毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【高松宮記念】G1奪取の絶好機到来!
2019/3/17(日)
1971年に『高松宮杯』の名でスタート。かつては春の中距離路線の締めくくる一戦としてハイセイコー、トウショウボーイ、オグリキャップといった歴史的名馬や1990年代の名脇役ナイスネイチャ、マチカネタンホイザらの個性派を輩出。1991年にはダイタクヘリオスが母子3代制覇を狙ったダイイチルビーをハナ差抑えて勝利するドラマも生まれている。1996年より施行距離を1200mと変更してローカル競馬場では初めてG1に昇格。1998年に『高松宮記念』と名称が変わり、2000年からは施行時期が現在の3月下旬へと移った。本格的な春のG1シーズン到来を告げる一戦をデータで紐解きたい。
2011年は中京競馬場の改修工事のため、阪神競馬場で施行。
好走ローテはハッキリ!
[前走レース]好走ローテーションはハッキリ3つに分かれていて、阪急杯、オーシャンS、シルクロードSから駒を進めた馬がそれぞれ3勝ずつ。2着は阪急杯組が4頭と最も多く、2着は7頭、3着は9頭が3つレースをステップに本番で好走して、非常に分かりやすい傾向が出ている。アベレージで見ると出走頭数が少ないシルクロードS組が優秀。ぶっつけ本番で挑む実績馬よりも順調にステップレースをクリアした馬が本番でも結果を残している。
過去10年注目データ
[年齢]5歳馬が強いレースで、勝ち馬の半数を占める。2着も4回あって、迷ったらまず5歳馬をチェックしたい。勝鞍はないが6歳馬の2着6回も光る数字で、7歳馬2勝、8歳馬も勝鞍があって、遅咲きの馬が多く活躍している。
アベレージではやや劣勢の4歳馬。新コースとなった12年以降、6年連続で馬券圏内に入っていたのだが、昨年その記録がストップ。今年は人気上位に支持されそうなイキのいい4歳馬もおり、巻き返しなるか注目だ。
7歳以上で複勝圏に入ったのべ5頭のうち4頭は前走で連対し、残る1頭も前走4着、2走前2着と好調を維持して臨んできた。高齢馬でも近走結果を残している馬は注意したい。
[前走着順]近走の勢いはかなり重要で、勝ち馬の8頭は前走で連対を果たし、10頭全てが前走5着以内。高齢馬の好走が多いレースだが、それらも近走は堅実な走りを見せており、特に前走で連対を果たしている馬は要注意。
前走6着以下は大きく割引で、17年に香港スプリント12着のレッドファルクスが反撃を見せたが3着まで。これが前走2ケタ着順唯一の馬券圏内への巻き返しだった。
[枠順]過去10年、2枠と3枠が3勝。5枠が2勝と枠番別では偏りが出ている。馬番別ではフルゲートでは2枠にあたる馬番「4」が3勝、3枠の「6」が2勝とラッキーナンバーになっている。内寄りがいいのは数字に表れているが、1枠は連対なしと不振。馬番「1」は12年ロードカナロアが1番人気で出走したが3着止まりとなっている。過去10年で1度も馬券対象となっていないのは「14」と「18」。
[脚質]コース改修前の10年までは平坦小回り、11年が阪神で、12年以降の新コースはゴール前に坂ができ、直線の距離も長くなった。勝ち馬はイメージに反して、人気を背負い、前めに付けて押し切るという正攻法の競馬が多くなっている。一方で、人気馬を追いかけた馬が苦しくなるのか、後方からの追い込みも多く出ていて、過去10年の2着馬のうち5頭が4角10番手以降。3着も2頭おり、展開を読むのが的中のカギになる。
1番人気の取りこぼしが多い
近走成績のいい馬が活躍しているレースとあって、過去10年の勝ち馬は全て5番人気以内。ただし、1番人気は複勝率70%を誇るが(3.1.3.3)と取りこぼしも多く、連対率は2番人気、3番人気の方が高い。6番人気以下は2着が3頭、3着が4頭。連対馬は8番人気までで、過去10年においては2ケタ人気の連対はない。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 3-1-3-3 | 30.0% | 40.0% | 70.0% |
2番人気 | 2-3-0-5 | 20.0% | 50.0% | 50.0% |
3番人気 | 3-2-3-2 | 30.0% | 50.0% | 80.0% |
4番人気 | 1-1-0-8 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
5番人気 | 1-0-0-9 | 10.0% | 10.0% | 10.0% |
6~9番人気 | 0-3-0-37 | 0.0% | 7.5% | 7.5% |
10番人気~ | 0-0-4-83 | 0.0% | 0.0% | 4.6% |
東のジョッキーに厚い壁
東西の比較では関西馬が6勝、関東馬が3勝、外国馬が1勝。現在の西高東低にあって、関東馬が健闘を見せているレースで、昨年も10番人気ナックビーナスが3着と健闘し、3年連続で関東馬が馬券絡みを果たしている。
ところが、ジョッキーは圧倒的に西優勢で、栗東所属が8勝、外国人ジョッキーが2勝。美浦所属ジョッキーの勝利は06年オレハマッテルゼの柴田善騎手まで遡らなければならない。
[キャリア]5歳以上の馬が活躍しているレースだが、勝ち馬の5頭がキャリア15戦以下。16年はキャリア10戦の5歳馬ビッグアーサーが制し、出世の遅れてきた馬がこの舞台で花を咲かせている。勝ち馬はキャリア面でフレッシュな馬が多いが、30戦以下であればアベレージが大きく落ち込むことはない。
[乗り替わり]ドバイワールドカップデーとぶつかることが多かったため、乗り替わりが多く発生し、乗り替わったコンビが3勝しているが、アベレージはひと息。2~3着は前走と同じコンビが圧倒的に多く、乗り替わりはプラスとはいえない。
[当該コースの騎手成績]2013年以降、最も多くの勝鞍を挙げているのは福永騎手の9勝。34回と決して少なくはない騎乗回数で勝率26.5%、連対率38.2%、複勝率50.0%のハイアベレージを誇り、単複ともに回収率が100%を超えている。続くのが8勝の藤岡康騎手、6勝の武豊、幸騎手、5勝の川田、松若騎手で、コース別データでは上位に顔を出すC.ルメール、M.デムーロ、戸崎騎手は騎乗回数が少ないことがもあって名前が上がってこない。
[馬体重]勝ち馬の最高馬体重は15年エアロヴェロシティの524キロ。昨年は480キロのファインニードルが勝ったが、2~3着馬は500キロを超える大型馬で、近年は馬格がある馬の活躍が目立つ。460キロを割った馬で馬券絡みを果たした馬のは14年3着のストレイトガールのみで、スピードはだけではなく、タフさ、パワーも要求される。迷ったら馬格がある馬を選択するのが吉かもしれない。
[種牡馬]過去10年でフジキセキと目下2連勝中のアドマイヤムーンが2勝をマーク。クロフネ、キングカメハメハ、シンボリクリスエス産駒が2回以上連対。ディープインパクト産駒はミッキーアイルが2度馬券に絡んでいるが、軽快なスピード・切れよりタフさが重視されるレースとあってか、やや苦戦している印象。このようにスピードも重要ではあるが、種牡馬の名前を見ているとパワーも要求される舞台設定となっている。