毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【アイビスSD】究極のスピード勝負をデータで仕留める!
2018/7/22(日)
2001年に新潟競馬場のコース改修とともに、日本で唯一、芝直線1000メートルのコースを使用される重賞として創設。2006年からはサマースプリントシリーズにも指定され、夏の新潟開幕週に移設。夏の風物詩として競馬ファンに親しまれている。また、過去17回のうち牝馬が11勝。牝馬が連対できなかったのは2002年と2012年の2回で、その年も3着はともに牝馬。『夏は牝馬』との格言もあるが、牝馬が非常に強いレースとしても知られる。今年はどの馬が究極のスピード勝負を制するのか? ここではデータ面から勝ち馬をチョイスしたい。
CBC賞が過去10年で5勝!
[前走レース]過去10年、CBC賞から転戦してきた馬が5勝。函館スプリントS組が2勝。勝率、連対率はCBC賞が大きく上回るが、複勝率は互角。勝ち馬はいないが、バーデンバーデンC組が2着4回というのも目立つ。ただし、ここをステップにした馬が35頭おり、アベレージは高くない。
春の千直を使ったあと休養に入り、ここ一本に絞った馬も度々好走している。
過去10年注目データ
[年齢]勝ち馬は4歳から7歳の4世代。中でも4歳馬は13頭の出走で4勝と高い勝率を誇る。続いて5歳馬が3勝、7歳馬2勝、6歳馬1勝。5歳馬は数が多いこともあるのだが、過去10年1頭は必ず馬券に絡んでいて、16年は出走2頭がワン・ツー・フィニッシュを決めた。
勝ち馬こそいないが3歳馬も度々馬券に絡んでいて、集計対象前には05年にテイエムチュラサン、06年にサチノスイーティーが連勝を果たしている。
[前走着順]前走から連勝を果たしたのは11年のエーシンヴァーゴウのみ。前走3~5着に敗れている馬の反撃が多く見られる。格よりも適性が重要視されるレースで、このコースを得意とする馬が前走で違う条件を大敗し、ここで巻き返すというパターンが多い。
前走で掲示板を外した馬の反撃もあるにはあるが、アベレージはかなり下がる。
[枠順]言わずと知れた外枠有利のコースで、枠番別で見ると8枠が5勝、2着3回と圧倒的な数字を残している。どうしても外枠に目が行きがちだが、まだ馬場が荒れていない開幕週とあってか、2枠の成績もいい。ただし、2勝はどちらも1番人気だった。
馬番別では「13」が2勝。「12」より外枠の複勝率が高く出ている。なお、馬券絡みがないのは「7」「8」の2つ。昨年まで外枠ながら「15」が鬼門となっていたが、ラインミーティアが見事に勝利を挙げた。
[脚質]開幕週に行われる究極のスピードレースで、後方一気はほとんど決まらない。豊富なスピードを武器に前々でレースを進めることができる馬が好成績を残している。他場の1200mで甘くなってしまう馬が粘り込むシーンも多く見られる。
近5年は1番人気が好走!
過去10年で1番人気の馬は5勝。夏の重賞としては高い勝率を誇っていて、一昨年まで4連勝し、昨年はフィドゥーシアが2着だった。フレッシュな馬が好走するレースだが、3歳で1番人気となった2頭はともに大敗している。
6番人気以下の伏兵も多く馬券に絡んでいて、3着以内に入ったのべ9頭はオープンで3着以上、もしくは新潟の直線1000mで連対の実績を持っていた。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 5-1-0-4 | 50.0% | 60.0% | 60.0% |
2番人気 | 1-1-1-7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
3番人気 | 1-2-2-5 | 10.0% | 30.0% | 50.0% |
4番人気 | 0-0-3-7 | 0.0% | 0.0% | 30.0% |
5番人気 | 0-3-0-7 | 0.0% | 30.0% | 30.0% |
6~9番人気 | 3-2-2-33 | 7.5% | 12.5% | 17.5% |
10番人気~ | 0-0-2-59 | 0.0% | 0.0% | 3.3% |
勝ちに来た西の人馬が狙い!
