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【関屋記念】外枠が強いのはアイビスSDだけではない!
2018/8/5(日)
1966年にハンデキャップ競走として創設。「関屋」は旧新潟競馬場の所在地に由来する。新潟競馬場で開催される重賞では新潟記念に次ぐ歴史を持つが、施行条件は度々変更されていて、距離は2000mからスタートし、1970年に1800m、75年から1600mに。負担重量は第1回から1973年を除いた1982年までがハンデキャップ、以降は別定戦で行われ、コース改修が行われた2001年より現在の左回り芝1600mで定着している。また、2012年からは「サマーマイルシリーズ」の第2戦に指定され白熱したレースが展開される。ここでは、データから日本で最も長い659mの直線を持つマイル重賞を占いたい。
ローテーションは非常に多彩
[前走レース]馬券圏内があるローテーションは、G1もあれば500万条件もありと何とも多彩な19レース。複数の勝ち馬を出しているのはサマーマイルシリーズ初戦の中京記念と春のマイル王決定戦の安田記念。アベレージでは安田記念からひと息入れてここへ臨む馬が好成績を挙げている。もう1つ、勝ち馬こそ出ていないが過去10年で11頭が参戦し3頭が2着となっているエプソムCも注目ローテといえるだろう。
一方で、中京記念に次いで出走頭数の多い米子Sは14頭で1頭も馬券絡みがない。
過去10年注目データ
[年齢]過去10年、5歳馬が5勝、4歳馬が3勝、6歳馬と7歳馬がそれぞれ1勝ずつを挙げている。上位に来た回数では5歳馬が優勢なのだが、出走回数が4歳馬の3倍強で、アベレージで見ると4歳馬は非常に優秀。まずはこの2世代が中心と考えていいだろう。6歳以上はアベレージがガクンと下がり、8歳以上は出走機会が多くないとはいえ、馬券絡みがない。
[前走着順]前走着順は面白い傾向が出ていて、前走1着馬が過去10年で3勝。前走2~5着馬は1頭も勝っておらず、掲示板圏外の馬が7勝している。ただし、それらの多くは前走で上位人気、もしくはG1を走っており、この関屋記念本番でもそれなりの人気になっている馬が多い。前走の格と人気には注意を払いたい。
[枠順]外枠が強い重賞といえば、開幕週のアイビスSDがとにかく有名だが、この関屋記念も枠番別で見ると7枠と8枠がそれぞれ4勝ずつ。8枠は2着も4回と外が強いレースとなっている。馬番別では、意外にも12頭立ての年が3回もあって、その3年は大外12番が2勝、2着1回。2008年は「12」「11」の8枠2頭がワン・ツー・フィニッシュを決めている。
馬番別で馬券絡みがないのは「2」「8」「18」の3つ。フルゲートは5回しかなく、全て2ケタ人気。「9」から外の馬が8勝していて、フルゲートに満たない年がままあることを考えると、やはり外有利の傾向と見ていいだろう。
[脚質]昨年はマルターズアポジーが逃げ切って、過去10年、4角先頭でそのまま押し切った馬は3頭。この3頭は全て重賞タイトルを既に持っていた。上位入線馬の脚質はバラエティに富んでいるのだが、長い直線のイメージとは裏腹に後方に構えた馬の差し切りは意外と少なく、むしろ人気サイドの差し馬が取りこぼしたパターンが多い。
ヒモは手広く押さえたい
ローカル場としては広く、長い直線を使って行われる新潟のマイル戦。紛れが少ないというコース特性もあるのか、上位人気馬が堅調で、過去10年の勝ち馬は8頭が4番人気以内に収まっている。
昨年の勝ち馬マルターズアポジーは過去10年で最も人気薄の7番人気だったが、上位混戦で単勝オッズは12.1倍。単勝オッズ30倍以上の伏兵で馬券に絡んだのは09年3着マイネルスケルツィの65.1倍(13番人気)と、人気が割れ加減となっている年が多く、ヒモは手広く押さえておいた方がいいかもしれない。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 2-3-1-4 | 20.0% | 50.0% | 60.0% |
