毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【ジャパンC】今週も1番人気が怪しいぞ!
2018/11/18(日)
「世界に通用する強い馬づくり」をスローガンに日本初の国際招待競走として1981年に創設。創設当初は外国馬が圧倒的に強かったが、2000年代に入ってからは外国馬の勝利はわずか2頭。2005年のアルカセットから勝ち馬が出ていない。その一方で、日本馬のレベルは高額な賞金を背景に天皇賞をスルー、もしくは天皇賞をステップにここという有力馬が増えて格段にアップ。その年の東京競馬を締めくくるにふさわしい華やかなレースとなっている。国内最高額となる1着賞金3億円を手にするのはいったいどの馬か?データ面から洗い出してみる。
王道は天皇賞!
[前走レース]王道といえるのは、やはり秋3冠の初戦である天皇賞。出走頭数が多いとはいえ、過去10年で5勝、2着5回、3着7回と数の上では他のレースを圧倒している。ここ2年は天皇賞をパスして、京都大賞典から臨んだシュヴァルグラン、キタサンブラックが勝利しているが、一方で上位人気に推された13年ゴールドシップ(2番人気)が大敗を喫している。
今年は3冠牝馬アーモンドアイが参戦予定だが、12年には同じローテーションでジェンティルドンナが勝利を挙げている。
過去10年注目データ
[年齢]過去10年で最も多くの勝ち馬を出している世代は4歳で半数の5勝。続いて5歳の3勝、3歳の2勝と続き、この3世代は勝率、連対率、複勝率で大きな差はない。6歳以上は大きく割引で、7歳馬の3着2回があるが、6歳馬は馬券絡みゼロ。連覇を狙うシュヴァルグランにとっては厄介なデータが残っている。
7歳馬の3着2回(11年ジャガーメイル、13年トーセンジョーダン)はどちらも2ケタ人気でG1ホース。大穴を狙うなら忘れられた実力馬が面白いのだが、登録がある7歳馬は一昨年の2着馬サウンズオブアースで重賞未勝利。ここで悲願のVはあるか!?
[前走着順]過去10年、勝ち馬の9頭が前走4着以内で、連勝を果たしたは3頭。前走6着以下から馬券圏内に入った馬は6頭いるが、15年2着のラストインパクト以外は全てG1ホース。アベレージからは前走3、4着馬が狙い目で、昨年は京都大賞典3着のシュヴァルグランが勝利。一昨年は京都大賞典4着のサウンズオブアースが2着に食い込んだ。
[枠順]枠番別では1枠が3勝、3枠と8枠が2勝ずつ。1枠は2着2回、3着も3回あって、アベレージがやや抜けている。5枠は勝ち馬こそ出ていないが2着が3回。アベレージがひと息なのは4枠と6枠。
馬番別では「3」「8」「11」「14」「18」が馬券絡みゼロ。「3」は周りの馬番の成績が悪くないだけに、何とも不思議な巡り合わせだ。
[脚質]長い府中の直線、トップホースが集う一戦とあって、4角先頭から押し切るのは至難の業。勝ったのは16年のキタサンブラックただ1頭しかいない。後方一気も難しく、4角10番手以下から差し切ったのは15年ショウナンパンドラのみ。勝ち馬の5頭は2~5番手に付けていた馬で、ある程度前に付けて押し切る底力が要求される。
複勝率80%を誇る1番人気だが…
過去10年、1番人気で馬券圏外となったのは、11年デインドリーム(6着)と14年ジェンティルドンナ(4着)の2頭。複系馬券の信頼度は高いのだが、勝ち馬は3頭というのは何とも微妙なところで、アタマではちょっと狙いづらい。1番人気と同じ3勝を挙げているのが4番人気で、こちらは2、3着はゼロ。勝った3頭のオッズは9倍前後あり、これを押さえておくのも1つの手かもしれない。
6番人気以下で馬券に絡んだのはのべ10頭。いずれも東京コースの重賞で3着以内の実績があり、15年2着のラストインパクト、10年3着のヴィクトワールピサ以外は連対経験があった。まだ前記の2頭もラストインパクトが青葉賞3着、ヴィクトワールピサはダービーで3着の実績があった。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 3-3-2-2 | 30.0% | 60.0% | 80.0% |
