過去10年攻略データ

札幌競馬場で行われる重賞で最古の歴史を持つレースで、1965年に左回りダートの2000mでスタート。1975年から1989年まで右回りのダートで行われ、芝コースが設置された1990年より現在の右回り芝の2000mで行われている。斤量は長くハンデ戦だったが、G2に格上げされた97年から別定戦に、2006年からは秋のG1シリーズを見据える位置付けとして定量戦に変更となった。また、2006年からはサマー2000シリーズの第4戦にも指定され、シリーズ制覇を狙う馬と秋を睨んだトップホースの対決も見ものとなっている。一流の人馬が集まる『夏競馬の祭典』をデータから占ってみる。
※2013年は函館競馬場で施行

好走馬の傾向は比較的ハッキリ

[前走レース]好走馬の傾向は比較的ハッキリと出ていて、函館記念を叩いてここへ向かう馬、もしくは春のG1からひと息入れてここから始動する馬に分かれる。函館記念組は出走頭数が多いため、アベレージは低く出ているが、1~3着がそれぞれ3回と圏内を賑わせている。一方で前走G1組は古馬の宝塚記念組が2勝。馬券圏内に入ったローテとしてオークス、安田記念、ダービーの春後半のレースに加え、春の天皇賞、大阪杯、ドバイ帰り、11年には牝馬のレッドディザイアが有馬記念からの休み明けで3着に入っている。それぞれ複勝率は高く、秋を見据えながらも、一応の格好は付けている。

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
3歳1-1-1-8前走1着1-3-2-17
4歳3-1-2-24前走2着2-1-1-12
5歳3-4-4-31前走3着2-2-1-8
6歳3-1-1-24前走4着0-1-0-11
7歳0-1-2-19前走5着1-0-0-10
8歳以上0-2-0-13前走6~9着4-2-2-33
前走10着~0-1-4-28

過去10年注目データ

[年齢]過去10年、勝ち馬は3~6歳までの4世代で4~6歳馬が3勝ずつ。3歳馬は出走自体が多くなく、アベレージは4世代で大差はない。複勝率を見ると3歳と5歳がやや高めに出ている。7歳以上は勝鞍こそないが、2着3回、3着2回と健闘。多くが好配当を運んでくれている。5頭のうち4頭は近2走以内に3着以上の実績があった。

[前走着順]前走から連勝を果たしたのはわずか1頭で、鳴尾記念、函館記念を連勝中だった13年のトウケイヘイローのみ。この年は函館でレースが行われている。前走6着以下から巻き返して勝った馬は4頭。前走2ケタ着順から馬券圏内に入った馬は5頭いるが、うち4頭はG1馬。10年3着アクシオンも既に重賞タイトルを手にしていた。前走で掲示板を外しての巻き返しは相当な底力がないと厳しい。

[枠順]枠番別では1から8枠全ての枠から勝ち馬が出ていて、2着がないのも1枠のみ。複勝率を見ると2着3回、3着が5回ある3枠が44.4%の目立つ数字が残っている。
馬番別では「5」が過去10年で(1.3.1.5)と連対率50%。馬券絡みがない馬番は「7」「9」「12」「16」だが、フルゲートに満たない年もあり、枠番、馬番はあまり気にしなくても良さそうだ。

[脚質]過去10年で4角先頭から押し切ったのは2頭。勝ち馬は4角先頭を含む7頭が4コーナーで5番手以内のポジションから抜け出している。4角10番手以下から連対したのは昨年2着のマカヒキと15年2着のヒットザターゲット2頭。3着も昨年のモズカッチャンと16年レインボーラインの2頭と、G1レベルの力量を持った馬でも、直線一気を決めるのは至難の業で、少なくとも中団で直線を迎えたい。

歴史的名馬の取りこぼしも…

過去10年、1番人気で馬券に絡めなかったのは13年5着ロゴタイプと15年8着トーホウジャッカルの2頭。掲示板を外した馬が1頭しかいないといえば、信頼度も高く感じるが、勝ち馬は10年アーネストリーと翌11年のトーセンジョーダンのわずか2頭。5頭が2着に敗れ、その中にはモーリス、ゴールドシップ、ブエナビスタといった歴史的名馬も取りこぼしている意外な歴史を持っている。
最も多く勝鞍を挙げているのは2番人気の3勝。5番人気も2勝、2着も2回あり、好配当のキモにもなっている。とはいえ、メンバーレベルが高いのは間違いないところで、2ケタ人気の馬券絡みは2、3着がわずか1頭ずつ。極端な穴狙いは得策ではない。

プラスαデータ

関東馬の巻き返しも侮れない!

