2週前の5億円対決が話題になった京都の新馬戦だが、今週もそれに負けない注目の新馬戦が22日日曜日の京都芝2000m戦。

サンデーRで募集価格1億2000万円のフォイヤーヴェルク(牡2、栗東・池江寿厩舎)と、キャロットCで募集価格1億2000万のリオンディーズ(牡2、栗東・角居厩舎)が初戦から激突する。

フォイヤーヴェルクはノーザンFでも評判が特に高かった馬。「別の生き物と思うくらい。モンスター級」など、ノーザンF関係者からは、他馬への評価とは別物の表現が並び、超大物の予感を漂わせた。ただ馬体が小さく、個人的には半信半疑でPOG指名は回避してしまった。
夏の北海道開催の時に入厩し、ゲート試験に合格。一度ノーザンFに戻って、秋デビューを待った。ただ中間に体調を崩した時期もあり、秋デビューはかなったものの、予定よりは遅れることになった。「追うごとに良くなって、少しずつ動けるようになってきた。期待値の高い馬であることは間違いないし、実戦でどんな走りをするか」と岩崎助手。
1週前調教はCWで、6F85秒台、終い1Fは12秒0を一杯でマークしたが、併せたエアカミュゼに遅れ。そのエアカミュゼは併せ馬でサトノダイヤモンド(牡2、栗東・池江寿厩舎)に遅れており、デビュー前の仕上がりという点でサトノダイヤモンドに比べると、フォイヤーヴェルクは少し劣るかもしれない。ただサトノダイヤモンドも直前で変わって来たので、フォイヤーヴェルクも最終調教で変わってくる可能性もある。


フォイヤーヴェルク

▲池江寿厩舎期待の1頭フォイヤーヴェルク


対するリオンディーズは、母がオークス馬シーザリオ、全兄が菊花賞、ジャパンC勝ち馬のエピファネイアと、角居厩舎看板の血統。こちらも放牧先で一頓挫あり少々デビューが遅れてしまった。入厩後の調整は順調で、1週前はCWで68秒台、上がり12秒2を馬なりでマークし、トーゼンビクトリーを煽るくらいの動きだった。
「追えば弾けそうな雰囲気がある。上と比べても見劣らないくらいの素質を秘めていそう」と岸本助手。このコメントからも、厩舎の自信が伝わってくる。

この2頭の対決は見ものだが、他の出走馬も忘れてはならない。アドマイヤダイオウ(牡2、栗東・友道厩舎)は、一族にアドマイヤサガス、チェスナットバロン、ローブデソワと活躍馬が多数。ほとんどダート馬というのがミソだが、この馬に関しては陣営が芝も走れると評価している。調教の動きは軽快で、陣営の読み通り芝をこなせれば、2強の間に割って入ることも。

フォイヤーヴェルク
牡、栗東・池江寿、ディープインパクト×ナイトマジック
POGシメイ

リオンディーズ
牡、栗東・角居、キングカメハメハ×シーザリオ
POGシメイ

このレースばかりに目が行くが、前日の京都芝1600m戦にも評判の期待牝馬が登場。レッドアヴァンセ(牝2、栗東・音無厩舎)は、兄がリディルクラレントレッドアリオンサトノルパンとオープン馬が4頭、うち3頭が重賞ウイナーという超良血だ。
音無調教師が、「ウチの一番馬」と評しているように期待は相当高く、1週前には坂路で51秒2-12秒8と好時計を出している。新馬勝ちしたら、阪神JFへ向かうローテも考えているほどで、どの程度の器なのかしっかり確かめたい。

関東で話題の主役は、21日の東京芝1800m戦に出走のケイブルグラム(牡2、美浦・国枝厩舎)。半姉のルージュバックがきさらぎ賞を勝った頃には、半弟も大きな話題になり、早くもPOGの目玉といった感じで採り上げられていた。ただ、なかなか動きのほうが良くならず、9月に国枝厩舎に入厩した時も、ゲート試験を終えて再放牧。調整先の天栄から入ってくる話も芳しいものではないまま再入厩した。こんな状況だから、もう少し乗り込んで行くと思っていたので、今週デビューは少々早い気も。1週前の調教は、ウッド5F71秒台、上がりも14秒近くを馬なり。
「500キロくらいあって雄大な馬体。追い切りでも既走馬を相手に、余裕の手応えで動けている」という国枝師のコメントから、時計以上の動きは見せているようだ。ムーア騎手騎乗で、能力覚醒を期待したい。

他の出走予定馬は、ダービー2着アドマイヤメインの半弟になるベストレート(牡2、美浦・牧厩舎)。ブレイブスマッシュ(牡2、美浦・小笠厩舎)の重賞制覇で勢いづくエスティF軍団のユーキャンゴーゴー(牡2、美浦・加藤征厩舎)、母が4勝しているイーグルフェザー(牡2、美浦・小笠厩舎)など、なかなか面白い顔ぶれになる。

