脚が違う!アーモンドアイが外から一気に桜女王に!!【平林雅芳の目】

アーモンドアイ

18年4/8(日)2回阪神6日目11R 第78回桜花賞(G1)(芝1600m)

  • アーモンドアイ
  • (牝3、美浦・国枝厩舎)
  • 父:ロードカナロア
  • 母:フサイチパンドラ
  • 母父:サンデーサイレンス
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4戦無敗のラッキーライラックの敵は最内の枠順だけかと思っていたが、対戦していなかった馬に強敵がいた。ゲートも出して3番手のインの絶好位で脚を貯め、満を持して追い出した直線。無駄な脚を使わずに出てきた、はずであった。だが外から、それも後方からそれも一気に、前へと出てきたアーモンドアイ。ルメール騎手独特の肩ムチだけで追ってくるアクションに応え、グイグイと脚を伸ばす。最後は抑え気味のゴールで、0.3秒の差をつけていた。

朝から寒さと人の多さに驚いていた。行きたいところへ行きつくのに時間がかかり過ぎる。そんなことが何度あったことか。だからひとつ前のレースは観戦もせずにパドックに居座って馬が、入ってくるのから待っていた。
入場してきた馬が周回しだす。さすがにここへ出てくる馬でうるさい馬はいない。時折、パドック廻りの人達が起こす音や仕草に反応するが、おしなべて行儀よく周回する。
注目は、ぶっつけのアーモンドアイとプリモシーンのシルクの2頭である。アーモンドアイはどっしりとして風格さえもある。プリモシーンの方が最初はイラつき気味で、徐々に落ちつきだした。まずは久々でマイナスな面は感ぜず。
17頭で体が増えたのは、マウレアとレッドサクヤの2頭だけ。他は±0か、ささいな減少であった。細く映る馬は見当たらない。ラッキーライラックが前回時の方がもっと良く見えた気がした。オルフェーヴル譲りの毛色のせいなのか・・・。

今日は建物の中から観戦するには人が多すぎて、身動きも出来そうもない。外で寒さに震えながらレースの開始を待っていた。
ファンファーレが鳴り、場内のボルテージもマックスに達する。そしてゲートオープン。
シルクの2頭の出がユックリだ。プリモシーンは出遅れて、アーモンドアイは遅い出であった。ラッキーライラックを観ると、一番前にいるではないか。外からコーディエライトにツヅミモンが来て3番手となり、インにうまく治まった。マウレアはと見ると後ろめで、内にトーセンブレスがいる。アーモンドアイは後ろから2頭めにいた。淡々と流れて4コーナーが近づいてくる。

ラッキーライラックがどこに進路を取るのかと注目して観ていた。最内を選ぶのか、どうするのかと。すると真ん中を選択して、スムーズに出てきた。前を行く馬を抜いて先頭に立って行く。《やっぱり強いわ~》と感嘆の言葉が頭のなかを通り過ぎようとする時に、外を凄い勢いで上がってくる馬、アーモンドアイが目につく。マウレアの後ろに居たのが外へ出して一気に前へと加速しだしている。それも半端な勢いでない。まるで全部の馬をひと飲みするぐらいの勢いである。
内でラッキーライラックが必死で追っているのを後目に、涼しい顔をして外を走り抜けるアーモンドアイ。むしろリリーノーブルがラッキーライラックに迫る勢いで、ゴールに近づく。そこから少し離れたところが大接戦、外のトーセンブレスとマウレアだが、内の4頭ほども差なくゴールになだれ込んだ。

《1.33.1》のタイムがまぶしい。「これは速いな~」と思ったが、やはり桜花賞レコードらしい。それも同じ国枝厩舎のアパパネの記録を破ってのもの。最後は流し気味だったからコンマ1秒は縮まったのではと、素人は考える。何せ、勝った馬が強すぎる、次元が違い過ぎた。そんな感嘆詞しか浮かばない。ローテーションがどうのこうのと思って軽視した自分が恥ずかしい。馬の能力を知らなさ過ぎた。そんな思いであった。
ロードカナロア産駒のG1制覇。それも桁違いの脚である。シルクも初G1らしい。
検量室前は意外と静かであった。勝ち馬の強さに圧倒された感じであった。ルメール騎手が帰ってきた。《凄いねっ!》と声をかけると、馬上から同じく『凄い!、すごいよ!!』と嬉しそうに返ってきた。今年の桜花賞は、忘れられない桜花賞となりそう・・・だ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。