毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【チャンピオンズC】風は徐々に東へ…
2017/11/27(月)
2000年にジャパンカップダートとして創設された日本初のダート国際競走。東京2100mでスタートし、その後、2008年に施行場が阪神1800mに変わり、2014年から『チャンピオンズカップ』と改名されて中京1800mで行われている。交流G1のJBCクラシック、このチャンピオンズC、そして暮れの東京大賞典はダート王を決めるに相応しいハイレベルのレースとなっており、勝ち馬には時代を彩った名馬がズラリと並んでいる。ベテランが層の厚さを見せるダート路線だが、今年はニューヒーロー誕生なるか? データから勝ち馬を洗い出したい。
主要ローテは3つ!
[前走レース]主要なローテーションはJBCクラシック、武蔵野S、みやこSの3つ。中でもレースグレードの高いJBCクラシックは09年を除いて必ず1頭は馬券に絡んでいて4勝、2着4回、3着5回と格の高さを示している。武蔵野S、みやこSもアベレージ悪くなく、競走馬として上り坂を迎えている馬がそこで更に弾みを付けて好走に繋げているパターンも多い。前走が条件クラスだった馬はゼロで、リピーターが非常に多いため、オープンへ上がったばかりの馬が出走するには賞金上位が相次いで回避するなどの運も必要となる。
過去10年注目データ
[年齢]G1クラスになると高齢になっても堅実な走りを見せる馬が多いダート路線だが、このレースに関していえば7歳以上は大苦戦。最も勝ち馬が出ているのは競走馬として完成期を迎えた5歳馬の5勝。6歳馬が3勝、4歳馬が2勝で、7歳以上の勝利はない。3歳馬は未勝利だが、2~3着が2回ずつあって連対率、複勝率は4歳馬と互角。層が厚い歴戦の古馬を押しのけて出走を果たした馬はそれなりの評価が必要。
今年は出走馬がいないが、牝馬の勝利は15年のサンビスタ1頭。
[前走着順]過去10年で勝ち馬の9頭が前走4着以内で、7頭が前走で連対を果たしている。前走で掲示板を外して馬券に絡んだのは、08年の勝ち馬カネヒキリと昨年3着のアスカノロマン2頭。カネヒキリは既に複数のG1タイトルを持っていたが、アスカノロマンも重賞2勝、G1で3着の確たる実績を持っていた。
[枠順]枠番別では3枠以外は全て勝鞍があるのだが、3枠は2着1回、3着は4回あって複勝率は優秀。むしろ8枠は11年にトランセンドが勝っただけで、複勝率は最も悪い。全体としては7枠、8枠のアベレージがやや落ちる。
馬番別では「8」が2勝、2着1回、「12」は1勝、2~3着がそれぞれ2回あって、複勝率は50%にのぼる。馬券絡みがないのは「13」と「15」の2つ。中京に移ってからは好走馬が内枠にシフトしている。
[脚質]先行有利のダート戦で、4角先頭からの逃げ切りが3頭。好位勢の馬券絡みも多いのだが、近年は後方からの差しも度々決まっていて、昨年は4角でほぼ最後方にいたサウンドトゥルーが豪快に差し切った。鞍上の仕掛けるポイントが勝負のカギを握っている。
差し馬の台頭で意外と美味しくなっているのが、人気を落としている先行馬。豊富な重賞実績を持っている馬は要注意だ。
ほぼ毎年伏兵が台頭!
