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騎手コラム

アイダホ

今年のG1キングジョージの3着馬。他に昨年、G1英ダービーで3着、愛ダービーで2着の実績がある。主な勝ち鞍はG2を2勝したのみだが、相手なりに走る安定感がある。

キングジョージ当日のアスコット競馬場は大雨で、非常にタフな馬場状態だった。そんな中、最後までしぶとく伸びて3着だったように、相当タフな馬である。管理するオブライエン調教師は、馬場がいいほど走ると評しており、全兄のG16勝、愛国の強豪ハイランドリールは道悪が下手だが、弟は道悪をこなせる。

今年これが7戦目。10月1日の凱旋門賞で8着になった後、中1週、10月15日のカナディアンインターナショナルSに出走して4着。今月16日に来日し、一週間半でレースを迎えるハードスケジュール。今年2度北米に遠征しているように、遠征慣れしているとはいえ、この強行軍で目に見えない疲れがある可能性は否定できない。 そして、前走カナディアンインターナショナルSは雨で馬場が柔らかく、スローペースもあって勝ち時計が遅くなったとはいえ、2.34.37。そこで4着。1着馬はレベルが高くないとされるアメリカ芝重賞でもなかなか勝ちきれなかった馬で、レースレベルに疑問が残る。

単純に小回りコースが合っておらず、広いコース向きの可能性もあるが、足りる力があるかは疑問なところ。96年のシングスピールはカナディアンインターナショナルを制した2走後、ジャパンCも制しているが……。そして、イキートスの項でも記すが、96年にシングスピールが勝って以来、20回連続でサドラーズウェルズの血を持っている外国馬の馬券圏内はない。

イキートス

昨年のジャパンCで見せ場を作って7着、昨年のドイツ年度代表馬である。父アドラーフルークはサドラーズウェルズ系のドイツダービー馬。サドラーズウェルズを持っている外国馬は、96年シングスピール1着以来、20回連続で馬券圏内がない。なお、母はドイツ血脈で固められているが、ジャパンCのドイツ血統と言えば、95年1着のランドが思い出される。

今年は6戦して1勝2着4回。勝ち切れないが、G1ダルマイヤー大賞(2000m)を制している。なお2着4回中、うち3回は今回出走するギニョールを捉えられずに2着に敗れている。追い込み馬だけに展開の助けは必要だ。

2走前の凱旋門賞は勝ち馬エネイブルから7馬身1/4差の7着。シャンティイ競馬場が内有利の馬場であったことを考えれば、外から差してきた内容は悪くない。直線で内を突いて追い込むスタイルの本馬だが、前走のG1バイエルン大賞は外を回し、外で詰まってしまう痛恨の不利。これさえなければ勝っていた内容だった。11月1日のバイエルン大賞からジャパンCに挑むローテは昨年と一緒。昨年のジャパンCと同様内を突く可能性が高く、そうなると内枠のほうがいいかもしれない。血統的には重厚だが、強力な末脚で昨年より上の着順を狙うことは可能だ。

ギニョール

前走のG1バイエルン大賞で逃げ切り、連覇を達成。G1を3勝しているドイツの強豪だ。一定のペースを刻んで後ろに脚を使わせるタイプの逃げ、先行スタイルで、今年3度イキートスの追い込みを封じている。ただ、今年のバーデン大賞で馬場がGood(良馬場)で2.32.55。前走のバイエルン大賞は重馬場だったとはいえ、2400mで2分37秒台と、時計が掛かって良さが出るタイプとも言える。何より前走の逃げ切りはイキートスが外を回して外で詰まるという自滅も大きかった。

血統面を見ると、父はノーザンダンサー系ケープクロスで母父がドイツの大種牡馬モンズン。牝系も代々ドイツで育まれてきた血統で、同じくドイツ血統を持つイキートスと比べても更に重たい血統。日本の競馬場に向いているかというと、正直、疑問なところだ。

ブームタイム

前走メルボルンカップ15着大敗からジャパンCに臨む。これまでG1では完敗の繰り返し、そもそもG2すら勝てなかった馬だが、先月の豪州を代表するビッグレース・コーフィールドカップではインの6番手から内を捌いて初G1制覇を果たした。勝ち時計は2.27.66で、これは近年の同レースでも速い部類の時計だ。アドマイヤラクティも制しているレースだが、ラクティが勝った年より速い。しかし、コーフィールド競馬場はおにぎり型で、直線が350m弱。4コーナーで多少詰まったとはいえ、このコースで内内で溜めることが出来た利は大きい。明らかに楽な競馬だった。力がないとは言わないが、実力で勝ち切ったとも言いにくい。

父はデインヒル産駒フライングスパー。現役時代は短距離馬。母父スニペッツも同じく現役時代短距離馬。父父デインヒル、母父スニペッツの馬に日本でも種牡馬をやっていたスニッツェルがいるが、彼もまた現役時代は短距離馬だった。

ブームタイム自身は豪州で2500mのレースで勝っているように距離の壁はなさそうだが、ことジャパンCで来る血統かというと、そうではない。そして8月末から数えて今回が7戦目。海外遠征は初めてでもあり、目に見えない疲労が心配される。

(競馬ラボ海外競馬特捜班・南浦 和夫)

※レース前日11/25(土)に海外馬取捨の
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