今週、来週と阪神には中距離の新馬戦があるが、来週の芝1800m戦は有馬記念当日で有力騎手がいないということもあり、期待馬は今週の芝2000m戦に使ってくる傾向が強い。中でも、血統的に大きな注目を集めているのがショパン(牡2、栗東・角居厩舎)だ。祖母はオークス馬ダイナカール、母はオークス、天皇賞勝ちのエアグルーヴ、半姉にG1・2勝のアドマイヤグルーヴを始め、ルーラーシップなど重賞勝ち馬が4頭、そして甥には2冠馬ドゥラメンテと、日本最高の華麗なる一族。その中心になるエアグルーヴの最後の仔となる。
「体つきは兄よりコンパクトだが、背中の感触は似ている。日本を代表する血統だし、やはり期待は大きい」と岸本助手。 1週前の調教(以降調教は全て1週前)は、坂路で55秒7-12秒9(強め)とまだまだ物足りないが、元々かなり遅いという話だったので、この時期にデビューできるだけでも奇跡的。結果よりも内容重視で、素質の片鱗さえ見せてくれれば合格点だろう。もしも勝つようなら、最後の大物間違いなし。

ショパン

▲エアグルーヴ最後の仔ショパンがいよいよデビューを迎える


先に書いたように、ここは有力騎手を乗せようと期待馬が集まっている。ショパンがデムーロ騎手なら、ムーア騎手を迎えたのはグローサーザール(牡2、栗東・池江寿厩舎)。調教はCWで6F86秒、5Fは69秒前半、上がりは12秒後半と時計は地味。550キロくらいある巨体で、まだまだ良化の余地を残しており、残り1週でどこまで仕上げてくるか。ショパンもそうだが、本当は最終週の新馬戦のほうが良い気がするのだが、このあたりは騎手騎乗を考えると仕方ないのか。

この2頭より調教が活発なのはエッジースタイル(牝2、栗東・高橋忠厩舎)。こちらはCWで6F84秒台、5F68秒、上がり12秒0と好タイムをマークした。全姉ロカは新馬戦を好ラップで快勝し、クラシック候補にも挙がった馬。この馬も初戦から好勝負だ。

ルメール騎手を確保したのはステイキングダム(牡2、栗東・吉村厩舎)。420キロ台と小柄な馬体で調教も軽めながら、動きは良好。ただ兄姉に活躍馬がおらず、血統的には地味である。

マールデルプラタ(牝2、栗東・角田厩舎)は、牝馬ながら「長めの距離が合う」(角田師)と2000m戦へ出走。上のトーセンジャステスミッキーデータはセレクトセールで高額馬だが、結果は残せていない。クラブ馬のこの馬は果たして?

ショパン
牡、栗東・角居、キングカメハメハ×エアグルーヴ
POGシメイ

グローサーザール
牡、栗東・池江、ヴィクトワールピサ×ファーストバイオリン
POGシメイ

前日の阪神1600m戦で、血統的に目立つのがプレリュードフィズ(牝2、栗東・石坂厩舎)。兄にクレスコグランド(京都新聞杯)、ダービーフィズ(函館記念)、姉にアプリコットフィズ(クイーンC、クイーンS)と重賞勝ち馬が3頭いる。ただ坂路で56秒9-13秒4(一杯)と動きは平凡。レースまでどれだけ変わり身を見せるか。

エールデュレーヴ(牝2、栗東・須貝尚厩舎)は母系にレーヴディソール、レーヴミストラルがいるファミリー。併せ馬では2週連続で遅れたが、追走したもので心配することもなかろう。ここは有力だ。

中山も面白いのは芝2000m。
最大の注目はデナリ(牡2、美浦・田村厩舎)は、母が重賞2勝のランフォザドリーム、姉に桜花賞2着、天皇賞・秋4着のオウケンサクラ、函館2歳S勝ち馬のフィーユドゥレーヴ、近親にはロジータカネツフルーヴなど活躍馬が多数出ている一族だ。 「追い切りは文句なしに動く。能力的には間違いなさそうだし、稽古通りならこれは楽しみ」と田村師。 コメント通りウッドで5F65秒台の好時計を出し、6戦3勝の素質馬センチュリオンを子供扱いしている。鞍上は横山典騎手を予定している。

この馬ほど派手ではないが、オージャイト(牡2、美浦・加藤征厩舎)も、ウッド6F83秒台、5F68秒台なら悪くない。上4頭は全て勝ち上がっており、長兄サナシオンは障害で5連勝と注目を浴びている。こちらは平地で兄を追いたい。

アースコレクション(牡2、美浦・尾関厩舎)は、先週のこのコーナーで紹介したときに来週の可能性も示唆しておいたが、結局1週伸ばしてきた。相変わらず調教の動きは良く、更に仕上がりは進んでいるはずだ。

プレリュードフィズ
牝、栗東・石坂、キングカメハメハ×マンハッタンフィズ
POGシメイ

デナリ
牡、美浦・田村、マンハッタンカフェ×ランフォザドリーム
POGシメイ

プレリュードフィズ

▲兄、姉に重賞馬多数の良血プレリュードフィズ


中山1600m牝馬限定戦はブリガアルタ(牝2、美浦・尾形和厩舎)。母は京成杯、フローラSで3着のブリガドーン。兄のボンバルディエーレは新馬勝ちしており、この馬も初戦から動けそうだ。

中山ダート1200m戦は、この路線にしては粒揃い。
レッドゲルニカ(牡2、美浦・藤沢和厩舎)は、12月2日の美浦坂路で55秒6-13秒7(馬ナリ)。数字だけ見ると平凡に見えるが、この日の美浦坂路は極重馬場で、この時計をデビュー前に楽に出したのだから、相当なパワーの持ち主だろう。

ブライトリビング(牝2、美浦・久保田厩舎)は、半姉にオープン馬カラフルデイズがいる。ウッドで4F52秒台、上がりも12秒台でまとめ、1600万のバンズームに先着は内容が濃い。

グッドフォーサイト(牡2、美浦・水野厩舎)は、兄に1600万のプラントハンターをはじめ勝ち上がりの多い、いわゆるクズの出ない一族。この馬も堅実に走ってくるだろう。

新規入厩では、桜花賞馬レジネッタの仔ブリゲード(牡2、栗東・浅見厩舎)が注目。前脚の球節に不安があってここまで伸びてしまったので、ここからは順調に行ってほしいものだ。

再入厩組で驚かされたのはリーチザハイツ(牝2、栗東・松田博厩舎)。夏の中京デビューを目指していたが、骨折で休養入り。復帰は来春くらいと見ていただけに、年内に帰厩できるとは思っていなかった。
一時は松田博厩舎の最後のG1獲り(阪神JF)のために社台Fが用意したと言われたほどの馬で、期待は大。骨折明けなので慎重な仕上げとなろうが、一度はデビュー間近まで作っていたので、それほど時間はかからないかもしれない。牝馬なら、年明けデビューでもまだまだクラシックには間に合う。

ブリガアルタ
牝、美浦・尾形、コンデュイット×ブリガドーン
POGシメイ

レッドゲルニカ
牡、美浦・藤沢、カジノドライヴ×エポカブラヴァ
POGシメイ

リーチザハイツ
牝、栗東・松田、ディープインパクト×ドバウィハイツ
POGシメイ

リーチザハイツ

▲骨折での休養から帰厩しているリーチザハイツ(写真は6月に撮影されたもの)