毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【AJCC】豊かなキャリアが生きる一戦!
2018/1/14(日)
1960年にニューヨークジョッキークラブから優勝杯の贈呈を受けて創設。第1回は新年初日の1月5日に芝2000mで開催されたが、翌年より当時は1月中旬に行われていた金杯(現在の中山金杯)と入れ替わる形で1月中旬に移行。距離や施行場を何度か変遷された後、1985年より現在の条件で定着している。過去の勝ち馬には中・長距離で名を馳せた名馬も多い伝統の一戦をデータから紐解きたい。
地力があれば久々でも
[前走レース]まず注目したいのは有馬記念を使い、新年初戦にこのレースを迎える馬。過去10年、16頭がこのローテーションで参戦して4勝、2着2回、3着1回と優秀な成績を残している。それに続くのが中山金杯、金鯱賞をステップとした組。勝ち馬は出ていないが、ディセンバーS組も(0.2.2.5)と多くの馬券絡みが出ていて、注目のローテーションといえるだろう。
過去10年注目データ
[年齢]意外にも過去10年で4歳馬は未勝利で、勝ち馬は5~7歳の3世代。複勝率のアベレージで最も高いのが何と2着が4回ある8歳馬で、ベテランの活躍が非常に目立つ。その大きな要因となっているのがリピーターの存在。複数回馬券に絡んだ馬はネヴァブション、エアシェイディ、トウショウシロッコと3頭いるが、いずれも7歳時に馬券絡みを果たし、ネヴァブション、エアシェイディは8歳時にも好走している。
[前走着順]過去10年で前走から連勝を果たした馬は何とゼロ。有馬記念からの巻き返し組のほか、中山金杯やローカル重賞を使って調子を上げてきた馬が多く好走している。有馬記念組は2ケタ着順からの巻き返しも多く、グランプリを経験した馬は注意を払いたい。
[枠順]枠番別では3枠が4勝、6枠が3勝とやや極端。中枠が優勢で、1枠と2枠、7枠と8枠はアベレージが落ちる。
馬番別で見ると馬券絡みがない馬番は「15」「17」の2つ。「3」の4勝はひと際目立つ数字だが、関西馬3勝のうち、2勝はこの「3」だった。
[脚質]過去10年、4角先頭から押し切った馬は1頭しかいないが、8頭が4角5番手以内。2~3着も多く、器用さが試される舞台といえる。4角10番手以下の馬は1頭も馬券になっておらず、追い込み一辺倒の馬は割引が必要。
2番人気の信頼度が高い
勝ち馬は6頭が3番人気以内で、9頭までが5番人気以内。2番人気の信頼度が高い。過去10年では昨年の7番人気タンタアレグリアが最も人気薄での勝利となっている。単系の馬券はある程度人気になっている馬から攻めたいが、ヒモはやや荒れ加減。ただし、2ケタ人気で馬券に絡んだのは14年2着のサクラアルディート1頭のみ。極端な人気薄を狙うのは危険だ。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 2-1-0-7 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
2番人気 | 3-2-2-3 | 30.0% | 50.0% | 70.0% |
3番人気 | 1-1-3-5 | 10.0% | 20.0% | 50.0% |
4番人気 | 2-0-1-7 | 20.0% | 20.0% | 30.0% |
5番人気 | 1-2-3-4 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 0-2-1-37 | 2.5% | 12.5% | 22.5% |
10番人気~ | 0-1-2-62 | 0.0% | 1.9% | 1.9% |
関東勢に地元の利
地元の利を生かして、過去10年では関東馬が7勝、2着8回、3着7回と圧倒している。ジョッキーの方も美浦所属のジョッキーが大きく優勢。引き続き西高東低の気圧配置が続いているが、このレースに関しては東が意地を見せている。
[キャリア]ベテランが活躍している事もあって、キャリア30戦以上の馬も度々馬券に絡んでいるが、アベレージが高いのはキャリア11~15戦を消化している馬。16~20戦、21~30戦とキャリアを増す毎にアベレージは下がっていくのだが、その下がり方は比較的緩やかで、高齢やキャリア過多はほとんど気にしなくてもいい。
[乗り替わり]乗り替わりに関しては、前走と同じコンビの人馬が過去10年で7回3着に入り、少し複勝率が高く出ているくらいで、勝率、連対率はほぼ互角。乗り替わりは気にしなくていいだろう。
[当該コースの騎手成績]2013年以降に行われた中山芝2200mで最も多くの勝鞍を挙げているジョッキーは田辺騎手の8勝。以下、戸崎騎手の7勝、北村宏、内田博、柴田大、蛯名騎手の5勝と続く。このうち北村宏騎手は5勝、2着10回と2着が大きく先行しているのだが、連対率41.7%、回収率は単複ともにプラスとなっていて、コース相性がいい。
[馬体重]パワーが必要とされる冬の中山。やはり馬格に恵まれた馬が活躍していて、勝ち馬の9頭が480キロ以上。480キロを切る馬は大きくアベレージが下がる。
[種牡馬]過去10年、ディープインパクト、マーベラスサンデー、ジャングルポケット産駒がそれぞれ2勝。ディープインパクト産駒でも切れるというより、長くいい脚を使えるタイプが好走している。意外なのはこの時期の中山芝を得意としているステイゴールド産駒が(0-1-1-12)と、出走頭数の割に凡走が多いこと。イメージで飛び付くのは危険だ。
過去の歴史から度々巻き返しを見せている有馬記念組だが、今年は紅一点トーセンビクトリーただ1頭。気になるローテーションなのだが、牝馬苦戦の歴史からも過大評価は出来ない。高齢馬も減点の必要がないレースの性質から、今年は15年のグランプリホース・ゴールドアクター(牡7、美浦・中川厩舎)に注目したい。この馬自身、コース実績は申し分なく、ポン駆けも利くタイプ。昨年は春の天皇賞以来だったタンタアレグリアが勝っており、臨戦過程も問わない。得意の中山で実力馬が復活を遂げる。