過去10年攻略データ

夏季競馬の短距離重賞の充実を図るため、1994年に『札幌スプリントステークス』として創設。1997年から札幌競馬と函館競馬の開催順序が入れ替えられたため、舞台を函館競馬場の芝1200mに移して『函館スプリントステークス』に改称された。6月半ばに行われているレースだが、秋の大一番・スプリンターズSで好走する馬が多く、すっかり定着した『サマースプリントシリーズ』の開幕戦であるとともに、秋を占う意味でも軽視できない一戦となっている。

G1からの転戦が狙い

[前走レース]目立つのが高松宮記念、桜花賞、NHKマイルCといったハイレベルのG1戦。特に3歳馬は適性距離よりも長い桜花賞、NHKマイルCを使ったあとに適距離のスプリントに戻って好走というパターンが目立ち、近年でも一昨年の勝ち馬ソルヴェイグは桜花賞17着、同2着のシュウジはNHKマイルC12着、昨年の勝ち馬ジューヌエコールは桜花賞9着から一気の変わり身を見せた。
古馬では高松宮記念のほか、ヴィクトリアMから参戦した馬が5頭のうち3頭馬券に絡んでいる。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
高松宮記念2-2-0-1212.5%25.0%25.0%
桜花賞2-0-0-250.0%50.0%50.0%
CBC賞1-2-1-116.7%20.0%26.7%
NHKマイルC1-1-1-98.3%16.7%25.0%
京王杯SC1-0-1-612.5%12.5%25.0%
阪神牝馬S1-0-0-150.0%50.0%50.0%
彦根S1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
安土城S1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
ヴィクトリアM0-1-2-20.0%20.0%60.0%
韋駄天S0-1-0-80.0%11.1%11.1%
鞍馬S0-2-0-70.0%22.2%22.2%
道新スポーツ杯0-1-0-00.0%100.0%100.0%
福島民友C0-0-1-40.0%0.0%20.0%
欅S0-0-1-20.0%0.0%33.3%
優駿牝馬0-0-1-00.0%0.0%100.0%
大阪-ハンブルクC0-0-1-00.0%0.0%100.0%
朱雀S0-0-1-00.0%0.0%100.0%

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
3歳3-2-2-17前走1着3-2-1-16
4歳2-3-2-9前走2着1-1-1-6
5歳3-1-2-39前走3着2-2-0-6
6歳1-3-3-23前走4着0-1-0-8
7歳1-0-0-12前走5着0-0-2-7
8歳以上0-1-1-15前走6~9着1-2-1-24
前走10着~3-2-5-48

過去10年注目データ

[年齢]過去10年、3歳馬と5歳馬が3勝、4歳馬が2勝。そして6歳馬と7歳馬が1勝ずつ。目が行くのはやはり3歳馬で近2年は3歳牝馬が連勝。短距離のレースは牝馬、3歳馬が多く活躍する傾向にあるが、このレースも斤量差を利して3歳馬、特に牝馬の活躍が目立つ。その一方で昨年3着のエポワス、08年2着タニノマティーニと2頭の9歳馬が健闘。7歳を超えると信頼度は下がるが、前走成績が悪くない馬は一応の警戒が必要だ。

[前走着順]前走から連勝を果たした馬は3頭。過去10年で6頭が前走3着以内から勢いを付けて勝ち上がり、2着馬も前走3着以内が5頭。前走で連対している馬は要チェック。前走4~5着馬は不振で、中途半端に掲示板を確保した馬よりも思い切って前走掲示板を外した馬から狙うのも過去のデータからは十分あり。前走2ケタ着順からの巻き返しも度々見られ、特にG1で大敗した馬を安易に切るのは危険だ。

[枠順]枠番別では1~3枠が6勝、2着6回。アベレージで見ると内枠がやや有利。特に3枠のアベレージが高い。ちなみに巡り合わせかと思うが、4枠の連対が1度もなく、1番人気が2頭圏外に去っている。

馬番別で馬券絡みがないのは「7」「11」「12」「15」の4つ。「1」は過去10年で(1.2.3.4)と6回の馬券絡みを果たしている。

[脚質]過去10年で4角先頭から押し切った馬はいないが、ローカルの小回りコースらしく2~5番手に付けた馬が8勝、2着5回と先行有利の結果を残している。穴の期待は前が飛ばして先行馬が崩れた時の差し馬で、人気薄も度々台頭している。先行激化が予想される時は人気薄の差しを警戒しておきたい。

