過去10年攻略データ

1971年に『高松宮杯』の名でスタート。かつては春の中距離路線の締めくくる一戦としてハイセイコー、トウショウボーイ、オグリキャップといった歴史的名馬や1990年代の名脇役ナイスネイチャ、マチカネタンホイザらの個性派を輩出。1991年にはダイタクヘリオスが母子3代制覇を狙ったダイイチルビーをハナ差抑えて勝利するとドラマも生まれている。1996年より施行距離を1200mと変更してローカル競馬場では初めてG1に昇格。1998年に『高松宮記念』と名称が変わり、2000年からは施行時期が現在の3月下旬へと移った。本格的な春のG1シーズン到来を告げる一戦をデータで紐解きたい。
なお、2011年は中京競馬場の改修工事のため、阪神競馬場で施行。

好走ローテは3つ!

[前走レース]好走ローテーションはハッキリ3つに分かれていて、阪急杯、オーシャンS、シルクロードSから駒を進めた馬がそれぞれ3勝ずつ。2着は阪急杯組が5頭と最も多く、3着は3つレースが3頭ずつと非常に分かりやすい傾向が出ている。アベレージで見ると出走頭数が少ないシルクロードS組が優秀。ぶっつけ本番で挑む実績馬よりも順調にステップレースをクリアした馬が本番でも好走している。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
阪急杯3-5-3-425.7%15.1%20.8%
オーシャンS3-2-3-594.5%7.5%11.9%
シルクロードS3-1-3-1712.5%16.7%29.2%
チェアマンズS1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
京都牝馬S0-1-0-30.0%25.0%25.0%
スプリンターズS0-1-0-10.0%50.0%50.0%
香港スプリント0-0-1-00.0%0.0%100.0%

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
4歳2-0-4-30前走1着4-5-3-21
5歳5-5-2-35前走2着4-2-3-14
6歳0-5-2-35前走3着0-1-0-16
7歳2-0-2-25前走4着1-0-1-9
8歳1-0-0-17前走5着1-1-1-9
9歳以上0-0-0-5前走6~9着0-1-1-39
前走10着~0-0-1-39

過去10年注目データ

[年齢]5歳馬が強いレースで、勝ち馬の半数を占める。2着も5回あって、迷ったらまず5歳馬をチェックしたい。勝鞍はないが6歳馬の2着5回も光る数字で、7歳馬2勝、8歳馬も勝鞍があって、遅咲きの馬が多く活躍している。
アベレージではやや劣勢の4歳馬だが、新コースとなった12年以降、6年連続で馬券圏内に入っていて、昨年はセイウンコウセイが3年ぶりの4歳馬Vを決めた。コースが変わって風向きも変わりつつあるのかもしれない。
7歳以上で複勝圏に入ったのべ5頭のうち4頭は前走で連対し、残る1頭も前走4着、2走前2着と好調を維持して臨んできた。高齢馬でも近走結果を残している馬は注意したい。

[前走着順]近走の勢いはかなり重要で、勝ち馬の8頭は前走で連対を果たし、10頭全てが前走5着以内。高齢馬の好走が多いレースだが、それらも近走は堅実な走りを見せており、特に前走で連対を果たしている馬は要注意。
前走6着以下は大きく割引で、昨年は香港スプリント12着のレッドファルクスが反撃を見せたが3着までだった。

[枠順]過去10年、2枠が4勝、3枠が3勝。フルゲートでは2枠にあたる馬番「4」が4勝とラッキーナンバーになっている。内“め”がいいのは数字に表れているが、1枠は連対なしと不振。馬番「1」は08年スズカフェニックス、12年ロードカナロアと1番人気が2頭いたが、どちらも3着止まりとなっている。過去10年で1度も馬券対象となっていないのは「14」と「18」。昨年はそれまでの10年で1度も馬券絡みがなかった「3」と「7」が2、3着に入った。

[脚質]コース改修前の10年までは平坦小回り、11年が阪神で、12年以降の新コースはゴール前に坂ができ、直線の距離も長くなった。勝ち馬はイメージに反して、人気を背負い、前めに付けて押し切るという正攻法の競馬が多くなっている。一方で、人気馬を追いかけた馬が苦しくなるのか、後方からの追い込みも多く出ていて、過去10年の2着馬のうち5頭が4角10番手以降。3着も3頭おり、展開を読むのが的中のカギになる。

勝ち馬は5番人気以内!

