過去10年攻略データ

1965年に創設。施行時期の関係で「東北記念」と改称して施行された年もあったが、1980年からは現在の時期となり、2000mのハンデ戦として夏の名物レースとなっている。また、2006年からは「サマー2000シリーズ」の開幕戦として、夏の主役を狙う馬が集まり、白熱したレースが展開されている。また、古くから荒れるレースとしても知られ、1番人気が長く勝てない時期があったり、近年では2012年から5年連続2ケタ人気の穴馬が馬券に絡んで高配当を演出している。
※2011年は中山競馬場で施行。3着が同着。

休み明けに要注意!

[前走レース]好走馬のローテーションはバラエティに富んでいて、数で多いのは直近の重賞からの転戦だが、気を付けたいのは半年未満の休養明けの馬。掴みどころが難しいのだが、3着以内に入った7頭のうち4頭が2ケタ人気の超人気薄だった。夏競馬前半でキャリア豊富なベテランが強いこともあってか、条件クラスからの昇級戦や格上挑戦での好走は少ない。

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
3歳0-0-0-0前走1着1-1-3-11
4歳2-1-1-6前走2着2-0-1-11
5歳4-3-2-34前走3着0-2-0-5
6歳3-5-6-36前走4着2-1-1-3
7歳1-0-1-23前走5着1-0-0-6
8歳以上0-1-1-23前走6~9着1-2-4-36
前走10着~3-4-2-50

過去10年注目データ

[年齢]昨年は7歳馬のメドウラークが勝利し、これが7歳以上で唯一の勝利。過去10年、その他の世代では、5歳馬が4勝、6歳馬が3勝、4歳馬が2勝。2~3着馬もそれぞれ9頭がこの3世代から出ており、高齢馬は不振となっている。中でも4歳馬は10頭という少ない出走機会で(2.1.1.6)の好成績。出てくれば要チェックだ。また、3歳馬も出走可能だが、前週に3歳馬同士の重賞・ラジオNIKKEI賞があるためか、過去10年で出走馬はいない。

[前走着順]過去10年で前走2ケタ着順の馬が3勝。2着も4回あって、前走の着順は全くアテにならない。アベレージが高いのは前走4着馬で7頭が出走して2勝、2着1回、3着1回。前走から連勝を果たしたのは09年ミヤビランベリただ1頭で、荒れるレースを物語るデータが出ている。

[枠順]枠番別では5枠のみ未勝利なのだが、2着3回、3着3回と馬券絡みは多い。2着がないのは1枠と7枠。大きな差はないが、4枠が(3.2.3.10)と多くの好走馬を送り込んでいる。
馬番別では4枠に入ることが多い「8」の3勝が目立つところで、「4」の2勝、2着2回も光る。馬券絡みがない馬番は「1」「3」「16」「17(11年中山開催の1回のみ)」の4つ。先行有利のコースと歴史を持つレースだが、内枠の「1」「3」に馬券絡みがないのは面白い。

[脚質]小回りの福島らしく、4角先頭から押し切った馬は2頭。5番手以内の好位から進めた馬が5勝と勝ち馬は圧倒的に先行馬が多い。ところが、2着馬になると中団以下にいた馬がグンと多くなり、直線の短いコースながら、4角10番手以下からの食い込みも多々見られる。先行馬同士のいわゆる「行った行った」のパターンは少ない。

2ケタ人気が大暴れ!

過去10年間で1番人気は(3.1.2.4)で、良くもなく、悪くもなくといったところ。荒れるイメージを考えると、むしろ健闘しているようにも見える。目立つのはやはり人気薄で、6番人気以下が4勝、2着4回、3着6回。更に絞って2ケタ人気は3勝、2着1回、3着4回と大暴れ。荒れるレースに拍車をかけている。穴党も積極的に人気薄を狙っていける一戦だ。

プラスαデータ

勝負の関西馬を見抜け!

