過去10年攻略データ

1937年に創設された「帝室御賞典」が第1回とされるが、その前身である1905年創設の「エンペラーズカップ」まで遡ると100年以上の長い歴史を持つレース。現在はジャパンカップや有馬記念といったこのレースを上回る賞金のレースもあるが、古いホースマンからは『古馬最高の栄誉』と、今なお存在を重んじられる存在となっている。ひとクセもふたクセもある長距離巧者が名を連ねた楽しみな一戦をデータで検証してみたい。

前走の格は非常に重要

[前走レース]主要ローテは4つで、最も勝鞍が多いのが日経賞と阪神大賞典の3勝。大阪杯はG2時代に2勝、G1昇格後は初年度にキタサンブラックが勝っており、レース間隔で見ると実質3勝。もう1つは京都記念で、この4レース以外からの連対は15年2着フェイムゲームのダイヤモンドSしかない。格の高いG2以上のレースをステップにした馬が天皇盾を手にしている。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
日経賞3-3-2-475.5%10.9%14.5%
阪神大賞典3-2-5-485.2%8.6%17.2%
産経大阪杯2-2-1-815.4%30.8%38.5%
京都記念1-1-0-416.7%33.3%33.3%
大阪杯1-1-0-225.0%50.0%50.0%
ダイヤモンドS0-1-0-130.0%7.1%7.1%
大阪―ハンブルクC0-0-1-130.0%0.0%7.1%
ドバイWC0-0-1-10.0%0.0%50.0%

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
4歳3-1-5-36前走1着5-5-4-27
5歳4-4-1-39前走2着3-1-3-23
6歳3-3-2-27前走3着0-2-1-17
7歳0-1-2-18前走4着0-0-1-13
8歳0-1-0-16前走5着1-0-0-14
9歳以上0-0-0-11前走6~9着0-1-0-36
前走10着~1-1-1-17

過去10年注目データ

[年齢]過去10年、勝ち馬は4~6歳の3世代で、5歳馬4勝、4、6歳馬がそれぞれ3勝。4歳馬の連対率がやや落ちるが、その他のアベレージはこの3世代に大きな差がない。7歳以上はアベレージがグンと下がる。ちなみに馬券に絡んだ7歳以上の4頭は、13年3着のレッドカドーが前走ドバイワールドC2着、10年2着のマイネルキッツは前走日経賞1着、15年3着のカレンミロティックは前走阪神大賞典4着、翌年はこのレース2着と好走。いずれもハイレベルの重賞で好走歴があった。

[前走着順]前走から連勝を果たした馬は過去10年で5頭。前走2着馬も3勝していて、直近の勢いは重要。G2以上のレースで好走してきた馬は特に注意が必要だ。前走で掲示板を外しながら馬券圏内に巻き返してきた馬は4頭いるが、いずれも3000m以上のレースで3着以上の実績があった。

[枠順]勝ち馬は過去10年で8頭が4枠よりも内で、特に1枠は5勝と圧倒的な強さを見せている。2着は6~8枠の2頭ずつ。ヒモは外枠の馬も多く絡んでいる。不振なのは5枠で過去10年1頭も馬券に絡んだ馬がいない。ただし、11年に1番人気で13着と敗れたトゥザグローリー以外は5番人気以下で、有力馬はほとんどいなかった。
番別では「1」が3勝、「2」と「12」が2勝。馬券絡みがないのは「5」「9」「10」「17」「18」。

[脚質]過去10年4コーナーを先頭で回った馬は3勝、2着1回、3着2回。2~5番手に付けた馬が5勝、2着6回、3着4回とスタミナに自信を持つ歴戦の古馬が揃う一戦とあって、前でレースを進めた馬がそう簡単には崩れない。4角10番手以下から馬券に絡んだのはわずか4頭。昨年はレインボーラインが鮮やかな差し切りを決めたが、キズナが2度1番人気を裏切るなど、追い込みはなかなか決まらない。

1番人気は大不振だったが…

過去10年、1番人気の馬は(1.1.0.8)と大不振なのだが、17年はキタサンブラックが人気に応え、昨年はシュヴァルグランが敗れはしたが2着と潮目は変わりつつある。最も信頼できるのは2番人気で5勝、2ケタ人気も2勝を挙げている。
数少ない長距離レースで波乱の要素も多い一戦だが、ここ2年は5番人気までの馬だけで上位3頭を占めて平穏な結果となっている。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気1-1-0-810.0%20.0%20.0%
2番人気5-0-2-350.0%50.0%70.0%
3番人気0-4-1-50.0%40.0%50.0%
4番人気1-3-1-510.0%40.0%50.0%
5番人気0-0-2-80.0%0.0%20.0%
6~9番人気1-1-1-372.5%5.0%7.5%
10番人気~2-1-3-812.3%3.4%6.9%

プラスαデータ

人馬とも東の健闘が光る!

