過去10年攻略データ

1937年に「帝室御賞典」としてスタート。前身を遡ると、1905年の「エンペラーズカップ」が起源とされる日本のG1の中でも最も長い歴史と伝統を持つ一戦。秋はグレード制が導入された1984年より3200mから2000mに距離を短縮。その初年度にはミスターシービーが鮮やかな復活を果たした。古馬王道路線のスタートだが、近年は距離適性を重視して菊花賞をパスした3歳馬の参戦も見られ、数多くの名馬をターフに送り出している。果たして栄光の天皇盾を手にするのはどの馬か? 過去10年のデータで勝ち馬を導き出したい。

レイデオロは大ピンチ!?

[前走レース]秋の東京開催開幕週に行われる毎日王冠とは非常に繋がりが深く、過去10年で5勝、2着3回、3着4回と数では圧倒。出走頭数が多いためアベレージは低く出ているが、『王道』にふさわしい戦績を残している。
近年は宝塚記念、札幌記念からの『ぶっつけ本番』組も強く、昨年は宝塚記念からぶっつけで臨んだキタサンブラック、一昨年は札幌記念から臨んだモーリスが快勝した。
西の『王道』だった京都大賞典は15年にラブリーデイが本番と連勝したが、近年は不振。また、オールカマーは過去10年で27頭が臨んで最高着順は15年ショウナンパンドラの4着。1頭も馬券絡みがない。ちなみに最後に馬券に絡んだのは90年2着のメジロアルダン。歴史は破られるためにあるが、レイデオロにとっては非常に厄介なデータだ。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
毎日王冠5−3−4−488.3%13.3%20.0%
宝塚記念2−4−2−139.5%28.6%38.1%
札幌記念2−0−1−1411.8%11.8%17.6%
京都大賞典1−0−0−146.7%6.7%6.7%
セントライト記念0−1−1−00.0%50.0%100.0%
安田記念0−1−0−20.0%33.3%33.3%
産経大阪杯0−1−0−00.0%100.0%100.0%
天皇賞(春)0−0−1−50.0%0.0%16.7%
神戸新聞杯0−0−1−10.0%0.0%50.0%
オールカマー0−0−0−270.0%0.0%0.0%

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
3歳0−2−2−11前走1着3−4−4−29
4歳3−5−3−32前走2着4−0−2−19
5歳6−3−4−31前走3着1−1−1−17
6歳0−0−1−30前走4着0−0−0−13
7歳0−0−0−30前走5着0−2−2−5
8歳以上1−0−0−11前走6〜9着2−2−1−40
前走10着〜0−1−0−22

過去10年注目データ

[年齢]過去10年、サラブレッドの完成期とされる5歳馬が6勝、4歳馬が3勝。実に9頭がこの2世代で占められている。6歳以上は大きな割引で、連対は09年に勝った8歳馬カンパニーのみ。3着は13年のエイシンフラッシュが6歳で記録した1回(集計外だが07年カンパニーも3着があるが…)で非常に苦戦している。一方で3歳馬は勝ち馬こそいないが、15頭の出走で2〜3着が2頭ずつ。母数が少ないとはいえ、複勝率は4〜5歳世代と互角の数字を誇る。

[前走着順]前走から連勝を果たした馬は意外と少なく、わずか3頭。絶対的な強さを誇ったキタサンブラック、モーリスも前走は敗れての参戦。過去10年では前走2着馬が4勝と前走の雪辱を果たしている。
前走6着以下から巻き返して勝った馬は昨年のキタサンブラックと12年エイシンフラッシュの2頭。前走2ケタ着順から馬券圏内に巻き返した馬は16年2着のリアルスティールのみで、過去10年のデータからはかなり厳しい数字が出ている。

[枠順]枠番別で連対がないのは3枠と8枠。定説となっている『東京2000mの外枠は不利』は、このレースでは生きている。ちなみに過去3年のトータルのコース成績を見ても3枠の勝率は悪い。
馬番別で馬券絡みがないのは「5」「10」「11」「13」「17」「18」。ラッキーナンバーは「7」と「8」で、近3年は「8」が1、1、3着。「7」は過去10年で(2.3.1.4)と複勝率60%にのぼる。

[脚質]過去10年で4角先頭から押し切った馬はゼロで、唯一の連対が08年のダイワスカーレット2着。その他の馬は掲示板確保すらできておらず、長い直線と上り坂、そして後続のプレッシャーがのしかかり、逃げ切りは至難の業といえる。昨年の勝ち馬キタサンブラックは鮮やかな逃げ切りのシーンが目に浮かぶが、このレースはスタートで後手を踏み、2番手で直線を迎えていた。
勝ち馬は好位勢からも後方勢からも出ていて確かな決め手があれば4角先頭以外のポジションは問わない。3着馬は4角10番手以下から6頭。人気薄の追い込みは注意したい。

