久々も何のその、アドマイヤデウスがしっかり伸びて重賞初制覇!

アドマイヤデウス

15年1月18日(日)1回京都7日目11R 第62回日経新春杯(G2)(芝外2400m)

アドマイヤデウス
(牡4、栗東・橋田厩舎)
父:アドマイヤドン
母:ロイヤルカード
母父:サンデーサイレンス

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前日の風がウソの様に、今日の淀はおだやか。陽だまりの中では暖かさまで感じる。さすがに大勢とは言えないファンの数だが、その有難いファンが見守る中でのゲート・オープン。メイショウサミットの出ムチから始まった今年の日経新春杯。道中で掛かる馬もいたりと、ユッタリな流れで完全に上がり勝負となった。
そんな中で、好位につけたビービートレイターが早めに動いて4角先頭で廻る。直線ではタマモベストプレイと並び追いだすビービートレイター。しかしそこからが長い。内で脚を温存していた馬がラスト1ハロンからドドっと襲いかかる。
ビービートレイターの外をフーラブライドアドマイヤフライトが一瞬先頭もあった。しかし、内ラチ沿いを目も醒めるような伸びでしっかりと伸びたのが、アドマイヤデウス。勢いからも、勝者はアドマイヤデウスと判る伸び脚でゴールを目指す。アドマイヤフライト3着。フーラブライトが2着。人気を二分したサトノノブレスとタマモベストプレイは、伸びを欠いて電光掲示板にも乗れずじまいだった…。


陽だまりの中のパドック、馬が映える。しかし何度見廻しても、どの馬がいいのかが判らない。けっこう長い間、馬を観ていたがこれがいいと浮かびあがってこない。トウシンモンステラは馬体増12キロだったが、まったく太く見えぬ。前走が大幅に減っていたから、戻ったもの。でも、だからと言って悪くない程度で、これならと言った感じがしない。アドマイヤフライトが20キロ増。数字の550キロを観ると驚くが、それほどに太くは見えない。稽古の良さが気になる馬である。
返し馬もしっかりと見る。だが相変わらずモヤモヤ感はいつまでも続く。こんな時は観ていてもあまり楽しくない。
ゲートが開いてメイショウサミットが出て行く。アドマイヤの2頭もいいスタートで、前に位置する。トウシンモンステラはユックリの出で、後ろから2頭目。内へ入れるんだろうなと思う。

2番手をC.デムーロ騎乗のムーンリットレイクが続く。2角を過ぎてタマモベストプレイの内にアドマイヤフライト。その後をフーラブライト。またその後でアドマイヤデウスが内ラチ沿いを。馬群の中でハギノハイブリッドがやや掛かり気味だ。
向こう正面では、馬群の後ろめでホーカーテンペストが前のダコールに乗っかかりそうになり、手綱を引いた瞬間に頭をあげる。その後ろのにトウシンモンステラは、少しずつ内から順位をあげていく。
3角あたりで、ビービートレイターが少し前へ出ていった。坂を下る。3馬身ぐらい離して逃げていたメイショウサミットが、4角が近づいた時には一気に後続が接近して吸収される。ムーンリットレイク、タマモベストプレ、ビービートレイターが並ぶ。外のビービートレイターの勢いが増す。

直線へ入ってきた。タマモベストプレイとビービートレイターが並んで先頭。しかしその瞬間もあっという間。後続馬群が取り付く。
内からアドマイヤフライトが先頭に踊り出る。外からフーラブライドも伸びてきた。と、その時、内ラチ沿いをアドマイヤデウスが鋭い伸び脚で一瞬に先頭へと踊り出る。勢いはそのまま衰えず、弾丸となってゴールへまっしぐら。トウシンモンステラは内を狙うも、開いていたスペースが閉じて入る事が出来ず。最後まで目一杯に追えないままゴールを迎えた。
最後の2ハロンが11.3~11.5。そこを、まさに矢の様に駆け抜けたアドマイヤデウス。これがダービー以来の実戦ながら、エンジンは全開。稽古をみっしり積んでの出走で、久しぶりの影響は微塵にもなく、メンバー最速の33.8で重賞初制覇をなしとげた。

タマモベストプレイは、前へ行って7着。一瞬だけ先頭のシーンもあったから、悪くはなかろう。サトノノブレスの方は11着で、伸びてくるシーンがなかった。有馬記念から、どうも精彩を欠く感じだ。その前の金鯱賞ではいい伸びをみせていたのに、らしさが感じられなかった。
まずはアドマイヤデウスの復活を祝福したい。橋田調教師に、火曜朝に祝福と少し話をさせていただく。《うちの根幹の血統で、本当に良く走ってくれる》と。母のロイヤルカード、祖母のアドマイヤラピスと橋田厩舎に脈々と流れる血統だ。《天皇賞を目指したいので、今後のレースを検討中》との事だが、《京都記念にはキズナハープスターも出るんだから強いね~》と言っていたあたり、もう視野に入っている様だ。
厩舎にとっても非常に嬉しい勝利。今年はアドマイヤデウスにとっても、さらに飛躍の年になるのだろう…。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。