過去10年攻略データ

1956年にファン投票で出走馬を選出する中山グランプリの名で創設。翌年、創設に携わった当時の日本中央競馬会・有馬頼寧理事長が急逝し、その功績を称えて第2回から『有馬記念』に改称。以降、数々の名勝負が生まれ、現在では競馬を知らない人でもその名前は知っているという暮れの風物詩にもなっている。今年は秋の天皇賞を完勝した昨年のダービー馬レイデオロの他、障害王者のオジュウチョウサンもエントリー。見どころたっぷりのグランプリをデータで紐解きたい。

ファン投票1位は…

[ファン投票1位馬]
08年 ウオッカ 牝4  不出走
09年 ウオッカ 牝5  不出走
10年 ブエナビスタ 牝4  2着
11年 ブエナビスタ 牝5  7着
12年 オルフェーヴル 牡4  不出走
13年 オルフェーヴル 牡5  1着
14年 ゴールドシップ 牡5  3着
15年 ゴールドシップ 牡6  8着
16年 キタサンブラック 牡4  2着
17年 キタサンブラック 牡5  1着
18年 レイデオロ 牡4 ?着
ファン投票1位の馬は過去10年7頭が出走して2勝、2着2回、3着1回。昨年はキタサンブラックが人気に応えて逃げ切り勝ち。有終の美を飾り、ファン投票1位で2年連続出走したブエナビスタ、ゴールドシップはともに2年目に着順を落としていたが、そのジンクスも破ってみせた。複勝圏内という意味では信頼度は高い。

JC組は過去10年全て馬券絡み!

[前走レース]好走馬のローテーションを見るとジャパンCと菊花賞が3勝、天皇賞(秋)からひと息入れた馬が2勝。菊花賞は10頭、天皇賞(秋)は11頭と決して多くはないローテーションで好成績を残している。国内の王道といえるジャパンCは該当が非常に多いためアベレージは低く出ているのだが、3勝、2着5回、3着6回で、過去10年全ての年で馬券に絡んでいる。
これは余談になるのだが、同じ5回中山開催で直近のG2であるステイヤーズSからは12頭がチャレンジして09年4着のフォゲッタブルが唯一の掲示板。過去30年に遡っても99年3着のテイエムオペラオーが唯一の馬券絡みで、今年は勝ち馬のリッジマンが特別登録を行っている。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
ジャパンC3-5-6-484.8%12.9%22.6%
菊花賞3-1-1-530.0%40.0%50.0%
天皇賞(秋)2-0-1-818.2%18.2%27.3%
凱旋門賞1-0-1-133.3%33.3%66.7%
AR共和国杯1-0-0-614.3%14.3%14.3%
エリザベス女王杯0-2-0-120.0%14.3%14.3%
金鯱賞0-2-0-130.0%13.3%13.3%
中日新聞杯0-0-1-00.0%0.0%100.0%
ステイヤーズS0-0-0-120.0%0.0%0.0%

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
3歳4-2-2-23前走1着4-2-3-24
4歳2-5-2-31前走2着2-1-0-12
5歳4-2-4-37前走3着2-2-1-13
6歳0-0-0-17前走4着1-0-1-10
7歳0-1-1-10前走5着0-1-2-5
8歳以上0-0-1-6前走6~9着1-2-0-28
前走10着~0-2-3-31

過去10年注目データ

[年齢]その年の『顔』を決める一戦とあって、メンバーはハイレベル。好走馬の年齢を見てもそれを表していて、最も多くの勝ち馬を出しているのが3歳馬と5歳馬で4勝、4歳馬が2勝で、連対率は年齢を重ねるにつれてダウン。昨年は5歳馬が上位3着を独占した。
ちなみに5歳馬4勝のうち、3つはオルフェーヴル、ジェンティルドンナの3冠馬、G1を6勝していたキタサンブラックのラストラン。6歳以上は不振で、2着1回、3着2回と大きな割引が必要。特に6歳馬は(0.0.0.17)で1度も馬券に絡んでいない。

[前走着順]過去10年、勝ち馬の9頭が前走4着以内で、連勝を果たした馬は4頭。一流馬が揃う一戦で連勝はなかなか難しいのだが、勝ち馬は前走で一応の格好は付けている。これが2~3着馬になると前走5着以下の伏兵も度々見られ、前走2ケタ着順からガラリ一変で2~3着に食い込んだ馬が5頭。その多くが中山での好走歴を持っており、中途半端な負けを喫した馬より、前走大敗の中山巧者が美味しい存在となっている。
ちなみに昨年の2着馬クイーンズリングは距離こそ大きく異なるが、中山コースは2戦2勝。関西馬ながら中山でデビューから2連勝をマークしていた。

[枠順]枠番別では全ての枠で勝ち馬が出ているのだが、2着馬は8頭が1~4枠の内枠。3着馬は5枠から外が7頭。トリッキーなコースだが、枠番別ではかなりフラットな数字が残っている。
馬番別で馬券絡みがないのは「8」「10」「12」「15」「16」。オールドファンにはオグリキャップのラストランが思い出される「8」番だが、02年2着のタップダンスシチー以降、馬券絡みはゼロ。馬番「5」と「16」は過去30年まで遡っても勝ち馬が出ていない。

[脚質]先行馬の活躍が目立つレースで、過去10年、4角先頭で押し切ったのが2頭。勝ち馬の実に8頭が4角5番手以内のポジションからグランプリホースに輝いている。
4角10番手以下から差し切ったのは12年ゴールドシップのわずか1頭。この年は1~3着馬が4角10番手以下の後方勢が上位を独占した。基本的には先行馬有利のレースと見ていいだろう。

ヒモの伏兵に要注意!

