今年の大井11R・東京ダービーは27年連続、合計37回東京ダービーに挑戦している主役・的場文男騎手が、前開催の落馬の影響で騎乗回避。2着10回の的場騎手の不在は大きな痛手だが、例年に勝るとも劣らないメンバーが揃った。

メンバー中最も強いのはミューチャリー。前走の羽田盃でレース上がり3F13.7-12.8-12.2という加速ラップを踏むなど、その実力は中央のオープン馬たちとも互角。ここでも最有力候補だろう。

昨年の鎌倉記念の内容が素晴らしく、当時から世代最強と目されていた馬。全日本2歳優駿は競馬に参加できず、雲取賞は馬場が合わなかった。普通に走れば、力は抜けている。

ただ、あえて2月の雲取賞から3月の京浜盃をスキップしているように、使い込むとテンションが上がる馬。前回は中2ヶ月半、今回は中1ヶ月半の出走間隔となる。『普通に走ること』ができるかどうか、問題はそこだろう。

◎はヤマショウブラック。2走前のTCKバーベキューガーデン賞は3着、前走の羽田盃5着と詰め切れないレースが続いているが、

TCKバーベキューガーデン賞(大井1800m)
12.9-12.8-13.6-13.2-12.9-12.9-13.3-12.8-13.4 1.57.8 (前半1000m65.4)

羽田盃(大井1800m)
12.2-11.7-13.2-12.6-12.3-12.8-13.7-12.8-12.2 1.53.5 (前半1000m62.0)

条件戦だったTCKバーベキューガーデン賞より、前半3Fが3秒以上速くなったS1の羽田盃のほうがパフォーマンスが上昇している。一因として挙げられるのはその配合。エルコンドルパサー産駒ルースリンドを父に持ち、母の父は菊花賞馬ダンスインザダーク。スタミナと底力の塊だ。前半からペースが流れるような展開に向いている配合と言える。今回は前傾ラップを作りやすいイグナシオドーロが、その内にサクセッサーがいるメンバー。前半からスローペースらしいスローペースにはならないだろう。

羽田盃を改めて見ると、ヤマショウブラックが4コーナーロスなく回って差し込んでいるのが分かる。今の大井は直線がタフ。最後は脚の削り合いになる、とすると、ロスなく捌いてきた差し馬が浮上する。つまりヤマショウブラックのような馬が台頭する可能性は決して低くない。

月曜の大井の馬場は内が悪く、この作戦はできなかっただろう。火曜の大井の馬場を見る限り、内の状態は戻っている。これなら羽田盃のような乗り方が可能だ。


面白いのはジョーパイロライト。素質は上位で、東京ダービーと相性のいいパイロ産駒だ。問題は使い込んできていること。羽田盃を使うために浦和の若草特別を使い、間隔を詰めたことで羽田盃は身体が減っていた。今回はそこから中1ヶ月半。体重が戻っているかどうか。

月曜の内が良くない馬場では厳しかったカジノフォンテンは、火曜の馬場で好走の目が出てきた。揉まれ込むとダメなタイプだけに、この枠からスムーズな競馬ができるかどうかだろう。

人気のウィンターフェルは実力だけなら今の南関3歳№2。問題はその乗り難しさ。強烈なソラ癖を持っており、早めに抜け出すとどうしても馬が遊んでしまう。名手・森泰斗騎手が距離延長でどう工夫して乗ってくるか、注目が集まる。

東京ダービー
◎ヤマショウブラック
〇ミューチャリー
▲ジョーパイロライト
☆カジノフォンテン
△⑤、⑧、⑨、⑩