毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【桜花賞】ラッキーライラックは鞍上に不安!?
2018/4/1(日)
イギリスの「1000ギニー」をモデルとする4歳(現3歳)5大クラシック競走の1つで、「中山四歳牝馬特別」として1939年に創設。 太平洋戦争の影響による2年の中止を経て1947年に施行場を京都に移し、名称も「桜花賞」と変更。1950年から阪神競馬場での施行となった。かつては『魔の桜花賞ペース』と呼ばれる激しい先行争いがレースの見どころ、展開のカギを握っていたが、コース改修がなされた2007年以降は、枠順の有利不利が少なくなり、実力馬がその力を余すところなく発揮出来る舞台へと変わった。果たして無敗の2歳女王ラッキーライラックにストップをかける馬は現れるのか?データで洗い出してみたい。
チューリップ賞組が圧倒!
[前走レース]昨年は前走フィリーズレビュー2着だったレーヌミノルが好位から抜け出して桜の女王となったが、過去10年で最も好相性なのは7勝を挙げているチューリップ賞組。2着4回、3着も6回あり、相性の良さは群を抜いている。フィリーズレビュー組は過去10年で2勝。アベレージは大きな差がある。アネモネS組は連対馬がおらず、馬券絡みは08年3着のソーマジックのみ。レース間隔が開いているのはマイナスとならず、エルフィンS、クイーンCからの直行組も成績は上々。ごまかしの利かない舞台となり、高い能力、素質を持った馬が力を出し切れる仕上がりにあれば通用することを示している。
過去10年注目データ
[前走着順]勝ち馬は過去10年全て4着以内で、前走1~3着馬が3頭ずつ勝ち上がっている。中でも前走1着馬は2着6回、3着4回と高い信頼度を誇る。前走で掲示板を外しながら巻き返してきた馬が5頭いるが、いずれも2連勝でオープン特別を勝った経験を持っていた。前走の敗戦で馬券的にも美味しい存在となっている。
[枠順]まず知られているのが、桜花賞の内枠は大苦戦。有利不利の少ないコース形態で、阪神マイル全体では内枠の数字もいいのだが、この桜花賞に限れば馬番「1」~「5」に入った馬の連対はゼロ。人気馬があまり入っていないというのは差し引いても、厳しい数字が残っている。
過去10年は黄色の帽子が4勝。昨年は5枠10番のレーヌミノルが勝った。そろそろ1~2枠の勝利があるのか注目される。
[脚質]近年は差し馬が圧倒的に優勢で、実に7頭が4角10番手以下のポジションから差し切りを決めていて、2着5回、3着6回と上位に食い込んでいる。逃げ切り勝ちは超スローペースに持ち込んだ鞍上の手腕が光った15年レッツゴードンキ1頭。基本的には瞬発力に優れた馬を軸に取り上げたい。
波乱のキモはオープン実績
1番人気は(3.1.1.5)と3勝しているが、連対率、複勝率は2番人気の方が(2.4.0.4)とリード。馬券から1、2番人気をまとめて外すのは得策ではない。6番人気以下の台頭も多いが、馬券に絡んだ9頭は全てオープンで3着以内があった実力馬。オープン実績は波乱のキモにもなっている。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 3-1-1-5 | 30.0% | 40.0% | 50.0% |
2番人気 | 2-4-0-4 | 20.0% | 60.0% | 60.0% |
3番人気 | 1-2-1-6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
4番人気 | 0-1-1-8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 1-0-3-6 | 10.0% | 10.0% | 40.0% |
6~9番人気 | 2-1-2-35 | 5.0% | 7.5% | 12.5% |
10番人気~ | 1-1-2-84 | 1.1% | 2.3% | 4.5% |
東のジョッキーに分厚い壁!
『栗東留学』という言葉も生まれたように、栗東に長期滞在した関東馬の活躍もあるのだが、数字的には圧倒的に関西馬が優勢。ルージュバック、メジャーエンブレム、ソウルスターリングと3年連続で関東馬が1番人気に支持されたが、いずれも関西馬の厚い壁に敗れている。
騎手の所属を見ても、過去10年で美浦所属のジョッキーが勝ったのは10年アパパネの蛯名騎手1人。その前は1985年エルプスの木藤隆行騎手まで遡り、ラッキーライラックに騎乗予定の石橋脩騎手が厚い壁をはね除けることができるか注目だ。
[キャリア]勝ち馬のキャリアは3戦から6戦で、キャリア4戦の馬が4勝。3、5、6戦の馬がそれぞれ2勝を挙げ、7戦以上の連対は08年の2着馬エフティマイアのみ。豊富な経験よりも少ないキャリアで出走権を得た素質馬が好結果を残している。
[乗り替わり]乗り替わりで勝ったのは昨年のレーヌミノルと13年アユサンの2頭。13年は前走から乗り替わりとなった馬が1~3着を占めたが、2~3着馬は以前に騎乗経験があったジョッキーで、全くのテン乗りは割り引いて考えたい。
[当該コースの騎手成績]2013年以降、阪神の芝マイルコースで最も多く勝っているのは浜中騎手と川田騎手で25勝。続いてM.デムーロが21勝、福永騎手が17勝、C.ルメール騎手が14勝、武豊騎手が11勝の順となっている。アベレージではM.デムーロ、C.ルメールの両者が連対率40%、複勝率50%を超えて少しリード。最多勝の浜中、川田騎手も連対率30%前後、複勝率40%前後の高い数字を残していて、浜中騎手の単勝回収率は140%にのぼる。
[馬体重]この時期の牝馬で、ほとんどの馬が成長途上。440キロ以下の小柄な馬も度々馬券に絡んでいて、さほど気にするファクターではないのだが、勝ち切るという面ではある程度の馬格が欲しいところで、480キロを超える馬のアベレージが高くなっている。
[種牡馬]出走頭数が他の種牡馬よりも頭ひとつ多いとはいえ、ディープインパクトの(4.4.1.13)は圧巻の成績。ただし、ここ3年は勝つには至らず、産駒初出走となった11年から続いていた連続連対の記録もストップしてしまった。この流れを断ち切ることが出来るかが、注目ポイントの1つにもなる。数ではディープインパクトに及ばないが、キングカメハメハ産駒も(2.0.2.3)とアベレージではヒケを取らない好相性。10年の3冠牝馬アパパネを除く3頭は5番人気以下で、馬券的にも美味しい存在。この2頭の名前を見たら人気の有無にかかわらず要チェックだ。
[無敗の女王]過去、無敗で桜花賞を制した馬は6頭。一昨年はシンハライトが挑戦したが、ハナ差ジュエラーに敗れ、昨年はソウルスターリングが3着。ラッキーライラックは史上7頭目となる無敗での桜の女王を目指す。
注目は何といっても4戦4勝の2歳女王ラッキーライラックの連勝が伸びるかどうかだが、昨年はほぼ同じような足跡を歩んでいたソウルスターリングが3着に敗れた。大きな違いはラッキーライラックが関西馬ということだが、ここは早くから栗東に乗り込んで万全の態勢を敷いてきた関東馬マウレアの一発に期待したい。全姉は13年に桜花賞を勝っているアユサン。欲をいえば、姉同様の馬格があって、キャリアが1戦少なければ良かったのだが、コースを知り尽くした武豊騎手が続けて乗れることと、姉で栗東滞在のノウハウがあるのが非常に心強い。もちろん血統背景もいうことなしだ。