ダンビュライト、3冠フル参戦の実績!ついに重賞勝ちだ!!【平林雅芳の目】

ダンビュライト

18年1/21(日)1回中山7日目11R 第59回アメリカJCC(G2)(芝2200m)

  • ダンビュライト
  • (牡4、栗東・音無厩舎)
  • 父:ルーラーシップ
  • 母:タンザナイト
  • 母父:サンデーサイレンス

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大寒波がやってくるらしい関東圏の週明け予報。だが日曜の中山は小春日和。日差しが温かい。パドックでゴールドアクターは鞍下のゼッケン脇から汗が泡となって落ちていたほど。気合は満面だったが、実戦では走れず。最後は鞍上も止め気味だった。
積極策のダンビュライト、逃げるマイネルミラノをピタッとマーク。早め早めに出る作戦で、後続を封じた。 ミッキースワローも早めに仕掛けて前を追うが、流れが前向きでは2着まで。レジェンドセラーはこの時期で絞り切れないのか、過去最高の542キロでは動けなかった様子。

大阪スポーツの原稿に《昨日の敵は今日の友》と書いたが、実際にはその逆の《昨日の友は今日の敵》となった結果であった。クラシック3冠でパートナーとなって一緒に戦ったダンビュライト。暮れの条件戦は、中山遠征で武豊騎手が乗れないのは仕方ないとしても、今回は先にゴールドアクターの騎乗が決まった後で、同じレースに使うと聞いた。もし依頼されても困ることとなるものだったが、この結末は最悪の結果。こうなって欲しくないものが、現実となってしまった…。

前のレースを勝って気持ち良く、パドックで馬の周回を観ていた。昇り馬のレジェンドセラーが10キロ増。一見して馬体は太いとは見えないが、どんどんと馬体が増えていた近走、さらに今回は最高の数字となった。成長期?と思いながら雰囲気を探るも、何かピンとこない。
ミッキースワローが1番人気、セントライト記念の勝ち方が強烈。菊花賞は距離よりもゲートで終わったのだろうと思ってもいた。やや余裕ある体だが、やはりいい。
ダンビュライトは2番人気。1勝馬の身の上ながら牡馬3冠に皆勤の実績であり、そんなに負けていない戦いであった。前走で2勝目を挙げて意気揚々の今回、やはり十分チャンスあるところだろうと思えた。

ゴールドアクター、馬体は精悍で気合乗りもいい。後は宝塚記念からの久々での実戦か、と思って返し馬を見に急いだ。さすがにパドックで最後まで見続けていると、スタンド反対側への移動はキツイ。すでに返し馬に入ったとこで後ろ姿を観るだけの馬が多かった。ゴールドアクターの返し馬への入りがあまりいい感じに見えなかったな~と思ったりもしていた。
それからスタンドを出て、マイポジションへ移動。そこは有馬記念の時にも見ていたポイント。ゲートを出てきた馬が真っすぐ向かってくる場所だ。ゴールドアクターを中心に観戦する。

ゲートを真っ先に出て、やっぱり先手を主張かと思えた。展開を読むと、前が手薄。誰でも思うことだろう。外からダンビュライトも前へと出てくる。内のトミケンスラーヴァも主張。すると大外からマイネルミラノが押して押して一番前へと出て、最初のカーブを廻っていく。ゴールドアクターは5番手のインに入れた。

眼の前をド・ド・ドッと過ぎて行く馬達。最初のカーブを廻って行く時にはマイネルミラノ、トミケンスラーヴァ、ダンビュライトの3頭が前を構成していく。その3頭が後ろを離して前へ前と行く。5馬身ぐらい離れての後続。外廻りで2つめのカーブを廻っても、まだもうひとつカーブがある様な感じに見える。
向こう正面に入っても、前の3頭と後ろは別行動。その前もダンビュライトが2番手を主張して流れも落ちついていく。
後ろで動きがある。ミッキースワローがラスト1000を前にして、グーンと動きいて行く。ディサイファもその動きについて行く。3コーナーを過ぎた前は、マイネルミラノの後ろを5馬身でダンビュライト。そこからまだ6,7馬身ある3番手グループに、ミッキースワローが上がって行く。そして4コーナーへ入って行く。

完全に先頭で押し切りを測るマイネルミラノ。一気に差を縮めたダンビュライト。まだミッキースワローとは差がある。ディサイファにトーセンビクトリーも脚を伸ばしてきているが、ゴールドアクターにレジェンドセーラーは、まだエンジンの掛かりが遅い。
内側での攻防となった直線。ダンビュライトがマイネルミラノを交わしたのが、ラスト200のところ。ミルコの右ステッキが2,3発入って、フィニッシュは馬なりだった。粘るマイネルミラノをミッキースワローが半馬身差したのは、ゴール寸前だった。

ゴールドアクターにレジェンドセラーは、馬群の中団後方で参加できないまま。 特にゴールドアクターは、最後は流していた。上がってきた馬を囲んで、担当さんや調教師も駆けつけて前肢を見守る。どうやら異変を感じて最後は止めにかかった様である。

そのすぐ先の検量室前の枠場。一番左のところでダンビュライトが帰ってくるのを待ち受ける音無師に、『おとちゃん!、おめでとう!』と言うのが精いっぱいであった・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。