2番人気 | 1-2-2-5 | 10.0% | 30.0% | 50.0% |
3番人気 | 1-1-0-8 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
4番人気 | 3-0-0-7 | 30.0% | 30.0% | 30.0% |
5番人気 | 1-1-0-8 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 1-3-4-32 | 2.5% | 10.0% | 20.0% |
10番人気~ | 0-0-2-81 | 0.0% | 0.0% | 2.4% |
近年は完全に『西高東低』
近年は関東馬の健闘も光るG1戦線だが、このレースは過去10年で関西馬が9勝。昨年はレイデオロが2着で意地を見せたが、関東馬は(1.1.2.33)と完全に『西高東低』。今年は3冠牝馬アーモンドアイが分厚い西の壁を突き破ることができるか注目される。
騎手別では更に美浦所属ジョッキーが苦戦していて過去10年で勝ったジョッキーはゼロ。馬券に絡んだのは14年3着のスピルバーグに騎乗した北村宏騎手と09年2着のオウケンブルースリに騎乗した内田博騎手の2人だけという厳しい状況に置かれている。ちなみに美浦所属ジョッキーの勝利は98年にエルコンドルパサーで勝った蛯名騎手まで遡らなければならない。
[キャリア]好走馬のキャリアは幅広く、10戦以下の馬が2勝、20戦を超える豊富なキャリアを持った馬も3勝。昨年はキャリア22戦のシュヴァルグランがG1初制覇となった。ただし、キャリア31戦以上は大きく割引で、24頭が出走して2度の5着が最高。国内外のトップホースを相手に好走するにはある程度の余力も必要となる。
[乗り替わり]乗り替わりと、そうでないジョッキーの着別比率はほぼ互角で、乗り替わりで勝ったのは全て外国人ジョッキー。外国人ジョッキーへの乗り替わりは概ねプラスと捉えられる。
テン乗りで日本人ジョッキーに替わって馬券対象となったのは13年2着の浜中騎手(デニムアンドルビー)1頭。他はいずれも騎乗経験があった。
[当該コースの騎手成績]世代最強馬を決める日本ダービー、オークス、そしてこのジャパンCと、国内最高峰のレースが行われている東京芝2400m。2012年以降、最も勝鞍を挙げているのは、戸崎騎手の20勝。そこから少し離れて蛯名騎手とC.ルメール騎手が14勝。以下、内田博騎手が9勝、北村宏、吉田豊騎手が8勝と、地元のベテランが強さを見せている。
C.ルメール騎手以外の関西のジョッキーでは、M.デムーロ騎手が7勝、岩田騎手が6勝、川田騎手が5勝。大舞台に強いジョッキーが顔を揃えている。
[馬体重]勝ち馬の最軽量は15年ショウナンパンドラの442キロ、最重量は16年キタサンブラックの536キロ。好走馬は幅広いレンジから出ていて、馬格はあまり気にしなくてもいいが、520キロ以上の超大型馬となると馬券に絡んだのは16年に勝ち、昨年3着だったキタサンブラックしかいない。
[種牡馬]過去10年で複数の勝ち馬を出しているのは3勝を挙げているディープインパクト1頭。出走頭数が多いこともあるが、2着も2回あって、親子2代での好走が光っている。その他で複数回馬券絡みがある種牡馬はキングカメハメハ、ハーツクライ、スペシャルウィーク、ブラックタイド、タニノギムレット、ジャングルポケット、ネオユニヴァース。ブラックタイド以外はダービー、ジャパンCで好走した馬が種牡馬としても好走馬を輩出している。
一方で中、長距離で活躍馬を多く送り込んでいるステイゴールド産駒は(0.1.0.10)と苦戦。馬券絡みは12年2着のオルフェーヴルしかいない。
[外国馬]外国馬はのべ42頭が出走して(0.0.0.42)と1度も馬券に絡んでおらず、最高は09年コンデュイットの4着。5着もわずか2頭で、国際レースとしては寂しい状況となっている。