凱旋門賞プレップ診断2[和田栄司コラム]

【マイラーズカップ】群雄割拠のマイル路線！事前注目馬ご紹介！

提供：重賞トレンドジャッジ
10月5日の凱旋門賞当日まで1ヶ月を切った7日、独バーデン=ヴュルテンバルク州の温泉地バーデン=バーデンのバーデン=バーデン競馬場ではG1第142回バーデン大賞(芝2400m)が11頭立てで行なわれ、先の独ダービーを11馬身差で圧勝し、目下凱旋門賞のアンチポストをリードするシーザムーンが単勝1.5倍という圧倒的1番人気で迎えられた。

独ダービーで手綱を取ったクリストフ・スミヨン騎手は、当日ロンシャン競馬場で騎乗する為、この日はクリスチャン・デムーロ騎手との初コンビで臨む。スミヨン騎手はデムーロ騎手にハードなレースをしないようにアドバイスした。ダービー2着の後、G1ダルマイヤー大賞でノーブルミッションを破ったラッキーライオンが6.2倍の2番人気、G1ベルリン大賞で古馬を破ったジリオスが9.2倍の3番人気、やはり3歳馬が人気の中心である。

スタートは昨年の独ダービー馬ラッキースピードが1番良かったが、2番枠から出たシーザムーンが200m走ったところで内から先行態勢に入った。シーザムーンは400m走ったところで1馬身のリードを取り、イニシアが外から続き、ジリオスが内の3番手、ラッキースピードは外の4番手、その後ろにラッキーライオン、3歳の有力馬は前々にポジションを取った。

左廻りの4コーナー、ここ数年は晴雨に関係なく、4コーナーから外ラチ沿いに向かう傾向にある。この日も例外では無く、シーザムーンを先頭にスタンド沿いに進む。しかし後方組はナイトウィッシュ、ジャイアンツコウドロンが距離ロスを考えてセンターを選んだ。直線、2番手に上がったのはジリオス、そして8番手から4番手に上がり、更に外ラチ沿いを進もうというアイヴァノウのせめぎ合いに変わる。

シーザムーンは残り200mであっさりラチ沿いを進んだアイヴァノウに交わされた。アイヴァノウの勝ちタイムはグート表示(良)の馬場、2分36秒30、3馬身差が付いてシーザムーンは2着、その後ろは2馬身差でナイトウィッシュ、1馬身半差でジャイアンツコウドロン、半馬身差でジリオスが続いた。ラッキーライオンは良いところなく7着、やはり距離が長いのだろう。

チェコ人のフィリップ・ミナリク騎手(39才)で勝ったアイヴァノウは、6月のG2シャンティイ大賞典6着からの巻き返し、通算成績を7戦4勝、2着1回とした。ジャン・ピエール・カルヴァーリョ調教師は「フランスで走った後、後ろ脚にトラブルを持った。蹄を見て下さい、短くカットされているでしょう。凱旋門賞は考えますが、休養から戻っての2戦目、難しい問題もあると思います」とコメントした。

まさかの2着に敗れたシーザムーンのデムーロ騎手は「準備が出来ていなかった。100パーセントの出来にはなかったし、今日のレースが彼には必要だったと思います。ペースは作れたし、プラン通り前にも行けた。スローに落として、レースを楽しんでいるようにも思えた。しかし、ダービーのようではなかった。このレースで凱旋門賞の準備は出来たと思うし、きっと彼はダービーの状態で戻って来るでしょう」と話した。

大本命のシーザムーンが2着に敗れたことで、英ブックメーカーの大手ウイリアムヒルは、凱旋門賞前売りオッズを、トレヴ5.5倍、オーストラリア6倍、タグルーダ7倍、ジャスタウェイ8倍、アヴェニールセルタンとシーザムーンが9倍、ハープスターとタペストリーが11倍、アイヴァノウ13倍、ザグレーギャッツビー15倍、イーグルトップ、キングストンヒル、ウイアー、ゴールドシップの4頭を17倍に設定している。

さて今週は凱旋門賞への最終プレップ、13日には愛レパーズタウン競馬場で愛チャンピオンS(芝10F)が行なわれる。注目は英愛ダービーとインターナショナルSを含むG1・3勝馬のオーストラリア、3歳馬の頂点をマイル王のキングマンと争っているだけに、凱旋門賞に行くのか、チャンピオンSに直行してアジェンダを貫くのか、レース後のバリードイルの判断が注目される。

また14日の仏ロンシャン競馬場では凱旋門賞トライアルが行なわれる。昨年の凱旋門賞馬トレヴはヴェルメイユ賞でレース復帰する。フランキー・デットーリ騎手が同日レパーズタウン競馬場で同じ馬主の馬に騎乗する為、トレヴのヴェルメイユ賞と凱旋門賞は大ベテランのティエリ・ジャルネ騎手に決まった。昨年凱旋門賞馬に導いた騎手、あたりの柔らかな騎乗は合っているとレーシングマネージャーはコメントしている。

海外競馬評論家　和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。