毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【東京新聞杯】1番人気は大ピンチ!
2019/1/27(日)
1951年に「東京杯」の名称で創設。当初は2400mで天皇賞(春)の前後に行われていたが、1966年に現在の「東京新聞杯」へと名称が変わるとともに施行時期も1月下旬~2月上旬へ。1984年より距離もマイル戦となり、安田記念へ続くマイル路線の重要なステップレースとして位置づけられている。ちなみに第1回の勝ち馬トサミドリを筆頭に天皇賞の前哨戦となっていた時期の勝ち馬には八大競走の勝ち馬が多く名を連ねていて、3頭がのちに顕彰馬として選出されている。そんな伝統ある一戦で今年勝ち馬となるのはどの馬か?データで検証してみたい。
有馬記念組が強い
[前走レース]最も注目となるローテーションは過去に4頭が出走して3勝という驚異的な勝率を誇るエリザベス女王杯からの参戦。昨年はリスグラシューが制したが、残念ながら今年は該当馬がいない。その他では年末年始に使ったニューイヤーS、阪神C、京都金杯からの参戦。準オープンを勝った勢いで重賞制覇を果たした馬も2頭いて、その勢いは侮れない。
過去10年注目データ
[年齢]過去10年、4歳馬と6歳馬が4勝ずつ。5歳馬は2勝と前記2世代に勝鞍では劣るが3着は5回と世代別で最も多く、複勝率は6歳馬を上回る。7歳以上は大きく割引で、馬券絡みはわずか2頭。どちらもこのレースで2着に入った経験を持っていた。
[前走着順]前走から連勝を果たした馬は過去10年で3頭。うち2頭は前走で準オープンを勝って連勝で重賞制覇を果たした。穴党注目は前走6着以下に敗れた馬の巻き返しで、10着以下であれば3勝、2着3回とこのレースでリベンジに成功している。昨年のリスグラシューは3番人気だったが、それ以外の5番人気以下で、多くは重賞3着もしくはオープン2着以内の実績を持っていた。前走の着順で評価が急落している馬は狙い目だ。
[枠順]枠番別では大きな偏りが出ていて、過去10年で実に9頭が4枠より内の馬。特に3枠の4勝、4枠の3勝が目立つ。
馬番別ではその3、4枠にあたる「6」が3勝、「5」が2勝。「2」も2勝を挙げている。勝ち馬は偏りがあるのだが、複勝圏の括りで見ると、馬券絡みがない馬番は「9」「16」の2つ。10頭立てで行われた年もあり、2~3着のヒモは外の枠からも出ている。
[脚質]直線が長く、差し馬が強いイメージもある東京のマイルコースだが、このレースに関しては過去10年で4角先頭の馬が2頭押し切り、1頭が2着に粘っている。2~5番手の好位に付けた馬も3勝、2着3回、3着は6回あって、イメージ以上に先行馬が好成績を残している。もちろん、差し馬がダメなわけではなく、4角10番手以下から差し切った馬も2頭いて、決まり手はバラエティに富んでいる。人気薄の粘り込みや直線一気を頭に入れつつ、柔軟に予想を組み立てたい。
1番人気は過去10年未勝利
過去10年で1番人気は何と未勝利。2着1回、3着2回と1番人気に推された馬にとっては非常に厳しいデータが出ている。最も多く勝っているのは3番人気と5番人気の3勝。2ケタ人気の勝ち馬はいないが、8番人気が2勝するなど、人気薄も積極的に狙っていけるレースだ。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 0-1-2-7 | 0.0% | 10.0% | 30.0% |
2番人気 | 2-0-2-6 | 20.0% | 20.0% | 40.0% |
3番人気 | 3-1-0-6 | 30.0% | 40.0% | 40.0% |
4番人気 | 0-1-1-8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 3-3-1-3 | 30.0% | 60.0% | 70.0% |
6~9番人気 | 2-3-3-32 | 5.0% | 12.5% | 20.0% |
10番人気~ | 0-1-1-58 | 0.0% | 1.7% | 3.3% |
西のジョッキーに警戒
過去10年、勝ち馬は東西互角で5勝ずつ。2~3着は関西馬の方が多いが、1~3着を独占したのは2013年の1度だけ。9年は関東馬も1頭が馬券に絡んでいる。
ジョッキーでは美浦所属が6勝、2着7回、3着5回で地元の意地を見せているが、騎乗機会が3倍以上あって、アベレージでは栗東所属のジョッキーが大きくリード。同日の京都ではクラシックに繋がるきさらぎ賞が組まれており、東京遠征に来る西のジョッキーはかなりの手応えを持って東上していると見ていい。
[キャリア]まずキャリア31戦を超えた馬は3着以内がゼロ。ここが大きな分岐点になる。4歳馬の活躍もあり、キャリア10戦以下の馬は(3.3.3.12)と高いアベレージを誇る。出走頭数が多いためアベレージは低く出ているが21~30戦の馬も数多く馬券に絡んでいて、30戦以下であれば、キャリアはあまり気にする必要はないだろう。
[乗り替わり]ジョッキーの乗り替わりについては、前走と同じコンビと乗り替わったコンビがともに5勝ずつ。2着は乗り替わったコンビが7回と多く、3着同じコンビが6回。連対率で見るとほぼ互角。勝率、複勝率では出走機会の少ない前走と同じコンビが上回っているが、大きな差はなく、乗り替わりはあまり気にしなくていいだろう。
[当該コースの騎手成績]2014年以降に行われた東京芝1600mで最も多い勝鞍を挙げているのはC.ルメール騎手の38勝で2位の戸崎騎手が36勝。この2人が頭ひとつ抜けていて、C.ルメール騎手はこの1年で10勝の上積み。以下は横山典騎手が21勝、内田博、北村宏、蛯名騎手が18勝、三浦騎手が17勝、M.デムーロ騎手が16勝と続く。その他の栗東所属ジョッキーでは福永騎手が12勝、武豊騎手は9勝で、そのうち4勝を重賞で挙げている。
[馬体重]勝ち馬の最低体重は昨年のリスグラシューで448キロ。連対馬の最低体重は13年2着ダイワマッジョーレの434キロ。勝ち馬の最高体重は10年レッドスパーダの534キロで、小兵から大型馬まで幅広いレンジで好走馬が出ている。
[種牡馬]過去10年で3勝と好相性なのがタニノギムレット産駒。スマイルジャックが5回、アブソリュートが2回出走、そして17年の勝ち馬ブラックスピネルと出走したのは3頭で8回。3頭いずれも勝鞍を挙げている。このコースはいかにも合うイメージのディープインパクト産駒は2勝、2着4回とイメージ通りの好成績。キングカメハメハ産駒は勝鞍こそないが、2着と3着がそれぞれ2回と4度の馬券絡み。ダンスインザダーク、スペシャルウィーク産駒が2度の馬券絡みを果たしていて、どちらかというとスピードや切れよりスタミナが勝った種牡馬の活躍が目立つ。
キャリア、臨戦過程から狙ってみたいのが2連勝でここへ挑む4歳のインディチャンプ。毎日杯3着、アーリントンC4着とあと一歩で賞金の上積みができず、大舞台への出走はならなかったが、その素質は高く評価されてきた逸材。上位人気の一角にはなりそうだが、恐らく1番人気まではならないと思われ、配当的にも妙味がありそうだ。