ジャスタウェイ


昨秋から3度目を数える大和屋暁オーナーへの独占取材だが、インタビューの開始からジャスタウェイは瞬く間にスターダムを駆け上がり、ドバイDFを圧勝。4月に発表された「ワールドベストレースホースランキング」でも日本馬史上初となる世界No.1の評価を受けたことは、競馬界に大きな衝撃を与えた。ジャスタウェイの惜敗が続いていた当時から「ドバイに行きたい。ドバイで勝ちたい」と大きな目標を公言してはばからなかったオーナーが、その夢を実現した今、どんな思いでいるのか、喜びと悩める胸中を明かしてくれた。(取材日:4月10日)

広がる馬主ライフ


-:大きいタイトルも手にして、今後、第二のジャスタウェイとして、新たな所有馬は段々と増えていきそうですか?

大:でも、ハーツクライ産駒の値段が上がるじゃないですか。全然、買える自信がないんですよ。結局、他の馬主さんたちは僕よりもずっとお金持ちだから。

-:ハーツクライ産駒の値段は間違いなく上がっちゃいますね。自分で自分の首を絞めているところがありますね。しかも、こういう結果の出し方を見ると、競馬界ではあまり歓迎されないものですが、明らかに晩成というか、成長力があると思われる部分もあって、長い目で見て買おうとする人も多いでしょうね。

大:「今年はがっつりハーツクライ産駒を買うと言っている馬主さんがいる」という情報も入ってきているので。

-:今から、そういうチェックとかはされているのですか?

大:ハーツクライ好きを自称していると色々な情報が入ってくるんですよね。この前ケガをしちゃったらしいんで、(産駒数が)少ないらしいんです。ということを考えると、より競争率が上がるじゃないか、みたいな。本当に大丈夫なのかなと。去年も買えなかったんで、今年は何とか買いたいなと思っているんだけど……。果たしてどうなりますかね……。

-:去年もちょっと少なかった印象があるんですけど、去年はそのケガの影響があったんですか?

大:そのようですね。でも、いつ頃、どれがというのは分かんないんだけど。でも、この前、北海道に行ったら元気に種付けをしていましたよ。ムッチャ堂々とした種付けでした。上手。ピュッと来て、ピュッと終わらせる。すごいモノを見せていただきました。余談ではありますが、パンデモニウムは繁殖入りできることになりましたよ。なので、現役馬は2頭だけですね。

ジャスタウェイ

-:ハーツクライといえば、橋口弘次郎調教師。橋口先生からコメントはもらいましたか?話では「ワンアンドオンリーで来年のドバイに行きたい」と仰っているそうですが。

大:いや、今回は直接耳にしなかったのですが、福永さんの結婚式の時に隣同士だったので、そこで話をさせてもらって、天皇賞(秋)のことを喜んでくれていましたね。二人でハーツクライ・トークを延々としていたんですよ。それに、他のパーティーで(ジャスタウェイに騎乗経験のある)柴田善臣騎手とも話す機会があったんです。「勝てなくてすみません」謝られたのですが、「滅相もない。去年も一昨年も天皇賞に出られたのは善臣さんのおかげです!」なんて、やりとりをさせてもらって。そもそも、ハーツクライの一口を買ったのは、僕が柴田善臣騎手のファンで、ヨシトミ騎手が乗っていたアイリッシュダンスの子だから、ということだったんですから。感謝したってしきれるもんじゃないです。

-:ジャスタウェイはキャリアの上ではハーツクライと似ているところがありますもんね。

大:そうですね。経歴とそれこそ晩成的なところがね。正確に言うと、「成長力がある」という言い方だね。晩成というよりは両方共、若い時から活躍はしていたんで。

-:僕も2歳の頃からずっとジャスタウェイを応援していましたけれど、まさかここまでとは。

大:みんな言ってます、それ。「まさかここまで」って。


「ジャスタウェイの子でドバイもそうだしクラシックも勝ちたいですね」


-:そういう予感はありましたか?

大:いや。でも、ずっと言ってたんで、「ドバイに行きたい」という話は。言ってて良かったですけどね。言ってなかったら、天皇賞を勝った後にドバイという考えにならなかったじゃないですか。

-:勝ち方と着差とかを考えたら、早いんですけれど、ジャスタウェイも種牡馬としての期待が出てきますよね。次の目標はジャスタウェイの子でドバイを……?

大:それはもちろん。ドバイもそうだしクラシックも勝ちたいですね。

-:その子がセレクトセールで、とんでもない額とかにならなきゃ良いですけどね。

大:それはそれで喜ばしいですよ。まあ初年度は、実際子供が走りだす前は多少安く買えると、僕は考えているので。あと、ちょっと考えているのは今年のセールで、ジャスタウェイの嫁候補を買うという計画がぼんやりあるんです。(ハーツクライ産駒を)買えなかった時に、色々な選択肢が出来たんじゃないかと思います。ただ、社台グループの繁殖名簿を見たけど、大体はサンデーの血が入っているんですね。あまり血統には詳しくないので、よく分からないんですけれどね。

-:クラシックでの過去10年とかを見ても、父はほぼサンデー系ですからね。ちなみにドバイデューティーフリーを勝たれて、海外からのオファーがあったみたいなニュースが掲載されていたのですか?

大:走る前にドバイで関係者向けのパーティーがあったんですが、その時に競馬場の偉い人たちが挨拶に来てくれました。各国の競馬場の人達が「是非、来てください。2000mで良いレースがありますよ」みたいな。オーストラリアの人に「さすがにメルボルンCは長いです」と言ったら、「2000mのいいG1ありますよ」と言われたり(笑)。