしもフランスギャロが日本のルールを適用したら、おそらく誰も守らないと思うよ(笑)。
プロフィール
クリストフ・パトリス・ルメール
(Christophe Patrice Lemaire)
1979年5月20日生まれ。フランス国籍。身長163cm、体重52.5kg、血液型B型。
1999年にフランス騎手免許を取得すると、間もなく頭角を現し、02年より短期騎手免許を取得して来日するようになる。
日本での重賞勝利までには時間が掛かったが、05年の有馬記念では追い込み脚質だったハーツクライを先行させ、三冠馬・ディープインパクトを封じて、見事、初重賞制覇をG1制覇で飾った。
他にもカネヒキリと挑んだ08年のJCダートや、09年のウオッカでのジャパンカップなど、テン乗りを物ともせず、大仕事をやってのけていることで日本のファンにも馴染みは深い。
現在、ヨーロッパではアガカーン殿下やオーギュスタン・ノルマンといった大馬主と専属契約を結んでいる。昨年も祖国フランスのサンクルー大賞や、オーストラリアのメルボルンカップなど、世界のビッグレースを制覇。世界トップクラスのジョッキーである。
イオリッツ・メンディザバル
(Ioritz Mendizabal)
1974年5月2日生まれ。スペイン国籍。 身長170cm、体重53kg、血液型O型。
1994年にフランス騎手免許取得。04年に初めてフランスリーディングに輝くと、08~10年も3年連続でリーディングを獲得。
また、日本では3度目の出場となった08年のワールドスーパージョッキーズシリーズで、45ポイントを獲得して総合優勝を果たした。
昨年秋に初めて短期免許を取得して、日本での騎乗をスタート。通算132戦15勝をマーク。アイムユアーズに騎乗したファンタジーSでは日本での初勝利を重賞制覇で飾った。