東西の出走頭数は関東馬76頭に対して関西馬77頭とほぼ互角。着別度数では2~3着もほぼ互角だが、勝ち馬は関西馬8頭、関東馬2頭で、サマー2000シリーズの初戦を狙い撃った関西馬が関東馬を圧倒している。その関西馬だが、上位に好走したジョッキーの多くが美浦所属のジョッキーで、関西馬の活躍には皮肉にもコース経験を生かした地元ジョッキーの手腕も絡んでいる。
ラジオNIKKEI賞同様、栗東所属のジョッキーはアベレージでは勝率、連対率、複勝率いずれも美浦所属を上回り、わざわざ福島へ乗りに来る西のジョッキーには注意が必要なのだが、回収率は低い。

[キャリア]活躍馬の年齢が比較的高いこともあってか、好走馬のキャリアは多め。昨年はキャリア33戦のメドウラークが勝って、これが勝ち馬の最多キャリア。連対馬の最多キャリアは10年2着アルコセニョーラの43戦。豊富なキャリアを生かしての奮闘が光る。
一方、最少キャリアは17年ゼーヴィントの9戦で、フレッシュさよりもレース経験を重視したい。

[乗り替わり]過去10年、乗り替わりの馬が6勝、2着4回、3着9回。10年以降は毎年乗り替わりのコンビが馬券に絡んでいる。出走機会も多く、アベレージは前走と同じコンビとほぼ互角だが、テン乗りで新たな一面を引き出しているパターンも多く、人気薄が多いのも特徴。ジョッキーの名前を見るとローカル巧者や実績ある中堅、ベテランの名が多く、そうしたジョッキーに乗り替わった人気薄は積極的に狙い撃ちたい。

[当該コースの騎手成績]2014年以降、福島芝2000mで最も多く勝っているのが丸山騎手の10勝で唯一の2ケタ勝利。以下、吉田隼、戸崎騎手の9勝、津村、田辺騎手の8勝、北村宏、丹内騎手の5勝とローカル場らしいジョッキーが上位に名を連ねている。丸山騎手は単勝回収率が145%のハイアベレージで、津村騎手は単勝回収率165%、複勝回収率130%と高い数字を残している。

[馬体重]勝ち馬の最少馬体重は14年メイショウナルトの448キロ。最高馬体重は昨年のメドウラークの506キロ。昨年は500キロを超える馬のワン・ツー・フィニッシュだったが、好走馬の馬体重は幅広く、420~439キロと比較的軽量の馬も7頭の出走で2着3回、3着1回と高いアベレージを残している。軽量の差し馬は注意を払いたい。

[種牡馬]過去10年で複数の勝鞍を挙げている種牡馬はディープインパクト1頭。その相性の良さは特筆モノで、のべ14頭のうち6頭が馬券絡みを果たし、出走馬がいた7年のうち5年で馬券絡みを果たし、出走機会2連勝中だ。その他では、チーフベアハート、ゼンノロブロイ、ステイゴールド、クロフネ、マヤノトップガンが複数回の馬券絡み。ゼンノロブロイ産駒はのべ6頭で3度の馬券絡みがあり、クロフネ産駒は15、16年と連続で2ケタ人気を3着に送り込んでいる。

[ハンデ]過去10年、トップハンデで勝った馬はおらず、2着2頭、3着2頭。そのうち2着の2頭、3着の1頭が58キロを背負った実績馬。トップハンデは苦戦傾向だが、58キロを背負うだけの実績を持った馬は警戒したい。

データの決断

荒れるハンデ戦とあって、軸選びも当然ながら難解なのだが、ここでは鳴尾記念2着から挑むブラックスピネルに注目したい。豊富なキャリアを持った馬が多く活躍するレースで、前で競馬ができる脚質もマッチ。父も昨年の勝ち馬メドウラークを送り出したタニノギムレットで、激走ムードが漂う。