毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【高松宮記念】遅咲きが狙い目!
2018/3/18(日)
1971年に『高松宮杯』の名でスタート。かつては春の中距離路線の締めくくる一戦としてハイセイコー、トウショウボーイ、オグリキャップといった歴史的名馬や1990年代の名脇役ナイスネイチャ、マチカネタンホイザらの個性派を輩出。1991年にはダイタクヘリオスが母子3代制覇を狙ったダイイチルビーをハナ差抑えて勝利するとドラマも生まれている。1996年より施行距離を1200mと変更してローカル競馬場では初めてG1に昇格。1998年に『高松宮記念』と名称が変わり、2000年からは施行時期が現在の3月下旬へと移った。本格的な春のG1シーズン到来を告げる一戦をデータで紐解きたい。
なお、2011年は中京競馬場の改修工事のため、阪神競馬場で施行。
好走ローテは3つ!
[前走レース]好走ローテーションはハッキリ3つに分かれていて、阪急杯、オーシャンS、シルクロードSから駒を進めた馬がそれぞれ3勝ずつ。2着は阪急杯組が5頭と最も多く、3着は3つレースが3頭ずつと非常に分かりやすい傾向が出ている。アベレージで見ると出走頭数が少ないシルクロードS組が優秀。ぶっつけ本番で挑む実績馬よりも順調にステップレースをクリアした馬が本番でも好走している。
過去10年注目データ
[年齢]5歳馬が強いレースで、勝ち馬の半数を占める。2着も5回あって、迷ったらまず5歳馬をチェックしたい。勝鞍はないが6歳馬の2着5回も光る数字で、7歳馬2勝、8歳馬も勝鞍があって、遅咲きの馬が多く活躍している。
アベレージではやや劣勢の4歳馬だが、新コースとなった12年以降、6年連続で馬券圏内に入っていて、昨年はセイウンコウセイが3年ぶりの4歳馬Vを決めた。コースが変わって風向きも変わりつつあるのかもしれない。
7歳以上で複勝圏に入ったのべ5頭のうち4頭は前走で連対し、残る1頭も前走4着、2走前2着と好調を維持して臨んできた。高齢馬でも近走結果を残している馬は注意したい。
[前走着順]近走の勢いはかなり重要で、勝ち馬の8頭は前走で連対を果たし、10頭全てが前走5着以内。高齢馬の好走が多いレースだが、それらも近走は堅実な走りを見せており、特に前走で連対を果たしている馬は要注意。
前走6着以下は大きく割引で、昨年は香港スプリント12着のレッドファルクスが反撃を見せたが3着までだった。
[枠順]過去10年、2枠が4勝、3枠が3勝。フルゲートでは2枠にあたる馬番「4」が4勝とラッキーナンバーになっている。内“め”がいいのは数字に表れているが、1枠は連対なしと不振。馬番「1」は08年スズカフェニックス、12年ロードカナロアと1番人気が2頭いたが、どちらも3着止まりとなっている。過去10年で1度も馬券対象となっていないのは「14」と「18」。昨年はそれまでの10年で1度も馬券絡みがなかった「3」と「7」が2、3着に入った。
[脚質]コース改修前の10年までは平坦小回り、11年が阪神で、12年以降の新コースはゴール前に坂ができ、直線の距離も長くなった。勝ち馬はイメージに反して、人気を背負い、前めに付けて押し切るという正攻法の競馬が多くなっている。一方で、人気馬を追いかけた馬が苦しくなるのか、後方からの追い込みも多く出ていて、過去10年の2着馬のうち5頭が4角10番手以降。3着も3頭おり、展開を読むのが的中のカギになる。
勝ち馬は5番人気以内!
近走成績のいい馬が活躍しているレースとあって、過去10年の勝ち馬は全て5番人気以内。1番人気は(3.1.4.2)とやや取りこぼしが多いものの複勝率80%と安定した走りを見せている。6番人気以下は2、3着がそれぞれ3頭ずつ。過去10年においては2ケタ人気の連対はない。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 3-1-4-2 | 30.0% | 40.0% | 80.0% |
2番人気 | 1-3-0-6 | 10.0% | 40.0% | 40.0% |
3番人気 | 3-1-3-3 | 30.0% | 40.0% | 70.0% |
4番人気 | 2-1-0-7 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
5番人気 | 1-1-0-8 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 0-3-0-37 | 0.0% | 7.5% | 7.5% |
10番人気~ | 0-0-3-84 | 0.0% | 0.0% | 3.4% |
関東馬が健闘!
東西の比較では関西馬が6勝、関東馬が3勝、外国馬が1勝。現在の西高東低にあって、関東馬が健闘を見せているレースで、昨年はセイウンコウセイが勝ち、レッドファルクスが3着と2頭が馬券に絡んだ。
ところが、ジョッキーは圧倒的に西優勢で、栗東所属が8勝、外国人ジョッキーが2勝。美浦所属ジョッキーの勝利は06年オレハマッテルゼの柴田善騎手まで遡らなければならない。
[キャリア]5歳以上の馬が活躍しているレースだが、勝ち馬の6頭がキャリア15戦以下。そのうち11~15戦の馬が5勝を挙げていて、出世が遅れてきた馬がこの舞台で花を咲かせている。勝ち馬はキャリア面でフレッシュな馬が多いが、30戦以下であれば連対率、複勝率が大きく落ち込むことはない。
[乗り替わり]今年は1週ズレたが、同じ週にドバイワールドカップデーがあるため、乗り替わりが多く発生する。乗り替わったコンビも3勝しているが、2~3着は前走と同じコンビが圧倒的に多く、乗り替わりはプラスとはいえない。
[当該コースの騎手成績]2013年以降、最も多くの勝鞍を挙げているのは藤岡康騎手と福永騎手の10勝。藤岡康騎手は単複ともに回収率が100%を大きく超え、福永騎手は35回と決して少なくない騎乗回数で勝率28.6%、連対率37.1%、複勝率45.7%のハイアベレージを誇る。この両者に続くのが6勝の幸騎手、4勝の川田、松若、武豊騎手、コース別データでは上位に顔を出すC.ルメール、M.デムーロ、戸崎騎手は騎乗回数が少ないことがもあって3勝にとどまっている。
[馬体重]昨年は500キロのセイウンコウセイが勝って、3年連続で500キロ以上の大型馬が勝利。460キロを割った馬で馬券絡みを果たした馬のは14年3着のストレイトガールのみで、スピードはだけではなく、タフさ、パワーも要求される。迷ったら馬格がある馬を選択するのが吉かもしれない。
[種牡馬]過去10年で最多の3勝を挙げているのがフジキセキ。リピーターが多く、昨年勝ったセイウンコウセイの父アドマイヤムーンをはじめ、クロフネ、キングカメハメハ、シンボリクリスエス産駒が2回以上連対。ディープインパクト産駒はミッキーアイルが2度馬券に絡んでいるが、軽快なスピード・切れよりタフさが重視されるレースとあってか、やや苦戦している印象だ。