近走成績のいい馬が活躍しているレースとあって、過去10年の勝ち馬は全て5番人気以内。1番人気は(3.1.4.2)とやや取りこぼしが多いものの複勝率80%と安定した走りを見せている。6番人気以下は2、3着がそれぞれ3頭ずつ。過去10年においては2ケタ人気の連対はない。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気3-1-4-230.0%40.0%80.0%
2番人気1-3-0-610.0%40.0%40.0%
3番人気3-1-3-330.0%40.0%70.0%
4番人気2-1-0-720.0%30.0%30.0%
5番人気1-1-0-810.0%20.0%20.0%
6~9番人気0-3-0-370.0%7.5%7.5%
10番人気~0-0-3-840.0%0.0%3.4%

プラスαデータ

関東馬が健闘!

東西の比較では関西馬が6勝、関東馬が3勝、外国馬が1勝。現在の西高東低にあって、関東馬が健闘を見せているレースで、昨年はセイウンコウセイが勝ち、レッドファルクスが3着と2頭が馬券に絡んだ。
ところが、ジョッキーは圧倒的に西優勢で、栗東所属が8勝、外国人ジョッキーが2勝。美浦所属ジョッキーの勝利は06年オレハマッテルゼの柴田善騎手まで遡らなければならない。

[キャリア]5歳以上の馬が活躍しているレースだが、勝ち馬の6頭がキャリア15戦以下。そのうち11~15戦の馬が5勝を挙げていて、出世が遅れてきた馬がこの舞台で花を咲かせている。勝ち馬はキャリア面でフレッシュな馬が多いが、30戦以下であれば連対率、複勝率が大きく落ち込むことはない。

[乗り替わり]今年は1週ズレたが、同じ週にドバイワールドカップデーがあるため、乗り替わりが多く発生する。乗り替わったコンビも3勝しているが、2~3着は前走と同じコンビが圧倒的に多く、乗り替わりはプラスとはいえない。

[当該コースの騎手成績]2013年以降、最も多くの勝鞍を挙げているのは藤岡康騎手と福永騎手の10勝。藤岡康騎手は単複ともに回収率が100%を大きく超え、福永騎手は35回と決して少なくない騎乗回数で勝率28.6%、連対率37.1%、複勝率45.7%のハイアベレージを誇る。この両者に続くのが6勝の幸騎手、4勝の川田、松若、武豊騎手、コース別データでは上位に顔を出すC.ルメール、M.デムーロ、戸崎騎手は騎乗回数が少ないことがもあって3勝にとどまっている。

[馬体重]昨年は500キロのセイウンコウセイが勝って、3年連続で500キロ以上の大型馬が勝利。460キロを割った馬で馬券絡みを果たした馬のは14年3着のストレイトガールのみで、スピードはだけではなく、タフさ、パワーも要求される。迷ったら馬格がある馬を選択するのが吉かもしれない。

[種牡馬]過去10年で最多の3勝を挙げているのがフジキセキ。リピーターが多く、昨年勝ったセイウンコウセイの父アドマイヤムーンをはじめ、クロフネ、キングカメハメハ、シンボリクリスエス産駒が2回以上連対。ディープインパクト産駒はミッキーアイルが2度馬券に絡んでいるが、軽快なスピード・切れよりタフさが重視されるレースとあってか、やや苦戦している印象だ。

データの決断

昨年は香港スプリントからぶっつけで3着。スプリンターズS連覇の実績馬レッドファルクスが今年はひと叩きして本番に出走。当然ながら有力な1頭に数えられるが、ここは敢えてシルクロードSを勝ったファインニードルの連勝に期待したい。オープン入り後、スプリンターズSこそ12着と大敗を喫したが、セントウルS、シルクロードSと重賞を2勝して昨秋以降は充実期に入っている。馬場不問で脚質に自在性があるのも強味で、何よりこのレースと相性抜群の5歳馬というのが大きく後押しする。少しキャリアは食っているが、遅咲きの大輪という十分言葉が当てはまるだろう。