昨年は関東馬ラインミーティアが制したが、過去10年で関西馬が8勝と勝ち馬は圧倒的に西優勢。2着は関東馬が7回と西を上回り、連対率、複勝率は互角の数字となっている。夏の関東ローカル重賞ではよく見られる傾向だが、サマーシリーズのタイトルがかかるレースにおける関西馬の強さは必ず頭の隅に入れておかなければならない。
ジョッキーも同様の傾向が出ていて、栗東所属のジョッキーが7勝。驚くことに2着は全て美浦所属のジョッキーが占めている。騎乗機会は栗東所属のジョッキーが圧倒的に少なく、勝ちに来た関西馬、栗東所属のジョッキーは要注意。
[キャリア]好走馬のキャリアは比較的少なめで、勝ち馬の8頭がキャリア20戦以下。21戦を超えるとアベレージがガクンと下がり、30戦を超えるとかなりの割引が必要。勝ち馬こそ出ていないが、10戦以下の馬も3回馬券圏内に突入しており、迷ったらフレッシュな馬を選択した方が吉かも。
[乗り替わり]乗り替わりの馬も多く活躍しているレースで、勝率は前走と同じコンビより高い数字を残している。ただし、馬券になった延べ15頭のうち、テン乗りはわずかに3頭。連覇を果たしたベルカント、カノヤザクラがともに前年と同じジョッキーでありながら乗り替わりであった。数字の上では乗り替わりの馬が活躍しているが、実際は、その馬の特性を知っているジョッキーがキッチリと結果を出している。
[当該コースの騎手成績]2013年以降、新潟の芝直線コースで最も多くの勝鞍を挙げているのは西田、石橋脩、田中勝騎手の6勝。西田騎手は「千直男」として知られ、昨年ラインミーティアでこのレースを勝っているが、騎乗機会が抜けて多く、アベレージそのものはさほど高くはない。とはいえ、106回の騎乗で単勝回収率165%はさすがの数字だ。5勝で続くのが勝浦、津村、M.デムーロ、江田照騎手。M.デムーロ騎手は騎乗回数はわずか9回で5勝の好相性。関西では北村友、秋山、菱田騎手も好相性を誇っている。
4勝は7人いるが、その中には内田博、戸崎のベテランの他、藤田菜騎手の名前も見られる。
[馬体重]軽い新潟の直線コース、スピード優先で牝馬も強いことから軽量馬が活躍しているイメージも浮かぶのだが、意外にも460キロを切る馬は1頭も馬券に絡んでいない。勝ち馬の最低体重は11年エーシンヴァーゴウの464キロ。最高体重は12年パドトロワの532キロ。馬格はあまり気にしなくていいだろう。
[種牡馬]ベルカント、カノヤザクラの2頭がそれぞれ連覇を達成したサクラバクシンオーが4勝。複数回馬券に絡んでいる種牡馬はリピーターが多いレースらしく、ファルブラヴ、クロフネ、アドマイヤムーン、ヨハネスブルグ、Officer、アフリートと多彩な顔ぶれが並ぶ。
過去3年の新潟芝1000mトータルの成績を見るとマツリダゴッホ、キンシャサノキセキ、ショウナンカンプらの成績もいい。
[牝馬]過去10年で牝馬は(6.3.5.49)とかなりの好成績。連覇を果たしたベルカント、カノヤザクラはともに牝馬で、過去10年全ての年で連対している。
準オープンを勝ったばかりだが、このレースと相性が良いテレビユー福島賞からの参戦となるレジーナフォルテに期待したい。連勝した馬が少ないというのは気になるも、前述の臨戦過程に加え、年齢、キャリアなど多くの項目で好走条件を満たしている。そして何より昨年の3着馬という光る実績の持ち主。リピーターが多いというのも心強いデータだ。