高い信頼度を誇る1番人気

1番人気は過去10年で5勝。2着2回、3着2回と馬券圏内を外したのは11年4着のブエナビスタだけで、信頼度はかなり高い。もう1つ注目は5番人気で、過去10年で4勝。12年から14年まで3連勝があった。
6番人気以下で勝ったのは11年に7番人気で勝ったトーセンジョーダン1頭。7番人気は09年スクリーンヒーロー、16年ステファノスが2着に入っており、人気薄でも侮れないポジションだ。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気5−2−2−150.0%70.0%90.0%
2番人気0−4−2−40.0%40.0%60.0%
3番人気0−0−2−80.0%0.0%20.0%
4番人気0−1−0−90.0%10.0%10.0%
5番人気4−0−0−640.0%40.0%40.0%
6〜9番人気1−2−3−342.5%7.5%15.0%
10番人気〜0−1−1−830.0%1.2%2.4%

プラスαデータ

外国人ジョッキーは要注意

過去10年関西馬が8勝、関東馬が2勝。勝利数、勝率では関西馬が優勢なのだが、関東馬も4年連続で馬券絡みを果たし、連対率、複勝率はほぼ互角の数字まで盛り返して反撃を見せている。
騎手別では栗東所属が5勝、外国人が3勝、美浦所属が2勝。騎手個人では武豊騎手が2勝。M.デムーロ騎手が5度の騎乗機会(1.2.1.1)好相性を示している。

[キャリア]3〜5歳馬の活躍が目立つことから好走馬のキャリアは少なめで、勝ち馬の8頭が20戦以下。2着馬9頭、3着馬も8頭がキャリア20戦以下で、この20戦という数字が近年は大きな分岐点となる。有力馬で20戦を超えるのはミッキーロケット(22戦)。
勝つという面では少なすぎても良くなく、10戦以下は2着が5回あるが勝ち馬はゼロ。これにはレイデオロが該当する。

[乗り替わり]G1では乗り替わりがマイナスになるレースが多いのだが、このレースは過去10年で前走から乗り替わった馬が6勝、2着も4回あって、乗り替わりのコンビが活躍している。そのうち3勝が外国人ジョッキーで、13年ジャスタウェイの福永騎手は実質的な主戦ジョッキー。15年ラブリーデイの浜中騎手は以前に騎乗経験があり、外国人ジョッキー以外のテン乗りは厳しい結果となっている。

[当該コースの騎手成績]2013年以降、東京の芝2000mで最も多く勝っているのは26勝の戸崎騎手。2位が23勝のC.ルメール騎手で、20勝を超えるのはこの2人。以下、内田博騎手の17勝、田辺騎手の15勝、蛯名、福永、R.ムーア騎手が11勝で並ぶ。アベレージを見るとC.ルメール、福永、M.デムーロの栗東所属ジョッキーに加え、R.ムーア、C.デムーロ、F.ベリー、C.ウィリアムズ、H.ボウマンといった外国人ジョッキーが少ない騎乗回数でハイアベレージを叩き出している。

[馬体重]勝ち馬の最高馬体重は昨年のキタサンブラックで542キロ。最少馬体重は10年ブエナビスタの456キロで、好走馬は幅広いレンジから出ていて、馬格はあまり気にしなくてもいい。

[種牡馬]過去10年で複数の勝ち馬を出している種牡馬はいないのだが、ディープインパクト産駒は2着が4回と決め手が生きる舞台で、その特長を遺憾なく発揮している。しかも16年は7番人気のリアルスティールが2着、6番人気のステファノスが3着。15は10番人気のステファノスが2着。14年はスピルバーグが5番人気で1着と度々人気薄を上位に導いている。
リピーターが多いレースで、2度複勝圏に入った馬がエイシンフラッシュ、ウオッカ、ジェンティルドンナ、ペルーサ、イスラボニータ、ステファノスと実に6頭もいる。

[牝馬]牝馬は10頭がのべ13戦して(2−3−1−7)の好成績。馬券に絡んだのはウオッカ(2回)、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ(2回)、ダイワスカーレットという名牝中の名牝。今年はドバイターフ、秋華賞とG1を2勝しているヴィブロスが参戦。その走りが大いに注目される。

データの決断

1週前登録があったワグネリアンディアドラの回避は非常に残念だが、それでもG1ホース7頭が顔を揃える豪華メンバーとなった秋の天皇賞。データからは札幌記念2着からここに臨む一昨年のダービー馬マカヒキをプッシュしたい。好成績を残す5歳世代、札幌記念からの参戦、1着馬よりも勝利数が多い前走2着馬、馬体重も好走馬が多いレンジにいるなど、好データが多い。今回は武豊騎手への乗り替わりだが、昨年の勝利ジョッキーで過去に秋の天皇賞6勝の武豊騎手なら大きなマイナスにはならない。ここで完全復活を期待したい。