毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【新潟記念】人気落ちの実績馬に要注意!
2018/8/26(日)
1965年に創設された新潟競馬場で行われる重賞で最も長い歴史を持つハンデキャップ重賞。当初は芝2000m(内回り)だったが、1974年から右回り芝2000m(外回り)となり、コースが全面改修された2001年より左回り芝2000m(外回り)となっている。また2006年よりサマー2000シリーズに組み込まれ、最終戦となるこのレースの勝ち馬から昨年のタツゴウゲキら6頭のシリーズチャンピオンが誕生している。夏競馬を締めくくる一戦をデータから紐解きたい。
小倉記念組が圧倒!
[前走レース]過去10年、同じサマー2000シリーズの小倉記念から参戦した馬が実に6勝。出走回数が多いこともあるが、それを差し引いても出色の数字が出ている。その他ではこれもサマー2000シリーズの七夕賞、函館記念がそれぞれ1勝。七夕賞は小倉記念に匹敵する連対率、複勝率をマークしていて、人気の盲点にもなっている。また、準オープンからの参戦も好走例があって、臨戦過程はバラエティに富んでいる。
一方で気になるのは、春のG1からひと息入れた馬で、ローカルの重賞ではその経験が生きるレースもあるのだが、このレースにおいては、過去10年、G1からの参戦で馬券絡みを果たした馬はいない。
過去10年注目データ
[年齢]過去10年、5歳馬が4勝。次に多いのが7歳馬の3勝で、2着が2回、3着も1回あって、ベテランの健闘が目立ち、穴馬券のキモにもなっている。また、4歳馬も1~3着が各2回あって、勝率、連対率、複勝率は5歳馬を上回っている。
同じ新潟で行われる関屋記念は今年もプリモシーンが制するなど、3歳馬の活躍が多いレースだが、この新潟記念では馬券絡みを果たした馬は過去10年ではいない。
[前走着順]前走から連勝した馬は3頭で、2着も3頭。前走2着馬も2勝していて、前走で連対を果たした馬の好走確率はかなり高いのだが、前走6着以下に敗れた馬も4勝、2着4回、3着7回と多く好走。3着馬は何と9頭が前走5着以下からの巻き返しとなっている。
巻き返しで多いパターンは、1つは重賞実績を持つ馬の人気落ち。もう1つは新潟で好走実績を持つ馬。穴党は見逃し厳禁だ。
[枠順]過去10年、枠番別では全ての枠から勝ち馬が出ていて、特に3枠は2勝、2~3着が3度ずつと好走が多く、複勝率は42.1%にものぼる。1枠の馬券絡みは昨年まで12年の勝ち馬トランスワープのみだったが、昨年タツゴウゲキが勝利。2回の馬券絡みはともに勝ち馬となっている。
馬番別で馬券絡みがないのは「2」「10」「18」の3つ。トータルで見ると真ん中より内めの馬が多く好走している。
[脚質]直線の長い新潟の外回り、更に開催後半とあって、4角先頭からそのまま押し切って勝った馬はゼロ。逃げ切りは簡単ではない。ただし、昨年は4着までを先行勢が占めて、逃げたウインガナドルが4着。一方で、一昨年は4角10番手以下の後方でレースを進めた馬が掲示板を独占した。好走馬の脚質はバラエティに富んでいるが、馬券の軸とするならば、ある程度の前のポジションに付けられる馬を狙った方がいいだろう。
上位人気馬が大苦戦
前走で連対した馬が好成績を残しているにもかかわらず、人気馬は苦戦していて、1番人気は(1.2.0.7)で、勝ったのは14年マーティンボロただ1頭。2番人気も勝ったのは16年アデイインザライフのみで、3~4番人気は連対すらない。昨年の勝ち馬タツゴウゲキは小倉記念を勝っていながら、6番人気の低評価だった。5番人気以下の伏兵が数多く激走しており、1~3番人気が揃って馬券圏外に消えたレースが何と8回にものぼる。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 1-2-0-7 | 10.0% | 30.0% | 30.0% |
2番人気 | 1-1-0-8 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
3番人気 | 0-0-2-8 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
4番人気 | 0-0-1-9 | 0.0% | 0.0% | 10.0% |
5番人気 | 3-1-0-6 | 30.0% | 40.0% | 40.0% |
6~9番人気 | 3-5-3-30 | 7.3% | 19.5% | 26.8% |
10番人気~ | 2-1-4-69 | 2.6% | 3.9% | 9.2% |
西のジョッキーで勝負!?
