毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【エプソムC】ここが飛躍のキッカケとなる!
2019/6/2(日)
1983年、日本ダービーが50回を迎えたのを機に東京競馬場とイギリスのダービー開催場であるエプソム競馬場が姉妹競馬場として提携。このときに記念植樹(東京競馬場から桜を贈り、エプソム競馬場からは柏が贈られた)とカップの交換を行い、翌1984年から東京競馬場で『エプソムカップ』、エプソム競馬場で『The JRA Condition Stakes』が創設。両競馬場およびJRAと英国ジョッキークラブの親善を図っている。近年ではエイシンヒカリ、ジャスタウェイ、サトノアラジンといった馬がのちにブレイクするキッカケともなった注目重賞をデータで占ってみたい。
前走の『格』が盲点に!
[前走レース]過去10年、マイラーズCからの参戦が3勝。13頭が出走して(3.2.1.7)と高い好走率を残している。2勝を挙げているのが都大路Sで、新潟大賞典からの参戦は34頭と数が多く、アベレージは低く出ているが、馬券絡みが6頭出ている。今年から降級がなくなり、今後の動向は変わってくるだろうが、前走準オープンから馬券に絡んだのは2着と3着がそれぞれ1回あるだけ。マイラーズC組に好走が多いことからも、前走の格には注意を払いたい。
過去10年注目データ
[年齢]過去10年で圧倒的に強いのが4歳馬で、7勝、2着5回。連対率37.5%、複勝率43.8%は他の世代を大きく引き離している。出走頭数も32頭と少なくはなく、馬券のどこかに割り込んでくる可能性はかなり高い。他の世代では5歳馬2勝、6歳馬1勝。年齢を重ねる毎に勝率、連対率はダウン。複勝率は6歳馬が5歳馬を逆転するが、4歳馬との差は歴然。7歳以上は連対がなく、割り引いて考えたい。
[前走着順]前走から連勝を果たした馬は2頭、前走2着馬も2勝。2着は過去10年で6頭が前走で連対を果たしていた。一方で前走3~5着馬は不振で、狙うならむしろ6着以下に敗れた馬。2ケタ着順となると信頼度が大きく下がってしまうが、前走6~9着馬は3勝を挙げ、2着3回、3着2回と好配当のキモになっている。勝った3頭は重賞勝ち、もしくはオープン特別2勝以上の実績を持っていた。人気落ちの実績馬は要注意。
[枠順]単なる巡り合わせなのだろうが、枠番別では7枠が未勝利でアベレージが低い。両サイドの数字は悪くないだけに、今年こそ好走馬が現れるか。内枠が少し優勢だが、8枠の数字も悪くはない。
馬番別で馬券絡みがないのは「9」「15」「17」の3つ。ほぼ均等に好走馬が出ており、枠番、馬番はさほど気にしなくていいだろう。
[脚質]過去10年で4角先頭からそのまま押し切ったのは15年エイシンヒカリ1頭のみだが、2着2回、3着3回と6回の馬券絡みがあるのは頭に入れておかなければならない重要なデータ。後方からの差しも度々決まっているが、勝ち馬は人気サイド。紛れの少ないコースで素質馬がその力をいかんなく発揮しているといえるだろう。一方、4角10番手以下から直線一気で差し切った馬はおらず、終い一手の馬は厳しい。
好配のキモは3着馬!
1番人気は過去10年(4.3.0.3)と上々の信頼度。連対を外した3頭はいずれも差しが不発のケース。勝ち馬は全て5番人気以内で、2着馬も9頭が5番人気以内。好配のカギとなるのは3着馬で、7頭が6番人気以下。人気薄をアタマや連軸で狙うのは得策とはいえない。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 4-3-0-3 | 40.0% | 70.0% | 70.0% |
2番人気 | 4-1-1-4 | 40.0% | 50.0% | 60.0% |
3番人気 | 0-3-1-6 | 0.0% | 30.0% | 40.0% |
4番人気 | 1-2-1-6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
5番人気 | 1-0-1-8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 0-1-5-34 | 0.0% | 2.5% | 15.0% |
10番人気~ | 0-0-1-77 | 0.0% | 0.0% | 1.3% |
西のジョッキーがアツイ!
関東で行われる重賞だが、出走頭数はわずかながら関西馬の方が多く、勝ち馬、2着馬ともに関西馬の方が多い。ここからエイシンヒカリ、ジャスタウェイ、サトノアラジンといったG1ホースが出ているように、紛れの少ない東京コースで行われるこのレースは関西馬にとって試金石となっている。
ジョッキーの方も3着こそ美浦所属のジョッキーが8回と多いが、栗東所属のジョッキーが36回の騎乗で(7.8.3.18)と抜群の好成績。このレースに騎乗する栗東所属のジョッキーは勝負気配が強いと見て取れる。
[キャリア]勝ち馬の最少キャリアは11年ダークシャドウ、15年エイシンヒカリの7戦。4歳馬の活躍もあって、過去10年の勝ち馬は8頭がキャリア15戦以下。10戦以下の馬も5勝を挙げていて、叩き上げの馬よりもフレッシュな遅れてきた素質馬が狙い目。最多キャリアは14年ディサイファの22戦。2着馬の最多キャリアは10年シルポートの26戦。25戦を超えると信頼度は大きく下がる。
[乗り替わり]前走と同じコンビが63頭、乗り替わりが105頭と乗り替わりが多く発生するレースだが、1~3着に入った回数はほぼ互角。従って乗り替わったコンビのアベレージは低く出ている。積極的に乗り替わりを狙えるというより、前走と同じコンビはそれなりの手応えがあると見た方が無難だろう。
[当該コースの騎手成績]2014年以降に行われた東京芝1800mで最も多く勝っているのは戸崎騎手の43勝。これが大きく抜け出していて、2位がC.ルメール騎手の22勝、以下、北村宏司騎手が21勝、横山典騎手18勝、M.デムーロ騎手16勝、蛯名騎手15勝と続き、騎乗機会が多いことを差し引いても戸崎騎手の巧者ぶりが光っている。この中で美味しい存在はM.デムーロ騎手で、勝率は26.2%、連対率は45.9%にのぼり、単勝回収率は118%。どうしてもその名前で人気になるケースが多いが、期待に違わぬ好成績を残している。
[馬体重]勝ち馬の最少馬体重は16年ルージュバックの452キロ。最高馬体重は10年セイウンワンダーの524キロ。比較的小柄な馬も活躍していて、好走馬は幅広いレンジから出ている。馬格も気にしなくて良さそうだ。
[種牡馬]まず一目置かなくてはならないのがディープインパクト産駒で、過去10年で4勝。出走頭数もそれなりに多いが、連対馬6頭は全て2番人気以内で、人気の有無である程度の取捨はできる。複数回馬券に絡んでいる種牡馬を見ると、ダンスインザダーク、マンハッタンカフェ、ホワイトマズル、サンデーサイレンスと産駒が少なくなった、もしくはもういない種牡馬で、今後ダイワメジャー、ハーツクライ産駒あたりがどれだけ走ってくるか注目される。
レイエンダは、アベレージ面では落ちる関東馬だが、年齢、キャリア、成長してきた馬体、さらに巻き返しの多い前走6~9着など、データ面のプラス材料が多い。兄にダービー馬・レイデオロを持つ良血で、昨秋にセントライト記念2着の実績もあるが、ここが本格的な出世のスタートになるとみたい。