人気を落とした実績馬を見逃すな

過去10年、1番人気は(3.2.0.5)で、何とも微妙。好走馬の人気を見ると、かなりバラけていて、重賞勝ちの実績を持ちながら、2ケタ人気の低評価となり、それを覆しているパターンもあり、掴みどころがないレースといえる。穴党も積極的に穴狙いができるレースだ。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気3-2-0-530.0%50.0%50.0%
2番人気2-1-1-620.0%30.0%40.0%
3番人気1-1-1-710.0%20.0%30.0%
4番人気1-1-2-610.0%20.0%40.0%
5番人気0-2-1-70.0%20.0%30.0%
6~9番人気2-2-2-345.0%10.0%15.0%
10番人気~1-1-3-501.8%3.6%9.1%

プラスαデータ

人馬ともに『西高東低』

東西相まみえる北海道の重賞だが、出走頭数に勝る関西馬が過去10年で8勝、2着8回と大きくリード。3着は関東馬が7回と意地を見せていて、複勝率は東西互角だが、勝率、連対率は西優勢となっている。
ジョッキーの方も似たような傾向で勝鞍、勝率、連対率は西がリード。3着は美浦所属のジョッキーが7回とリードして、複勝率は5ポイントほど美浦所属のジョッキーが上回っている。またジョッキー個人では丸田騎手が違う騎乗馬で(1.1.1.1)と好相性。15年は14番人気アースソニックで2着、16年は12番人気ソルヴェイグを勝利に導いている。

[キャリア]勝ち馬の最少キャリアは昨年のジューヌエコールと16年ソルヴェイグの6戦。最多キャリアは14年ガルボの40戦。2~3着馬は幅広いレンジから出ているのだが、勝ち馬に関しては4頭が10戦以下、20戦を超える馬も3頭勝っている。キャリアはあまり気にしなくていいだろう。

[乗り替わり]前走と同じコンビが6勝、2着6回。乗り替わりのコンビが4勝、2着4回。ところが3着は過去10年全てが乗り替わりのコンビという極端な数字が残っている。アベレージは勝率、連対率、複勝率いずれも回数が少ない前走と同じコンビがリードしていて、コンビ継続は鞍上の手応えの良さを表しているともいえる。

[当該コースの騎手成績]2013年以降に行われた函館芝1200mで最も多く勝っているのは岩田騎手の20勝。2位が三浦騎手の16勝で、この2人は複勝率が40%超え。両者とも騎乗回数が100回以上あって信頼できる数字といっていい。ただし、人気サイドが多く、回収率は高くない。以下、吉田隼騎手15勝、丸山騎手12勝、勝浦騎手11勝、丹内、四位騎手が10勝と続き、ローカル場らしい名前が並ぶ。この中で丸山騎手は単複ともに回収率が100%超え。今年は非常に調子がいいだけに、注目の存在だ。

[馬体重]勝ち馬の最低体重は09年グランプリエンゼルの432キロ。最高体重は13年パドトロワの536キロ。好走馬は幅広いレンジから出ていて、過度に気にする必要はないが、連対馬は比較的大型の馬が多く、3着馬は比較的小柄な馬も度々顔を出している。

[種牡馬]過去10年、複数の勝ち馬を出しているのは2勝のクロフネで2~3着もそれぞれ1回と好相性を誇る。複数の好走馬を出している種牡馬が意外と少なく、クロフネを除くとマンハッタンカフェ、キングカメハメハ、ファルヴラブの3頭だけで、しかも全て2回。3歳馬が活躍しているレースだが、古馬になって再度好走した馬はおらず、種牡馬成績からも分かるように2度目以降の出走は大きな壁となっている。

データの決断

今年は10歳馬の参戦が2頭ありながら、3歳馬の参戦はゼロ。4歳馬も昨年の覇者ジューヌエコールのみと、ベテランが顔を揃えた。百戦錬磨のメンバーでデータから狙ってみたいのは5歳牝馬の高松宮記念3着馬ナックビーナス。臨戦過程は申し分なく、馬格や脚質、鞍上のコース相性等の好データが多い。2走前のオーシャンS、そして前走の高松宮記念とハイレベルのレースで僅差の好走。重賞制覇へ機は熟した。