毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【宝塚記念】G1馬6頭の競演で浮上したのは…!?
2019/6/16(日)
ファン投票により出走を選出する西のグランプリとして1960年に創設。上半期の競馬を締めくくる大一番となっている宝塚記念。2009年から宝塚記念専用のファンファーレが使用され、2011年からはブリーダーズカップ・チャレンジの対象競走に指定。優勝馬には当該年のブリーダーズカップ・ターフへの優先出走権と出走登録料・輸送費用の一部負担の特権が付与される。さらに、2019年からは豪・コックスプレートへの優先出走権が付与されることになった。さて、データから夏のグランプリで浮かび上がってくるのはいったいどの馬か?
まずは春の天皇賞組だが…
[前走レース]出走頭数が多いこともあるが、古馬の王道といえる天皇賞からひと息入れての参戦が5勝、2着2回、3着2回と多く馬券に絡んでいる。天皇賞で勝ち負けした馬はまずチェックしておきたい。その他では鳴尾記念をステップした馬や世界の強豪に揉まれてきた海外からの帰国組、また、ヴィクトリアM組も勝利はないが、(0.2.3.5)と10頭のうち5頭が馬券絡みを果たして複勝率は50%にのぼる。
過去10年注目データ
[年齢]年齢別では5歳馬が6勝と強く、4歳馬が3勝、6歳馬が1勝。馬券絡みはほぼこの3世代に限られていて、7歳以上の馬券絡みは昨年2着の香港馬・ワーザーのみで大きく割引。ここ10年では5歳馬が勝率、連対率、複勝率いずれも大きくリードしている。3歳馬も出走しやすい日程になったが、出走機会は少なく、今年も登録馬はいない。
[前走着順]勝ち馬10頭のうち、5頭が前走3着以内。2着は6頭、3着は8頭が3着以内で、前走で上位争いをしている馬の勢いは重要。前走で掲示板を外し、宝塚記念で巻き返して馬券に絡んだ馬は8頭いるが、15年2着のデニムアンドルビー以外はいずれもG1ホースで、デニムアンドルビーもジャパンCでハナ差2着の実績があった実力馬。17年は前走で掲示板を外した馬がワン・ツー・スリーだったが、いずれもG1を勝っていて、巻き返しには相当な底力が要求される。
[枠順]枠番別の成績を見るとかなり偏りがあって、過去10年で何と8枠が6勝、6枠が2勝。残るは1枠と2枠が1勝ずつ。また、面白いのは6枠と8枠に2着馬は1頭もおらず、両サイドに挟まれた7枠も2着が1回という不振。まずピンクの帽子は要チェックだ!
馬番別では「11」が3勝、「16」が2勝。馬券絡みがないのは「12」「14」「15」「18」で、少頭数が多いこともあって「15」で5回、「18」のフルゲートは過去10年で1度しかない。
[脚質]内回りでの施行で先行有利には違いないのだが、過去10年で4角先頭から連対を果たした馬はおらず、17年は圧倒的な1番人気に支持され、好位でレースを進めたキタサンブラックが失速。好走馬の脚質は逃げあり、追い込みありとバラエティに富んでいる。4角10番手以下からの差し切りはオルフェーヴル、ドリームジャーニーの兄弟2頭。
1番人気は取りこぼしも…
過去10年、1番人気は(2.3.2.3)と勝ち馬はわずか2頭。複勝率は70%あって、上位には多く顔を出しているのだが、アタマとなると少し心許ない。ちなみに勝ったのは14年のゴールドシップと12年のオルフェーヴル。馬券圏内を外したのが、3連覇がかかった15年に大きく出遅れて15着に大敗したゴールドシップと17年9着のキタサンブラック、そして昨年6着だったサトノダイヤモンド。
5番人気以下の伏兵も数多く好走していて、8番人気、6番人気が2勝ずつ。過去の傾向から、人気を落としている実績馬には注意を払いたい。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 2-3-2-3 | 20.0% | 50.0% | 70.0% |
2番人気 | 2-1-1-6 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
3番人気 | 1-1-2-6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% |
4番人気 | 0-0-1-9 | 0.0% | 0.0% | 10.0% |
5番人気 | 0-2-0-8 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 5-1-2-32 | 12.5% | 15.0% | 20.0% |
10番人気~ | 0-2-2-52 | 0.0% | 3.6% | 7.1% |
東の勝負気配を見逃すな!
勝ち馬の比率では関西馬有利なのだが、関東馬は出走機会が少なく、過去10年でのべ30頭が出走して(3.2.0.25)は決して悪くない数字。この時期に敢えて西下してくる馬はそれなりに勝負気配が強いと見ていい。
ジョッキーの方も東の健闘が光り、過去10年で4勝。騎乗機会はおよそ1/3で、こちらの勝負気配も強い。
[キャリア]好走馬は4~6歳に集中していることもあって、20戦以下の複勝率が高い。20戦を超えていても30戦以下ならば好走馬もいるが、31戦を超える馬は18頭いて1頭も馬券に絡んでいない。叩き上げタイプより、ある程度のフレッシュさが必要となっている。
[乗り替わり]前走から乗り替わりとなった馬は過去10年で2勝。146頭が出走して同じコンビと乗り替わりが73頭ずつと全くのイーブンだが、その成績は前走と同じコンビが圧倒している。乗り替わりはマイナスとみたい。
[当該コースの騎手成績]2014年以降に行われた阪神芝2200mで最も多くの勝鞍を挙げているジョッキーは武豊、川田騎手の8勝。ともに複勝率50%を誇り、勝率、連対率も他のジョッキーと比べて群を抜いた数字を叩き出している。その2人に続くのが岩田、M.デムーロ、和田竜、福永騎手の4勝。C.ルメール騎手は騎乗機会が少ないこともあるが、2勝とひと息。宝塚記念との相性もイマイチだ。
[馬体重]京都よりパワーを要する阪神コースで、梅雨にかかる時期的なものもあって、パワーが勝った大型馬が多く好走しているかと思いきや、比較的小柄な馬の成績が目立ち、アベレージも高い。馬格はあまり気にしなくていいだろう。
[種牡馬]何といっても目を引くのがステイゴールドの5勝。今年も3頭が特別登録を行い、その中には最強の1勝馬・エタリオウの名前がある。ただし、5勝を挙げている一方、2~3着が1頭もいないのは面白いところでエタリオウがどんな走りを見せるか興味深い。
複数回馬券絡みを果たしている種牡馬はキングカメハメハ、ディープインパクト、グラスワンダー、スペシャルウィーク。底力、タフさに長けたタイプが多く、パワータイプは要注意。ディープインパクト産駒も切れ味や瞬発力を生かすタイプより渋太いタイプが好走している。また、中・長距離で活躍馬を多く出しているハーツクライだが、馬券絡みは14年2着のカレンミロティックのみ。多くが人気を下回る着順となっている。
いろんな角度から入れそうな春のグランプリ・宝塚記念だが、馬券的に狙って面白そうなのが紅一点のリスグラシュー。乗り替わり、このレースでひと息のハーツクライ産駒とマイナスポイントもあるのだが、勝ち馬が多く出ている5歳馬で、前走着順、何より人気の盲点となりそうなところが狙い目。牡馬を相手にアッと言わせるシーンを期待する。