2番人気 | 2-2-0-6 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
3番人気 | 1-0-2-7 | 10.0% | 10.0% | 30.0% |
4番人気 | 3-1-0-6 | 30.0% | 40.0% | 40.0% |
5番人気 | 0-2-1-7 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
6~9番人気 | 2-2-4-32 | 5.0% | 10.0% | 20.0% |
10番人気~ | 0-0-2-66 | 0.0% | 0.0% | 2.9% |
西の人馬の勝負強さに注目
夏の関東地区のローカル重賞だが、栗東からも輸送しやすい新潟のレースで、しかもサマーマイルシリーズのタイトルがかかる一戦とあって出走頭数は関西馬の方が多い。勝ち馬は東も意地を見せて5勝同士のイーブンだが、2着は関西馬が8回と勝負強さを見せている。
ジョッキーの所属別では、3倍近いの騎乗機会がある美浦所属のジョッキーが7勝、2着5回、3着7回と数でリードするが、アベレージでは栗東所属のジョッキーが勝率、連対率、複勝率いずれもリード。
また、ジョッキー個人で見ると3歳馬に騎乗予定の福永騎手(2-2-0-2)と北村宏騎手(2-1-2-2)が抜群の好相性を誇っている。昨年は騎乗停止のため騎乗できなかった福永騎手が意地を見せるか注目だ。
[キャリア]勝ち馬の最少キャリアは12年ドナウブルーの12戦。最多キャリアは15年レッドアリオンの26戦で、昨年は22戦目のマルターズアポジーが逃げ切った。好走馬は幅広いキャリアから出ているが、キャリア30戦以上は3着馬が2頭しかおらず割引が必要。15年3着のヤングマンパワーはキャリア5戦、11年にはサトノフローラがキャリア4戦で3着に入っていて、アベレージはフレッシュな馬の方が高めに出ている。
[乗り替わり]着度数だけを見ると乗り替わったコンビと前走と同じコンビはほぼ互角だが、夏のローカル戦とあって乗り替わりが多く、アベレージでは前走と同じジョッキーの方が大きく上回っている。サマーマイルシリーズの対象レースでもあり、乗り替わりはややマイナスとみたい。
[当該コースの騎手成績]2013年以降に行われた新潟芝1600mで最も多く勝っているのは田辺騎手で17勝。勝率は25.4%に上り、単複ともに回収率がプラス。リーディング上位でありながら単勝回収率が248%と昨年集計時よりも更にアップしているのは見逃せない。続いて戸崎騎手が11勝、蛯名騎手9勝、北村宏、吉田隼騎手が8勝と続く。関西ではM.デムーロ騎手が26回の騎乗で7勝と流石の数字を残している。
[馬体重]馬体重は幅広いレンジから出ていて、馬格はあまり気にしなくてもいいのだが、アベレージに着目すると520キロ以上の超大型馬の数字が非常に良く、18回の出走で(3.1.3.11)。昨年は528キロのマルターズアポジーが勝ち、526キロのダノンリバティが3着。一昨年は520キロ超の馬がワン・ツー・フィニッシュを決めている。
[種牡馬]過去10年で複数の勝利がある種牡馬は2勝を挙げているアグネスタキオンだが、JRAで残る現役馬は2頭で、1頭はオープンのアクションスターだが現在は休養中。複数回馬券絡みがある種牡馬はタニノギムレット、ディープインパクト、スニッツェル、キングカメハメハ、ハーツクライ、サクラバクシンオー。
この舞台がいかにも合いそうなディープインパクトは産駒初出走となったドナウブルーが12年にレコード勝ちしているものの、その後はやや苦戦していて、思いのほかアベレージは高くない。好走種牡馬の名前を見るとスピードタイプあり、スタミナタイプありとバラエティに富んでいる。
最も活躍馬が多い4歳馬がジョーストリクトリ1頭。マイル重賞を勝っている実績を持つが、近走の不振から積極的には狙いづらい。ここは3歳世代からフロンティアを狙ってみたい。好走馬の多い中京記念からの参戦で、3歳馬は過去10年で連対こそないが、3着馬が2頭。デビューからマイルを中心に使われて、新馬→新潟2歳Sを連勝している。このレースと相性がいい福永騎手というのも心強い。