ダイアナヘイローが逃げ切り!福島師、有終の美を飾る!!【平林雅芳の目】

ダイアナヘイロー

18年2/25(日)1回阪神2日目11R 第62回阪急杯(G3)(芝1400m)

  • ダイアナヘイロー
  • (牝5、栗東・福島信厩舎)
  • 父:キングヘイロー
  • 母:ヤマカツセイレーン
  • 母父:グラスワンダー
阪急杯の結果・払戻金はコチラ⇒

いつも好発のダイアナヘイロー。今日も外枠からポンと出た。しばらく廻りの出方を見ていた武豊J。外のアポロノシンザンが行かぬとみると迷わず先手、そこからが真骨頂。34.2と、このクラスでは緩い流れを演出。1馬身のリードながら誰にも絡まれない単騎の逃げで直線に、坂を上がるラスト300から追いだした。外からモズアスコットとレッドファルクスが並んで追い込んできたが、クビ差残しての勝利。引退する福島師に、メモリアルな勝利をプレゼントした。

パドックで入場から馬を見る。1頭ずつ入念に。競馬専門紙で血統を確認しながら馬体のシルエットで父や母を探す。前走や近走の時の印象と比較する。前回時に良く見えなかったモズアスコットは、今回はそう悪くない。馬にも相手関係があるのだろうかと思う。
ダイアナヘイローも、前走時の方が馬が薄く見えた。今日はマイナスでも、そうは見えない。何よりも、お尻が尖ってなく丸みを少し感じる。だが全体を観てもどの馬がいいとは思えない。これは乱戦だな~と後にする。返し馬はすぐに左へと行く馬が多く、今日は全体の馬を観れずじまい。なお判らなくなってきた。

ゲートの中でアポロノシンザンが突っかけた。その後にゲートが開く。モズアスコットの方が早いぐらいの出であった。ダイアナヘイローは、いつもどおりにいいスタート。馬群の一番前にいた。内からムーンクレスト、さらにその内からニシノラッシュが前へと出て行く。やっとダッシュのついたアポロシンザンが、後ろから外を追い上げて来ているのが見える。

1ハロンを、ニシノラッシュ先頭で通過。ムーンクレスト、ダイアナヘイローと半馬身ずつで続く。内でシュウジとペイシャフェリシタがインで続く。少し行ってからダイアナヘイローがムーンクレスト、そしてニシノラッシュをも交わして先頭へと立って内へ入って行く。2ハロンを過ぎていた。

モズアスコットは中団の少し後ろ、内にレッドファルクスがいる。最後方がコロマンデルで、けっこうな縦長の展開だ。 3コーナーのカーブを過ぎたあたりで、アポロノシンザンが2番手に上がる。前との差は1馬身。内のニシノラッシュが控えたかの様だ。 ムーンクレストを交わして、マイネルパールマンが上がって前を追っていく。前半3Fが34秒台少しで通過したのが判る。《この流れはいいぞ~》と内心で思う。

そのまま4コーナーへ入ってきたが、まだ先頭をキープしたまま直線へと入る。相変わらずリードを1馬身ぐらい保っているダイアナヘイロー。ラスト1ハロンでも後ろが詰められない。思わず《ゴールはどこだっ!》と身を乗り出して観る。《あと少し、もう少し!》と祈る気持ちになる。外からピンク帽の馬と赤い帽子で赤の勝負服の馬がドドッと視界に入ってきた。《頼むっ!》と願う。

階段を急いで降りる。検量室の横を通る時に場内アナウンスが『内のダイアナヘイローです!』の声が聞こえた。そして歓喜の瞬間が続く。武豊Jが、珍しく大きく手を振って帰ってきた。福島師、馬主関係者との握手が続く。《こんなことがあるんだっ!》と思える、劇的な引退の日の最後に重賞勝利を収めた福島信晴師。競馬って本当に不思議な現象が起きるのだなと、またまた教えられた瞬間でもありました。それにしても、この鞍上だといろんな事が起きますな~。敵に廻したら嫌な人でしょうね・・・と。
そんな事を思いながら帰っていたら、『オメデトウ!』とルメール騎手が駆け足で抜いて走って行きました・・・・。本当に有難い勝利でありました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。