1番人気は(6.2.1.1)と信頼度は高めで、馬券圏外は15年ゴールドシップの8着のみ。2番人気も(2.1.2.5)と半数は馬券に絡んでいる。以前は3番人気が苦戦していたが、ここ2年は連続で3着と盛り返してきている。
勝ち馬は上位人気が多く占めているが、2~3着は人気薄が多く絡み、2着馬が5頭が6番人気以下でヒモ荒れの傾向が強い。2008年は1番人気のダイワスカーレットが勝ちながら98万馬券が飛び出している。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気6-2-1-160.0%80.0%90.0%
2番人気2-1-2-520.0%30.0%50.0%
3番人気0-0-2-80.0%0.0%20.0%
4番人気1-1-1-710.0%20.0%30.0%
5番人気0-1-0-90.0%10.0%10.0%
6~9番人気1-3-1-352.5%10.0%12.5%
10番人気~0-2-3-590.0%3.1%7.8%

プラスαデータ

関西馬が圧倒的に強いが…

出走頭数が圧倒的に関西馬が多いこともあるのだが、過去10年で関西馬が9勝、関東馬が1勝。2着馬は全て関西馬と一連のダート路線以上に関西馬の強さが目立つ。騎手の所属別では関東のジョッキーが過去10年で3勝と意地を見せている。また、外国人ジョッキーの健闘も光り、昨年はH.ボウマン騎手が3着に入った。

[キャリア]キャリア10戦以下の馬券絡みはいずれも3歳馬で、トゥザワールド、トゥザグローリーの兄弟以外は全てクラシックホース。クラシックを勝って連対を外したのは09年の皐月賞馬アンライバルド、10年のダービー馬エイシンフラッシュの2頭。キャリア11戦を超える3歳馬はウオッカ、メイショウサムソンといったダービー馬でも馬券圏外に去っている。
古馬に目を移すと、キャリア豊富な6歳以上が苦戦していることもあって、キャリア21戦を超えるとアベレージがグンとダウンするのだが、好走した顔触れを見るといずれも中山コースで好走実績を持っていた。中山巧者は年齢にかかわらず要注意。

[乗り替わり]世代トップクラスが揃う一戦で、お手馬がかち合って乗り替わりも多く発生しているが、過去10年では前走と同じコンビが7勝。ただし、2着は乗り替わったコンビが6回、3着も4回と好走。乗り替わったジョッキーも名手が多く、乗り替わりはあまり気にする必要はないだろう。

[当該コースの騎手成績]2013年以降に行われた中山芝2500mで最も多くの勝鞍を挙げているのは戸崎騎手の8勝で、その中にはジェンティルドンナで勝った2014年の有馬記念も含まれている。連対率42.1%、単勝回収率164%はかなりのハイアベレージだ。そこから大きく離れて3勝が北村宏、松岡、蛯名、内田博、岩田、吉田隼、吉田豊、柴山騎手の8人。注目されるC.ルメール、M.デムーロ、武豊騎手はそれぞれ1勝。3名いずれも有馬記念で勝った実績を持つ。

[馬体重]冬の中山。パワータイプが幅を利かせているイメージは間違ってなく、500キロ以上の馬が4勝。昨年は540キロのキタサンブラックが勝ち、520キロ以上に絞ると(1.3.3.12)と好成績を残している。一方で決して出走馬が多くない460キロ以下の馬も1勝、2着2回。大型馬の活躍が多いのは確かだが、好走馬のレンジは幅広く、馬格はそれほど気にしなくて良さそうだ。

[種牡馬]有馬記念といえば切っても切り離せないのがステイゴールド産駒で、過去10年(4.1.2.10)と圧巻の成績。昨年はレインボーラインが8着と敗れたが、今年は巻き返しなるか。注目のオジュウチョウサンはステイゴールド産駒だ。
続いてディープインパクト産駒が2勝。馬券絡みはその2勝のみで出走頭数の多さから決してアベレージは良くないのだが、人気以上に走っている傾向で、伏兵の台頭には注意。
キングカメハメハ産駒は勝ち馬は出ていないが、人気薄を度々圏内に送り込んでいる。

データの決断

ジャパンCを世界レコードで圧勝した3冠牝馬アーモンドアイの名前がないのは残念だが、G1ホース6頭に障害の王者オジュウチョウサンが武豊騎手を背に参戦という楽しみな一戦となった今年のグランプリ・有馬記念。秋の天皇賞馬レイデオロには一目置かねばならないが、馬券的に狙ってみたいのはミッキースワロー。このレースの穴馬を多く送り出している中山巧者で、5着に敗れた前走のジャパンCでもメンバー最速の上がりで追い込んできた。師走に入って手綱捌きが冴え渡っている横山典騎手がどんな作戦で臨むか大いに楽しみだ。