【凱旋門賞】前哨戦が終了 トレヴ陣営「今の状態でよく走っている」

9月14日(日)、ロンシャン競馬場で凱旋門賞の前哨戦3レースが行なわれた。

昨年の凱旋門賞馬トレヴ(牝4、仏・C.ヘッド厩舎)が2年連続でヴェルメイユ賞(G1)に出走。今年に入って2連敗中。鞍上にはT.ジャルネ騎手が戻り、期待と不安が入り混じる中での一戦は、行き脚がつかず最後方を追走。道中はスローな展開で直線に向き、満を持して追い出されたかと見えたが、先行馬との差はジワジワとしか詰まらず。最後は3着馬との叩き合いにも敗れ、4着に終わった。

これで今年は3戦全敗。連覇に向けて暗雲が立ち込めるが、「残念ですが、離れた最後方から大外を回っても着差はわずかでしたし、休み明けとしては悪くない内容のレースでした。今後は馬をよく見て、凱旋門賞に向けて調整したいと思います」とC.ヘッドマーレック調教師は前を向く。

昨年以来のコンビ再結成となったジャルネ騎手も「直線で仕掛けてからも昨年のように反応してくれなかったが、今の状態でよく走っている。3週間でどこまで良くなるか」と期待を捨てていない。本番に向けて復調が待たれるところ。

一方、勝利したバルチックバロネス(牝4、仏・A.ファーブル厩舎)は終始ロスのない立ち回りで、直線で最内から抜け出すと逃げ粘るポモロジーを僅かに差し切り、嬉しいG1初勝利。

「人気馬を後ろに好位から理想的なレースができました。夏のドーヴィルは馬場が悪いということでここまで待ちました。叩き合いも頑張ってくれました」と騎乗したM.ギュイヨン騎手はパートナーを労った。凱旋門賞への事前登録はしておらず、A.ファーブル調教師は「今日のような硬い馬場向きの牝馬です。時間とともに良くなってきた馬。凱旋門賞の初回登録はなく、追加登録かBCに向かうか馬主と相談しなければいけません」と今後についての明言は避けている。

ヴェルメイユ賞

大外から追い込む真紅の帽子がトレヴ


3歳馬が集結したニエル賞(G2)を制したのはエクトー(牡3、仏・E.ルルーシュ厩舎)。道中は最高を追走も、直線を向いて一気に先頭に躍り出ると、最後は後続に迫られながらも先頭を死守し優勝。これでデビュー2戦目から一気の6連勝となった。

騎乗したG.ブノワ騎手は「4月以来のレースで距離延長も克服し素晴らしい馬です。最後は詰め寄られましたが、今日はまだ100%の仕上がりではなかったですし、上積みがありそうです」と更なる上昇を予告。

E・ルルーシュ調教師も「休み明けできついレースはさせたくなかったから、最後方からの展開は理想通りだった。春はクラシックを棒に振り悔しい思いをしたけれど、フレッシュな状態で凱旋門賞に向かうことができるので、3週間後が楽しみ」と期待十分。

これまでの距離経験は1600mまでだったが、前哨戦のパフォーマンスによって更に注目を集めそう。戦前の有力馬が軒並み本番前に敗戦を喫する中、新たな主役候補が誕生したと言えそうだ。

ニエル賞

早め先頭のエクト(左)がそのまま押し切る


古馬にとっての前哨戦、フォワ賞(G2)を制したのはルーラーオブザワールド(牡4、愛・A.P.オブライエン厩舎)。スタートで各馬が牽制し合う中、L.デットーリ騎手が先手を奪いにかかると、最後まで影を踏ませぬ逃走劇。昨年の英ダービー馬が復活の兆しを見せた。

「英ダービー馬に騎乗できることは特別なこと。凱旋門賞でも有力の一頭でしょう」とはデットーリ騎手の談。昨年はケガで騎乗できなかった世界の名手。トレヴとはコンビ解消となったものの、新たなパートナーとともに大一番へ臨むことになりそうだ。

フォワ賞

英ダービー馬、ルーラーオブザワールド(左)が逃げ切る