2着、3着の数は出走回数で勝る関西馬が圧倒しているが、過去10年で関東馬が4勝。アベレージで見ると勝率、連対率は関東馬が上回っている。
騎手では更に美浦所属の健闘が光り、栗東所属を上回る5勝。アベレージも大きく上回っている。敢えて西下してくる美浦所属のジョッキーは要注意だ。

[キャリア]最も少ないキャリアで勝ったのは13年フェノーメノと16年キタサンブラックの9戦。キャリア10戦以下はサンプルがさほど多くない中で2頭が勝ち上がっている。20戦を超えるキャリアの馬も4勝を挙げていて、30戦までは複勝率に大きな差はないのだが、31戦以上は急降下。ここが大きな分岐点となる。

[乗り替わり]昨年はH.ボウマン騎手に乗り替わったシュヴァルグランが2着、三浦騎手に乗り替わったクリンチャーが3着となったが、前走と同じコンビは7勝、2着7回、3着は8回と圧倒していて、乗り替わりはマイナス。シュヴァルグランは前年のジャパンCをH.ボウマン騎手とのコンビで勝っていて、過去には16年2着カレンミロティックの池添騎手は実質の主戦。15年1着ゴールドシップの横山典騎手も過去に騎乗経験があった。乗り替わりでもこのパターンは注意を払いたい。

[長距離戦の騎手成績]2014年以降に行われた3000m以上のレースで、最も多くの勝鞍を挙げているのは、昨年の勝利ジョッキーである岩田騎手で6勝。続いてC.ルメール、R.ムーア騎手の4勝で、R.ムーア騎手はアルバートとのコンビで4戦全勝。いつかこのレースにも騎乗してほしいところだ。以下、3勝が武豊、北村宏騎手、関東のベテラン横山典、蛯名騎手が2勝で続く。騎乗機会が少ないこともあるが、これらのジョッキーのほとんどが高い連対率、複勝率をマークしている。

[馬体重]勝ち馬の最高体重は17年キタサンブラックの536キロ。最軽量は昨年のレインボーラインで452キロ。過去10年の勝ち馬のうち7頭が480キロ以上。2着は比較的小柄な馬が多く、1年で最も速い時計が出る開催で、切れ、瞬発力を武器とする軽量馬の活躍も見られる。馬格はあまり気にしなくていいだろう。

[種牡馬]過去で複数の勝ち馬を出している種牡馬は、13年からゴールドシップ、フェノーメノで産駒3連覇を果たし、昨年レインボーラインが勝って4勝を挙げているステイゴールドと16、17年連覇を果たしたキタサンブラックの父ブラックタイドとその2頭。勝鞍こそないが、ハーツクライ産駒は2着5回、3着3回と馬券圏内を賑わせている。
ディープインパクト産駒は13年トーセンラーの2着が最高で、17年サトノダイヤモンドが3着。2年連続1番人気に支持されたキズナは馬券圏内に入ることができなかった。
ディープインパクトと並ぶ大種牡馬キングカメハメハも、過去にのべ13頭が参戦して昨年4着のミッキーロケットが最高の成績。それ以外のいずれも掲示板外で、11年は1番人気トゥザグローリーが13着、2番人気ローズキングダムが11着と大苦戦している。

データの決断

平成最後の天皇賞。年明けから競馬界でも「平成最後の」というワードが飛び交ったが、このレースがまさしく平成最後のG1レースとなる。フルゲートを大きく割り込み、やや寂しいメンバーとなってしまったが、穴馬台頭の余地も十分ある一戦。データから狙ってみたいのは、阪神大賞典2着から駒を進めてきたカフジプリンス。重賞タイトルもなく、前走は格上挑戦での重賞2着だったが、それ以前にもダイヤモンドS、新潟記念3着、神戸新聞杯4着など重賞でも好走があり、血統通りの長距離適性を見せていた。今年のメンバーなら前走の再現があってもいい。