関東圏の重賞ながら、出走回数は関西馬の方が多く、勝ち星は関西馬6勝とリード。勝率、連対率、複勝率いずれも西がリードしているが、その差はわずかで、東西の差はあまり気にしなくていい。
ジョッキーの方は1着から3着までいずれも美浦所属がリードしているが、騎乗機会が栗東所属の4倍あって、アベレージでは栗東所属が大きく上回っている。言い換えると、ここに乗りに来る栗東のジョッキーは勝負気配がかなり強いといえる。
[キャリア]勝ち馬の最少キャリアは、16年アデイインザライフの12戦。最多キャリアは09年ホッコーパドゥシャの46戦。ベテラン勢の活躍もあって20戦を超える馬が4勝。勝率が高いのは16~20戦までのゾーンで、フレッシュさよりも経験が生きるレースといえるだろう。
[乗り替わり]過去10年、乗り替わりのコンビが6勝、前走と同じコンビが4勝。2着はその逆で、3着は5回ずつで、アベレージはほぼ互角。乗り替わりの馬も積極的に狙っていける。
[当該コースの騎手成績]2013年以降、新潟の芝2000mで最も多く勝っているのは戸崎騎手の10勝。次いで吉田隼、M.デムーロ騎手の9勝が続き、この3人が頭ひとつリード。以下、津村、北村友騎手が6勝、丸山、丸田、石橋脩、菱田、柴田善騎手が5勝で続く。この中でもM.デムーロ騎手は24回の騎乗機会で(9.5.3.7)で勝率37.5%、連対率58.3%、複勝率70.8%と圧巻の成績。それでいて、単複ともに回収率がプラスとなっていて、文句なしの美味しいジョッキーとなっている。
[馬体重]馬体重は幅広いレンジで好走馬が出ていて、最軽量は08年アルコセニョーラの430キロ。最重量は16年のアデイインザライフで560キロ。540キロを超える馬は過去3頭出走して2勝。もう1頭の勝ち馬12年トランスワープも美浦・萩原厩舎の管理馬だった。パワーよりも瞬発力が問われる舞台で、比較的軽い馬も多く好走している。
[種牡馬]出走回数でも他を圧倒するディープインパクト産駒が過去10年で3勝、2~3着がそれぞれ2回。昨年は出走した4頭がいずれも圏外となったが、その前年まで3連覇。14年は1~3着を独占している。夏の新潟となると、瞬発力が問われる舞台というイメージだが、好走した種牡馬の顔触れを見ると比較的スタミナタイプが多く、ディープインパクト産駒もG1では決め手不足の馬がここで好走している。
[ハンデ]過去10年でトップハンデの勝利は11年ナリタクリスタル1頭のみ。2着も16年のアルバートドック1頭で、上位人気馬受難のレースとも相まって、トップハンデの馬は苦しい数字になっている。
一方で最軽量はどうかというと、こちらは更に苦戦していて馬券絡みは16年3着のロンギングダンサー1頭だけ。荒れることで知られるレースだが、軽量馬の活躍というよりも、人気の盲点になった実力馬が穴を開けている。
無傷の3連勝で毎日杯を勝ち、ダービーでも少差の5着に入った3歳馬ブラストワンピースの参戦が注目されるが、同じ新潟の重賞でありながら、関屋記念と比べてこのレースは3歳馬が苦戦傾向。目標はまだ先でもあり、ここではプッシュし辛い。狙ってみたいのは5歳の重賞ウイナー・メートルダール。近年好走がない春のG1からの参戦というのが気にはなるが、前走着順を問わないレースで、新潟大賞典3着のコース重賞実績も持っている。人気の盲点になれば非常に面白い存在だ。