今日はちょっとばかり予想ではない余談を。秋の東京・京都開催も前半戦を折返し。ご存知の通り、ビッグレースでは外国人騎手、大手生産者の活躍が目立つ。秋になれば、世界の超一流どころのジョッキーが来日、ここ最近は海外のレースでも日本馬が活躍しても不思議ではなくなった。それも日本競馬界のレベルアップの現れかもしれない。

ただ、日本はドメスティックな環境の中でも発展を遂げ、海外のジョッキーや関係者が「日本のファンは熱い」と口を揃えるほどだ。そのパワーバランスが一極集中しつつある昨今だからこそ、語弊があるかもしれないが、古くからの流れを汲む人馬を応援したくなる。そんなファンは少なくはないだろう。

かく言う自分も極端に偏った考えをしているわけではないが、そういう「渋い」存在を見ると、ついつい応援してしまう。「渋い」という表現。自分はイイ意味で使っているものの、人によっては非常に聞こえがよくないかもしれない (苦笑)。決して卑下しているわけではないことをご理解いただきたい。

少々前置きが長くなってしまった。今回、取り上げたいのは先日の秋嶺ステークスを制し、オープン入りを果たした4歳馬ダンツゴウユウ(牡4、栗東・谷厩舎)だ。

ダンツゴウユウ

ダンツゴウユウの父は2008年のJBCスプリントを制したバンブーエール、母は未勝利に終わったチョウカイクリスという血統。姉に2016年のクイーンSで3着に入ったダンツキャンサーがいるが、未だJRAで3頭しか勝ち上がっていないどころか、生産数も少ない稀少な父の産駒なのだ。

2015年の北海道オータムセールを669.6万円で姉も所有した山元啓二オーナーに落札されると、姉同様、栗東の谷潔厩舎で管理され、2016年11月にデビューした。当初は走っても結果がでないどころか、二桁人気続き。初勝利まで7戦を要したように、当時の成績からは、ここまでの出世はなかなか想像し辛い成績だったことが窺いしれる。

現在担当の安藤正平調教助手も「昔は牝馬のようにカリカリしていて、線も細かったからね」と振り返る。ここ最近、幾度となく馬房でのゴウユウを拝見している私からすると意外だ。うるさいか落ち着いているかどちらかと言えば、落ち着いている部類に入るといえるはず。そこから心身ともに逞しくなったということだろう。

ダンツゴウユウ

ダンツゴウユウ

安藤助手と酒井学騎手(右)

ダンツゴウユウ

ゴウユウのキャリアは正しく叩き上げ。初勝利から500万に昇級。そこで次の勝利を手にするまでに7戦を要しているのだが、準オープンに昇級しても、馬券圏外の結果は4度続いた。昇級して即結果を残すのではなく、走って、走って、力をつけてきた苦労人ならぬ苦労馬だ。

「僕も本当に好きな馬なんですよね。だって1年以上、放牧に出ずに走ってくれて、力をつけてきた馬ですから。本当は今日勝てなかった場合、予定していたレースがあったのですが、その日は既に僕も福島で予定が入ってしまっていて、どうしても乗りたいけれど、先約を優先しなくちゃいけない…。勝てないと諦めていたわけじゃありませんが、もし、乗れなかったら本当に残念でした。それくらい僕も気に入っている馬です」

こう語ってくれたのはパートナーの酒井学騎手。前走のレース後、騎乗を終えたところを伺うと、その熱弁ぶりだけで、この馬への思いが伝わってくるほどだ。「僕は下手に乗っていますから。本当にダンツゴウユウに感謝です」と主戦は語るが、本来は馬群に入れて、一旦息を入れての競馬が理想だったという。しかし、大外枠のため、終始外外を回らされる形。4角を回ると早々とステッキが入る。ここまでみれば、分が悪い。それでも鞍上のゲキに応えるとジワジワと先頭の差を詰め、ラスト1Fからグイっとひと伸びで差し切り。キレないが、バテない末脚。ダンツゴウユウらしいしぶとい競馬だった。

「追い出してからサッとは反応してくれないんです。でも、追って、追って、伸び出して、最後にエンジンがかかる。だから、東京コースは合うのでしょうね(※これが東京コース初勝利)」

ダンツゴウユウ

苦節を乗り越え、晴れてオープン入りを果たしたダンツゴウユウ。これからはオープンでの戦いになる。「前走辺りから行き脚もつくようになってきたんですよね。これだけ使っていて、休んでいないのに、走ることに前向きになっているのだから成長しているのかもしれません」とジョッキーは進化を口にする。

気になる次戦は、11月18日(日)のオープン特別・霜月ステークス(東京ダート1400m)。これまで以上に厳しい闘いになることは違いない。「いきなり重賞よりもオープン特別からとなりました。距離は短くなりますが、ハンデもそう背負わされないでしょうからね」と安藤助手は見通しを語ってくれたが、オープンで上位争いするまでに、もっと時間が掛かるかもしれない。それでも、ゴウユウならへこたれずに走り続け、やり返してくれるはず。そう期待してしまう。

※前走はハンデ差、臨戦過程の差もありましたが、強い相手を差し切ったようにオープン特別でも対応するかもしれませんが(笑)

ダンツゴウユウ