過去10年攻略データ

1967年に芝のハンデ競走として創設、1984年のグレード制導入に伴いG3に格付けされ、1987年にG2に、そして1990年にG1へと格上げされた。かつては暮れの名物重賞だったが、2000年より施行時期が秋の中山最終週に移り、今や秋のG1開幕戦としてすっかり定着している。サクラバクシンオー、デュランダル、ロードカナロアといった名スプリンターが勝ち馬に名を連ねているが、「英国フェア開催記念」として行われた1969年の第3回には、春に3200mの天皇賞を勝ったタケシバオーの名前も刻まれている。本格的な秋競馬開幕を告げる一戦をデータから紐解きたい。
2014年は中山競馬場の改修工事のため、新潟競馬場で施行

主軸はセントウルS組!

[前走レース]主軸となるのは5勝を挙げているセントウルS組と2勝を挙げているキーンランドC組。ともに出走回数が多いため勝率は低くなっているが、2~3着も多く、まずはこの2レースをステップにしてきた馬はチェックが必要。ただし、セントウルSに関しては、この時期に施行時期が変わって本番と連勝した馬は18年のファインニードルと2002年のビリーヴ2頭しかおらず、2002年のスプリンターズSは新潟競馬場で行われている。

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
3歳0-1-1-9前走1着3-2-3-25
4歳2-2-4-15前走2着2-2-1-16
5歳4-5-3-37前走3着1-1-0-10
6歳3-0-1-32前走4着1-1-2-10
7歳0-2-1-26前走5着0-0-2-11
8歳以上1-0-0-11前走6~9着1-0-2-34
前走10着~2-3-0-23

過去10年注目データ

[年齢]過去10年、5歳馬4勝、6歳馬3勝、4歳馬2勝、10年には香港の8歳馬ウルトラファンタジーが勝利。日本馬の勝ち馬は4~6歳の3世代で、アベレージは4歳馬が高く出ているが、近年は3歳馬、7歳馬も馬券に絡んでいて、年齢は気にしなくていいだろう。

[前走着順]前走から連勝を果たした馬は3頭。数は決して多くないのだが、前走を勝って挑んだ馬は過去10年のうち7年で馬券圏内に絡んでおり、前走を勝って挑む勢いは重要。
一方で前走掲示板圏外から馬券圏内に巻き返して来た馬は8頭いて、13年3着のマヤノリュウジンを除けば、重賞勝ちもしくはG1で入着の実績を持っていた。

[枠順]過去10年で4枠が3勝、5枠、7枠、8枠が2勝と枠番別では少し偏りがあって、内枠の馬が劣勢。5枠、7枠の馬券絡みが多いのにも関わらず、なぜか6枠は連対ゼロと不振。
馬番別では「8」「10」「13」が2勝ずつ。馬券絡みがないのは「11」と「17」。2014年に新潟競馬場で行われた時に18頭立てとなったが、「18」のスノードラゴンが勝利し、「17」のサンカルロは10着に敗れている。

[脚質]4コーナーを先頭で回った馬は2勝、2着3回。例年、決してペースが緩い訳ではないのだが、積極的な競馬をした馬が好結果を残している。一方、中団で脚を溜めていた馬が4勝、4角10番以下の後ろから差し切った馬も2頭いて決め手も必要。最高峰のG1らしくスピードだけでなく、そのスピードを持続する底力も要求される。

穴のキモは3着馬!

1番人気は4勝、2着1回。2番人気は1勝ながら2着が4回と連対率は5割に達する。3番人気は2勝しているが、アベレージは高くない。
穴党注目は3着馬で、3着に4番人気以内の馬が1頭もおらず、実に9頭が6番人気以下の人気薄。本命党でも3連系のヒモは手広く考えたい。

プラスαデータ

関東馬が巻き返し傾向

過去10年、関西馬が6勝、関東馬が3勝、外国馬が1勝。関西馬は2着が8回、3着も7回あって、数の上では圧倒している。ただし、近年は関東馬も巻き返していて、勝率は関東馬が上回り、連対率、複勝率もほぼ互角。風向きはやや東寄りになっている。
ジョッキーの方はまだまだ西優勢で、2着馬のジョッキーは9頭が栗東所属のジョッキー。

[キャリア]キャリア30戦以上の馬も2勝を挙げているが、アベレージが高いのは20戦以下のキャリアで臨む馬。特にキャリア11~15戦の馬は複勝率44.4%と半数近い馬が複勝圏に飛び込んでいる。キャリアは過度に気にする必要はないが、30戦を超えるとアベレージは下がる。

[乗り替わり]過去10年、乗り替わりで連対した馬はゼロ。3着は乗り替わりのコンビが6回と逆転するも、単系や連系の軸を選ぶ際には乗り替わりは大きなマイナスとなっている。

[当該コースの騎手成績]2014年以降に行われた中山芝1200mで最も多くの勝鞍を挙げているのは15勝の戸崎圭太騎手。続いて12勝の横山典騎手、10勝のM.デムーロ騎手までが2ケタ勝利。とりわけM.デムーロ騎手は22回の騎乗回数で10勝と驚異的な勝率を誇る。以下、田辺、柴田大、C.ルメール騎手が9勝、北村宏騎手が8勝、三浦、石橋脩、津村、柴田善騎手が7勝と続く。

[馬体重]勝ち馬の最高体重は10年ウルトラファンタジーの540キロ。最低体重は09年ローレルゲレイロの460キロ。直線に急坂があるタフな中山コースで、460キロ未満の軽量級は2着1回、3着が3回と苦戦している。

[種牡馬]過去10年で複数の勝ち馬を出している種牡馬はキングカメハメハと連覇を果たしたレッドファルクスの父スウェプトオーヴァーボード。リピーターが多いレースで、前年の上位馬は要注意。
ディープインパクトはのべ9頭の産駒を送り出しているが、2着と3着が1頭ずつで、まだ勝ち馬は出ていない。

データの決断

グランアレグリアとステルヴィオの回避は残念だが、それでも秋の短距離王を決めるにふさわしい好メンバーが顔を揃えたスプリンターズS。データからはセントウルSを快勝したタワーオブロンドンをプッシュしたい。年齢、キャリア、臨戦過程、更に当初は乗り替わりの予定だったが、グランアレグリアの回避でC.ルメール騎手とのコンビが継続。データからは死角らしい死角は見当たらない。