毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【阪神JF】負けがある重賞ウイナーよりも…
2018/12/2(日)
1949年に関西所属の3歳(現2歳)王者決定戦となる「阪神3歳S」として創設。91年に牡馬・牝馬のチャンピオンを明確にすべく牝馬限定戦に変更、阪神3歳牝馬Sとなり、2001年の馬齢表記変更により現在の『阪神ジュベナイルフィリーズ』となった。来春の桜花賞と同じ舞台で、昨年の1~3着馬は今年のクラシックでも好走。過去の勝ち馬を見ても、ニシノフラワー、ヒシアマゾン、メジロドーベル、ウオッカ、ブエナビスタ、アパパネなど、まさに名牝の登竜門といえる。今年はどの馬が名牝への第一歩を踏み出すのか?データから導き出したい。
アルテミスS組が抜群の好相性!
[前走レース]近年最も注目すべき前哨戦はアルテミスSで過去14頭の出走で(2.3.1.8)と抜群の好相性。歴史の浅いレースながら、過去10年で唯一複数の勝利を挙げている。入着回数で見るとファンタジーS組も多いが、出走頭数も多く、アベレージは低い。
その他では東京コースを使った馬が好走傾向にあって、赤松賞、京王杯2歳Sも注目ローテといえるだろう。
過去10年注目データ
[前走着順]前走からの勢いは非常に重要で、過去10年、勝ち馬は全て前走で連対を果たしている。そして、2着馬、3着馬も9頭が前走3着以内。前走で掲示板を外した馬は過去10年で1頭も馬券に絡んでいない。馬券的な妙味は前走2着馬で、出走頭数の違いがあるとはいえ、高いアベレージをマークしている。
[枠順]コース改修前はポケットからのスタートで外枠が圧倒的に不利なコースだったが、現在は有利、不利の少ないフラットなコースとなっている。枠番別で見ると1枠が3勝、6~8枠がそれぞれ2勝と勝ち馬が入った枠は少し偏りがある。2着は全ての枠から出ていて、いずれの枠も2回以上の馬券絡みがある。
馬番別では「3」「5」「12」「14」「17」が馬券絡みなし。一方で「11」は(2.2.1.5)と複勝率50%。「4」と大外の「18」も4度の馬券絡みがあって複勝率が高い。
[脚質]2006年のコース改修により、直線が長い外回りコースとなったことで、逃げ・先行馬は大苦戦。過去10年、4角先頭で押し切ったのは15年のメジャーエンブレム1頭で、2~5番手の好位に付けた馬も勝ったのは16年のソウルスターリングのみ。相当な能力がないと押し切りは難しい。
一方で幅を利かせているのが差し馬で、4角10番手以下のポジションからでも5頭が差し切りを決めている。上がりの瞬発力に長けた馬を狙いたい。
勝ち馬は5番人気まで!
過去10年、1番人気は(4.1.1.4)と4勝。勝率はまずまずといえる数字だが、複勝率60%は心許ない。とはいえ、勝ち馬は5番人気までで、6番人気以下は信頼度がガクンと下がる。不確定要素の多い2歳牝馬の一戦だが、過度の穴狙いは危険。2ケタ人気の馬で複勝圏内に入ったのは12年2着クロフネサプライズと同年3着レッドセシリア、そして15年3着ウインファビラスの3頭しかいない。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 4-1-1-4 | 40.0% | 50.0% | 60.0% |
2番人気 | 2-2-0-6 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
3番人気 | 0-2-2-6 | 0.0% | 20.0% | 40.0% |
4番人気 | 1-1-3-5 | 10.0% | 20.0% | 50.0% |
5番人気 | 3-1-0-6 | 30.0% | 40.0% | 40.0% |
6~9番人気 | 0-1-3-36 | 0.0% | 2.5% | 10.0% |
10番人気~ | 0-2-1-87 | 0.0% | 2.2% | 3.3% |
東の人馬がアツイ!
『西高東低』のレースが多い中、このレースはず関東馬が健闘していて、関西馬126頭に対して、54頭の出走(4.5.6.39)の好成績。連勝こそ3でストップしてしまったが、昨年も3着~5着を関東馬が占め、過去10年全ての年で馬券絡みを果たし、勝率、連対率、複勝率いずれも関西馬を大きく上回っている。
ジョッキーも美浦所属が健闘していて、(4.5.5.32)の好成績。勝率、連対率、複勝率いずれも関西所属のジョッキーを上回っている。
[キャリア]2歳戦と言えども、G1となれば相応のキャリアが必要となるイメージだが、過去10年の勝ち馬は全てキャリア3戦以内。2着馬は9頭、3着は全てキャリア4戦以内で、経験よりも恵まれた素質とフレッシュさが重要。キャリア1戦の馬も能力があれば、キャリアを凌駕することが出来る。
[乗り替わり]過去10年、乗り替わりの馬が勝ったのは2013年レッドリヴェールのみ。ただし、2着、3着はそれぞれ5回と馬券絡みは多く、16年は2着リスグラシュー、3着レーヌミノルともに乗り替わりのジョッキーで上位入線を果たした。
ちなみに乗り替わりとなるジョッキーは、意外にも外国人騎手が不振。馬券絡みは10年3着のライステラス(M.デムーロ騎手)1頭のみとなっている。
[当該コースの騎手成績]2013年以降、阪神芝1600mで勝鞍を挙げているベスト3は川田騎手(27勝)、浜中騎手(26勝)、M.デムーロ騎手(22勝)。その後に福永騎手、C.ルメール騎手の20勝と続き、そこから大きく離れて和田騎手が12勝。このうち福永騎手は回収率が単複ともにプラスとなっている。アベレージを見ると、C.ルメール騎手の勝率26.0%、連対率44.2%、複勝率57.1%が頭ひとつ抜けている。
[馬体重]昨年は484キロのラッキーライラックが勝ち、494キロのリリーノーブルが2着。近年は馬格に恵まれた馬も増えているが、成長途上の2歳、それも牝馬の戦いとあって、好走ゾーンは低めで、410キロ台の馬も2勝している。過去10年の傾向からは480キロを超えると少し割引だが、さほど神経質になる必要もないだろう。
[種牡馬]過去10年で複数の勝鞍を挙げている種牡馬はディープインパクトの2勝。意外にも14年ショウナンアデラは5番人気、11年ジョワドヴィーヴルは4番人気での勝利で、1番人気は13年2着のハープスターのみ。人気薄での好走が目立つ。また、13年と14年は出走馬が1頭のみで連対を果たしており、相性の良さを裏付けている。
15年の勝ち馬メジャーエンブレム、翌16年の2着馬レーヌミノルを送り出しているダイワメジャーだが、その2頭を除くと12頭で掲示板確保は1頭のみ。今年は有力馬を複数送り込むが、少し気になるデータではある。