レッドアヴァンセ
牝、栗東・音無、ディープインパクト×エリモピクシー
POGシメイ

ケイブルグラム
牡、美浦・国枝、ディープインパクト×ジンジャーパンチ
POGシメイ

ケイブルグラム

▲姉同様の活躍に期待がかかるケイブルグラム


22日の東京芝1400m戦は、アグレアーブル(牝2、美浦・斎藤誠厩舎)、プランスシャルマン(牡2、美浦・斎藤誠厩舎)と有力2歳馬を持つ斎藤誠厩舎のスキャットエディ(牡2、美浦・斎藤誠厩舎)。POG本のインタビューでも斎藤師が牡馬のお奨めで挙げていた一頭だ。ウッドでも水準の時計を出しており、初戦から勝負の構え。

マレボプール(牡2、美浦・中川厩舎)も、ウッドでいい動きを見せている。兄に有馬記念2着のアドマヤイヤモナークがおり、成長力も見込める。

23日の東京芝1600m戦(牝馬限定)は血統馬が目立つ。テラノヴァ(牝2、栗東・須貝尚厩舎)は、皐月賞馬キャプテントゥーレをはじめ、アルティマトゥーレクランモンタナなど兄姉に活躍馬が並ぶ。直前の坂路では併せ馬で遅れてしまったが、追走してのもので問題はなかろう。

アルスフェルト(牝2、美浦・尾関厩舎)は、母のアルスノヴァの兄にドリームジャーニー、弟にオルフェーヴルがいる。アルスノヴァ自身も未勝利、エリカ賞と連勝。故障で引退となったが、無事ならオークスを狙える馬だった。繁殖に入ってから目立った馬が出てないので、4番仔のこの馬で一発狙いたい。調教の動きも悪くなく、新馬戦からいい勝負を望める。

プルメリアブーケ(牝2、高橋裕厩舎)は、半兄にセイクリッドバレーがいる厩舎ゆかりの一族。調教は地味だが、兄も使いつつ良くなっていったので、この馬も似たタイプか。

クイックモーション(牝2、美浦・木村厩舎)は、期待のディープインパクト産駒。木村厩舎のパターンで4F追いが中心だが、しっかり動けているので、いい状態でレースを迎えられそうだ。

スキャットエディ
牡、美浦・斎藤誠、Scat Daddy×Hopeoverexperience
POGシメイ

マレボプール
牡、美浦・中川、キンシャサノキセキ×スプリットザナイト
POGシメイ

テラノヴァ
牝、栗東・須貝尚、ヴィクトワールピサ×エアトゥーレ
POGシメイ

アルスフェルト
牝、美浦・尾関、キングカメハメハ×アルスノヴァ
POGシメイ

アルスフェルト

▲尾関厩舎期待の良血馬アルスフェルト


続いては入厩組。もはや、この時期に新規入厩となると遅い組に入るので、有力と見られている馬は少なくなるのだが、珍しくPOGでも人気だった馬が多かった。

目に付いたのはショパン(牡2、栗東・角居厩舎)。エアグルーヴ最後の仔ということで注目度は高かったものの、デビューはかなり遅く、とてもPOGには向かないというのが春頃の評判。そんなこともあり忘れかけていた存在だったので、既にトレセンに入っていることに気づいて驚いた。すぐに結果を求めるのは厳しいだろうが、この血統を知り尽くしている角居厩舎。しっかり格好をつけてくるはずだ。

キャロットCで、ケイブルグラムと並ぶ期待馬ジークカイザー(牡2、栗東・池江寿厩舎)も待望の入厩。池江厩舎は父の代から遅いデビューの馬でもクラシックに間に合わせた実績もあり、これからピッチを上げていきたい。

セレクトセールで9200万円の高額で落札されたミッキーロケット(牡2、栗東・音無、父キングカメハメハ、母マネーキャントバイミーラヴ)も、ようやく入厩。9月には、しがらきに入っていたので時間がかかったが、元々弱いところがあったので、しっかり作ってきたのだろう。音無厩舎とダノン&ミッキーのラインは活躍率が高いので、デビューしてしまえば勝ち上がりも早いだろう

ダンスウィズミー(牝2、栗東・角居、父ディープインパクト、母スプリングマンボ)も、天皇賞馬スズカマンボの半妹で血統的魅力は高い。牝馬に強い角居厩舎で、期待も更に高まっている。

ショパン
牡、栗東・角居、キングカメハメハ×エアグルーヴ
POGシメイ

ジークカイザー
牡、栗東・池江寿、ディープインパクト×ヒルダズパッション
POGシメイ