1番人気は4勝と信頼度は高めではあるが、勝ち馬は11年のトランセンドまで出ておらず、コパノリッキーは2度の1番人気でともに掲示板圏外に去っているのをどう捉えるか。
穴党注目は6番人気以下の馬で、11年以外は必ず1頭は6番人気以下の馬が馬券に絡んでいる。2ケタ人気も4頭が馬券に絡んでいて、いずれもG1(交流を含む)で3着以内の実績を持っていた。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 4-1-2-3 | 40.0% | 50.0% | 70.0% |
2番人気 | 1-0-1-8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
3番人気 | 1-2-1-6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
4番人気 | 1-0-0-9 | 10.0% | 10.0% | 10.0% |
5番人気 | 0-2-1-7 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
6~9番人気 | 2-5-2-31 | 5.0% | 17.5% | 22.5% |
10番人気~ | 1-0-3-64 | 1.5% | 1.5% | 5.9% |
徐々に東の風が…
圧倒的に関西馬が強いダート路線だが、中京に開催場が移って少し風向きが変わりつつあり、15年は直線で鋭く追い込んだ関東馬が2~4着。昨年はサウンドトゥルーが豪快に差し切って2002年のイーグルカフェ以来となる関東馬の勝利となった。
騎手の所属別も『西高東低』で、昨年の大野拓弥騎手は06年アロンダイトの後藤浩輝騎手以来の勝利だった。また、通年免許を取得しているC.ルメール、M.デムーロ騎手以外の外国人ジョッキーは大苦戦でR.ムーア騎手も5度の騎乗で1度も掲示板圏内がない。
[キャリア]31戦以上のキャリアで勝った馬は昨年のサウンドトゥルー1頭。ちなみに昨年は2着のアウォーディーもそれにあてはまっていた。過度にキャリアを気にする必要はないが、31戦以上と10戦以下はやや割引が必要かもしれない。
リピーターが非常に多く、ワンダーアキュートは6回出走を筆頭に2回以上出走した馬は38頭。そのうち6頭が2回以上馬券に絡んでいる。馬券的な狙いは2回目で年齢を重ねるにつれ信頼度は落ちる。
[乗り替わり]乗り替わりはかなり不利で、過去10年で勝ったのは08年カネヒキリと15年サンビスタの2頭。日本人ジョッキーに乗り替わった唯一の連対は10年2着のグロリアスノアだが、乗り替わった小林慎騎手は実質の主戦ジョッキーだった。
[当該コースの騎手成績]2012年にリニューアルされた中京競馬場。新しくなったコースで最も勝鞍が多いのは藤岡康騎手の16勝。ローカルの裏開催がメインとはいえ、この数字は立派。続いて武豊騎手の14勝、福永騎手の13勝、幸騎手の10勝とおなじみの顔触れが並ぶのだが、ここで幸騎手と同じ10勝を挙げているのが加藤祥騎手。勝率は武豊、福永騎手に匹敵し、単勝回収率は326%。早くこのG1に騎乗してほしいところだ。以下、松山、和田竜、太宰騎手の9勝、岩崎翼、古川吉、菱田、吉田隼の8勝と続く。
ちなみにC.ルメール騎手は5勝、M.デムーロ騎手は3勝を挙げている。
[馬体重]パワー優先のダート戦らしく大型馬が多いのだが、ここ2年は昨年のサウンドトゥルーが474キロ、一昨年のサンビスタが476キロと、この路線にしては大きくない馬が連勝。中京に替わって少し傾向が変わりつつあるのだろうか。過去の傾向からは大型馬が有利のデータだが、今年は果たしてどうなるか?
[種牡馬]過去10年で2勝している種牡馬はキングカメハメハ、ワイルドラッシュの2頭。ダートの活躍馬を数多く輩出しているゴールドアリュールがこのレースをやや苦手としていて、コパノリッキー、ゴールドドリームが人気を裏切って大敗している。
昨年は好走例が少なかったキャリア31戦以上のベテランがワン・ツー・フィニッシュ。そこから1年を経て今年は世代交代なるかが大きなカギとなりそう。そこでピックアップしたいのが、一昨年の2着馬ノンコノユメ。昨年の去勢以降、馬券絡みはないが、前走の武蔵野Sは久しぶりにこの馬らしい決め手を見せて、復調をアピール。昨年のこのレースも6着ながら勝ち馬との差はわずかで、馬場適性は十分示した。馬格、関東所属、脚質など、それまで不利とされたデータは2年前に自身がクリア。データ面で死角らしい死角はなく、完全復活で新時代を築く!