昨年は関西馬が上位3頭を独占。過去10年、関西馬7勝、関東馬3勝と東西の比較は『西高東低』なのだが、15~17年に関東馬が3連勝。15年は小島太厩舎が1、3着、16年は堀宣行厩舎がワン・ツー・フィニッシュを決め、東の巻き返しも侮れなくなっている。
騎手の方は同じ『西高東低』でも、近年は西がやや優勢の傾向。15~17年に3連勝を果たした関東馬だが、15年、16年は西のジョッキーによる勝利だった。

[キャリア]勝ち馬の最多キャリアは15年ディサイファの28戦、連対馬は15年2着ヒットザターゲットの41戦。好走馬のキャリアは幅広く出ているが、20戦を超えるとアベレージがダウン、やや苦戦を強いられている。勝ち馬は8頭がキャリア20戦以内。勝ち切るにはある程度のフレッシュさが必要となる。

[乗り替わり]夏競馬の重賞は乗り替わりも多く見られていたが、このレースは秋のビッグレースを見据えた一戦とあってか、乗り替わりよりも前走と同じコンビの方が出走機会が多く、勝率、連対率、複勝率いずれも乗り替わりのコンビを上回っている。乗り替わりのコンビを狙うのであれば、過去10年で4勝している単系の馬券だろう。

[当該コースの騎手成績]2014年以降、札幌芝2000mで最も多くの勝鞍を挙げているのはC.ルメール騎手の18勝。これが唯一の2ケタ勝利で2位以下を大きく引き離している。2位はJ.モレイラ騎手の8勝。勝率はC.ルメール騎手を上回っている。以下、福永騎手が7勝、三浦、四位騎手が5勝、菱田騎手が4勝、池添、M.デムーロ、蛯名、松岡、柴山、岩田康騎手が3勝。この中ではM.デムーロ騎手は単勝回収率192%のハイアベレージをマークしている。

[馬体重]勝ち馬の最高体重は10年アーネストリーの530キロ。最少体重は09年ヤマニンキングリーの472キロ。タフな洋芝で行われることもあるのか、好走馬の馬体重は比較的重め。2着馬は7頭が500キロを超えている。連のヒモに迷ったら大型馬を狙ってみるのも面白い。

[種牡馬]過去10年で複数の勝ち馬を出しているのは、先日惜しくもこの世を去ったディープインパクトで3勝。昨年は2頭が出走してワン・ツー・フィニッシュを決めている。勝ちは1回だが、のべ11頭が出走して2着2回、3着1回のキングカメハメハも好相性種牡馬といっていいだろう。複数回馬券絡みがある種牡馬の名前を見ても洋芝のタフなコースで行われるレースらしく、ネオユニヴァース、マンハッタンカフェ、ジャングルポケット、ステイゴールドといったスタミナ色の濃いパワーを持った種牡馬が名を連ねている。

[牝馬]過去10年、牝馬は14年に3歳のハープスター、12年に6歳のフミノイマージンが勝利。2009年には3歳のブエナビスタが2着に入っている。遡れば2005年にはヘヴンリーロマンスがこの札幌記念と秋の天皇賞を連勝。いずれもG2以上の重賞、もしくはG3を3勝していた実力馬で、相応の地力があれば牝馬でも太刀打ち可能だ。

データの決断

夏競馬唯一のG2競走。今年もここから始動という一流馬が多く顔を揃え、興味深い一戦となったが、データからプッシュしたいのは昨年のダービー馬ワグネリアン(牡4、栗東・友道厩舎)。レースキャリアがやや少ないのはネックだが、年齢、前走着順、種牡馬など多くの好走データを持っていて、馬体重が460キロを割り込むことがなければ、マイナスらしいマイナスポイントがない。復活のお膳立ては整った!