－：予想家・安藤勝己としては、皐月賞でのトゥザワールドはどれぐらいの評価ですか？

安：正直、抜けているとは思ってないよ。牝馬(ハープスター)が抜けているのは分かるけど、男馬の評価というのは、どれもそれほど強調できないというか、何か欠点がありそうな気がして。ただ、トゥザワールドは、もちろん勝つだけの能力はあると思ってるよ。その中でも、中山の2000は位置取りとか、枠順、馬場、色々とあるから。

川：酷いですよ、馬場が。悪いけど、内が伸びると。意味が分からない(笑)。3～4コーナーはそれこそ土ですもんね。

安：そんな感じやな。乾いた時は砂埃が立ってるもんな。

川：ちょっとでも雨が降ると、もうどうしようもなくなりますね。グチョグチョで、どこを通って良いか分からなくなりますね。

安：ある程度は勝つだけの能力は持っているけど、上手く立ち回れた馬にやられるかもしれないという気がするね。

－：皐月賞で理想的な枠順はありますか。トゥザワールドの脚質とか、乗り方を考えれば？

川：1番内も嫌ですし、外も嫌ですし、真ん中ぐらいが良いですね。

安：ある程度行かせれば、あの馬は行くよな。

川：行きます。

安：そんな感じがする。この前もあれぐらいの位置に付けるやろなと思ってた。

川：ちょっとユッタリでした、今回は。ポンと出て、取れた所で良いやと。

安：スタートは相当速いもんな？

川：速いです。出していっても、スッと納まりますし。乗り手としてはすごく楽ですよ。

安：そうそう。この前の藤沢さんのところのロサギガンティアも結構強いしな。だから、それほどズバ抜けた馬はいないと思ってる。

川：イスラボニータも競馬の内容が良くなりましたもんね。

安：どっちもフジキセキやな。オレはフジキセキ産駒がG1を勝つような気がしないんだよな、ここ一番。

－：何だかんだで、血統的にもトゥザワールドが１番人気になると思うのですが？

川：トーセンスターダムが1番人気になりますよ。

安：負けてないからな。

－：バンドワゴンとの比較されてしまうのかもしれないですね。

安：そうやね。あれに新馬は負けてるしね。それでも、スタートをして速くないから、随分と無理をしてあそこまでで脚を使っちゃうから、多分坂で止まっちゃうじゃないかな。跳びが大きくて、ビューンとハナに行く馬じゃないから。段々とスピードが乗ってくるタイプだから。スンナリと行かしたら、力があるのは分かっているけど、いつも思うような競馬ができないタイプの馬だからな。逆にトゥザワールドの2400のイメージはどうだ？

川：乗りやすいので、無難にこなしてくれるとは思います。ただ、他の馬との関係からすると、2400に向いている馬がより出てくると思うので。ワンアンドオンリーもそうだし、トーセンスターダムや、イスラボニータも、中山より東京の方が合う馬たちだと僕は思うので、そういう相手と比べれば中山の方が、この子にとってはまだアドバンテージがあるのかなと思いますけどね。

安：今度の勝ち方によって、成長していればまだ分からないよね。

川：今回は新馬以来にビッシリと追ったので、どれだけ変わってくるのか。この短期間で疲れが残ってしまうのか、より良い状態になってくれるのか。

安：取りあえずはやっぱり皐月賞狙いやろうから。

川：まずは皐月賞を勝ちたいですね。

－：ハープスターは取りあえず無事でいてくれたら、という感じなんですけど、皐月賞以降、トゥザワールドはどのような表現が適切ですか？

川：現状で完成度の高い馬なので、弥生賞で初めて目一杯走った分、これからどれだけ変化してくれるか、ということに期待しています。もちろん、良くなってくれると信じています。

安：血統馬やしね。まだまだ力を付けてくる可能性があるし、取りあえずは2000ぐらいが良い馬だという気がするんだけど、とにかく良い競馬をして欲しいよね。

川：上手に走るので、余計に器用にこなせてしまいますから。

安：2400もこなすよ。ダービーぐらいなら全然こなすだろうけど、取りあえず、まずは皐月賞で競馬が上手いから、その分結果を出さなきゃダメかなと思うね。

－：安藤さんからすれば、川田騎手にどんな競馬をして欲しいですか？

安：馬場が分からないけど、今度は外が伸びる感じがするんだけどな。枠順にもよるけど、スムーズに4コーナーまで来て、6～7番手くらいが良いかな。その辺でジワッと外に出してという感じで。動き、反応がすごく良くなってるから、その分この前みたいにどっかで動かなきゃ、直線はすごい脚を使うんじゃない。

川：あれだけ瞬発力があるのだから、もっと我慢をしておいて、直線で待って待って終いだけ放してパーンというのもできると思うんですよね。逆に前半から行かせて、ジワジワ早めに押し切ることもできるんじゃないかと。それも展開次第ですよね。行く競馬になるのか、控えてちょっと待つ競馬になるのか、大体どっちかでしょうね。そのどちらにでも対応できるだろうと。

安：中山はそういう馬の方が乗りやすいから。あんまり勝つというイメージを持たんで、この前はやっぱり勝ちに行き過ぎているから、今度は馬の持ち味を活かすという競馬をすれば大丈夫。それで負けたらしょうがないもん。

－：悪い馬場は大分こなしそうですか？

川：あれだけ大きい馬ですし、頭もちょっと高めなので、ノメることもそうないと思います。本当にグシャグシャな馬場になったら分からないですけど、ある程度までは他の馬よりはこなせるんじゃないかなと思いますね。もうちょっと首を使ってくれると、もっと行けると思うんですけど。

安：綺麗な跳びじゃないもんな、見てても。

川：だからこそ、器用にこなせるのかもしれないですけどね、そこまでは。

－：今後こうなって欲しいというのは首の使い方ですか？

川：本当に何かを求めるとするならば、動き出した時にもう少し体を上手に使えると良いなと。そこだけですけどね。でも、それは何かを求めるとするならばということですが。

－：安藤さんから見て、今年の3歳馬のレベルはどうですか？

安：女馬は4～5頭で、レベルが高いという気がする。男馬はある程度のレベルの馬が、抜けてないんだけど結構いるから、どれがこれから抜け出すかなという。毎年、その年のレベルを言うけど、これは分からんもんだな、正直。後になって結果を見ないと、その年のレベルがどうだったかというのは案外分からないね。

川：ゴールドシップが勝った皐月賞は、内から芦毛馬が来て「何、この馬？」と言っていたのに、今は日本を代表する馬になっている訳じゃないですか。

安：この前(阪神大賞典)は調教の動きが違ってたもんな、ゴールドシップ。ああいう馬が隠れているかも分からんけど、勝った前走でも際どくなった理由が分かっとるんやから、今度は現時点でトゥザワールドの持ち味をフルに発揮してほしいわ。