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【エリザベス女王杯】1番人気の取りこぼしが目立つ!
2017/11/5(日)
1970年から1975年まで行われていた「ビクトリアカップ」が前身で、1975年にエリザベス2世が来日したことを記念して1976年に「エリザベス女王杯」を創設。京都の芝2400mで行われる4歳(現3歳)牝馬の重賞というのは引き継がれたが、回次はこの年から第1回となった。1996年に3歳牝馬限定の秋華賞が創設されたことに伴い、このレースを古馬に解放。距離も2200mとなり、3歳と古馬がぶつかる真の女王決定戦として数多くの名牝を生み出している。ここでは熱き女の戦いをデータで紐解きたい。
秋華賞組VS古馬G2組
[前走レース]主要ローテは秋華賞と府中牝馬Sで、秋華賞上位組は当然要注目なのだが、昨年は府中牝馬S組がワン・ツーを決めた。G2に格上げ以降、重要度が増している印象。牡馬相手に揉まれてきた馬も強く、オールカマー組はのべ5頭で2勝、2着1回と好相性を示している。
過去10年注目データ
[前走着順]前走から連勝を果たしたのは3頭で、勝ち馬の8頭が前走5着以内。6着以下から馬券圏内に巻き返した馬は重賞もしくはオープンを勝つか、G1で3着の好走歴を持っていた。G1の大舞台とあって、その馬の持つ「勢い」と「格」は重要といえる。
[枠順]枠番別では8枠が3勝、2枠が2勝で、勝鞍がない枠は7枠1つ。3勝の6枠と3着が3回ある3枠の複勝率が20%を超えているが、残る枠は15%前後でフラットとなっている。
馬番別で馬券絡みがないのは「2」「10」「14」「17」の4つ。パチンコ好きは喜びそうな「3」「7」が2勝。「18」も1勝、2着2回でラッキーナンバーといえるだろう。
[脚質]過去10年、4角先頭で押し切ったのは2頭。勝ったのは1頭しかいないが、2~5番手の好位に付けていた馬が8頭2着に入っている。勝ち馬の6頭は6~9番手の中団に構えていた馬。4角10番手以下からの差し切りは11年のスノーフェアリー1頭のみ。実力馬が揃う一戦とあって、なかなか直線一気は決まらない。
1番人気は取りこぼしも多い
1番人気は複勝率が80%あって、3連複の信頼度は高いが、勝ったのは07年ダイワスカーレットと11年スノーフェアリーの2頭。2着が3回、一世を風靡したアパパネ、ブエナビスタは3着に敗れており、取りこぼしが多い。
6番人気以下は13年2着のラキシスと12年の勝ち馬レインボーダリア以外は重賞勝ちもしくはオープン勝ちの実績があり、レインボーダリアは前年の5着馬だった。2ケタ人気の馬券絡みは歴史的大波乱となった09年11番人気1着のクイーンスプマンテと12番人気2着テイエムプリキュアの2頭。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 2-4-2-2 | 20.0% | 60.0% | 80.0% |
2番人気 | 1-2-3-4 | 10.0% | 30.0% | 60.0% |
3番人気 | 2-1-0-7 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
4番人気 | 2-0-2-6 | 20.0% | 20.0% | 40.0% |
5番人気 | 0-0-2-8 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 2-1-1-36 | 5.0% | 7.5% | 10.0% |
10番人気~ | 1-2-0-76 | 1.3% | 3.8% | 3.8% |
人馬とも関東勢が健闘!
過去10年、関西馬が5勝、関東馬が3勝、外国馬が2勝。勝率では関東馬が関西馬を上回っており、関東馬の健闘が光る。騎手別でも勝鞍は栗東所属5勝、美浦所属3勝、外国人騎手2勝で同じ。こちらは勝率、連対率、複勝率いずれも美浦所属のジョッキーが栗東所属のジョッキーを上回っている。騎手個人では乗り替わりで3度馬券に絡んでいるC.ルメール騎手が好相性を示している。
[キャリア]若い馬が活躍していることもあり、好走馬のキャリアも少なめ。6~10戦の馬が(4-4-6-23)と高いアベレージを誇る。勝ち馬の最多キャリアは12年レインボーダリアの27戦。20戦を超えた馬はやや割引としたい。
[乗り替わり]乗り替わりはマイナスと出ていて、スノーフェアリーは2年連続乗り替わりで勝っているが、実質的な主戦ジョッキー。複勝圏に入った7頭のうち、3頭がテン乗りのC.ルメール騎手というのは興味深いデータだ。日本人ジョッキーで全くのテン乗りだったのは13年3着アロマティコの三浦騎手のみ。
[当該コースの騎手成績]2012年以降、京都の芝2200mで最も多く勝っているのは武豊騎手の9勝。続いて7勝のC.ルメール騎手、6勝の福永、浜中、M.デムーロ騎手となっていて、中でもM.デムーロ騎手は連対率47.4%、複勝率57.9%、回収率はともに130%台のハイアベレージを誇る。関東の騎手は騎乗機会も少ないのだが、その中で戸崎騎手と横山典騎手が2勝ずつを挙げ、横山典騎手は連対率50%。また、短期免許で来日中のC.デムーロ騎手は8回の騎乗で3勝を挙げている。
[馬体重]好走馬は幅広いレンジから出ていて、勝鞍こそないが、500キロを超えるグラマーも2着が3回。昨年は504キロのパールコードが4着、500キロのプリメラアスールが5着だった。勝ち馬の最軽量は15年マリアライトと430キロ。440キロ未満の馬券絡みはこの1頭だけで、ある程度のボリュームは欲しいところだ。
ちなみに前走の馬体重が不明のスノーフェアリー2回を除く勝ち馬8頭のうち、4頭が前走と同じ体重。過去10年で前走と同じ体重で出走した馬が25頭で4勝、2~3着が1回、しかも2ケタ人気の連絡みも2回あるから当日の馬体重は穴党必見のファクターだ。
[種牡馬]過去10年で複数の勝ち馬を出しているのはディープインパクト、アグネスタキオン、Intikhabの3頭。ディープインパクト産駒は出走頭数も多いのだが、2着2回、3着3回と堅実に好走馬を送り込んでいる。主力種牡馬ではハーツクライが2度の2着があるが、どちらもヌーヴォレコルトが1番人気で敗れたもの。一方、キングカメハメハ産駒は3着が4回と連対こそないのだが、うち3頭が人気より上で、マズマズの適性を示している。ステイゴールド産駒は8頭が出走して1度も馬券絡みがないのだが、7頭が2ケタ人気で4着が2回となっている。
中距離路線を歩む牝馬の一線級がほとんど顔を揃えた今年のエリザベス女王杯。3歳馬、古馬いずれも目移りする豪華メンバーだが、データからプッシュしたいのは秋華賞3着から駒を進めてきた3歳馬のモズカッチャン(牝3、栗東・鮫島厩舎)。敗れはしたが、秋華賞は自分から勝ちに行って見せ場たっぷりの内容。秋初戦のローズS7着からキッチリと変わり身を見せた。高いアベレージを誇るキャリア6~10戦に合致し、自在性のある脚質も魅力。大舞台に強い鞍上も3戦連続の騎乗で、機は熟した。