競馬YouTuberとして一躍名を挙げ、各媒体に引っ張りだこの佐藤ワタルが、地方&海外レースを展望。若くして人並み外れた知識量、分析力を披露する。
【ドバイ国際競走2021】2年ぶりのドバイ国際競走!最もチャンスのある日本馬は…!?
2021/3/27(土)
ドバイ国際競走
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ドバイ・ゴールデンシャヒーン出走馬
(左から馬番、ゲート番、馬名、騎手)
①8 アルタリク A.デフリース
②12 キャンヴァスト P.ドッブス
③11 コパノキッキング W.ビュイック
④1 グッドエフォート L.デットーリ
⑤10 インポータントミッション R.フレンチ(※出走取消)
⑥7 ジェイランジャーニー L.サエス
⑦3 ジャスティン 坂井瑠星
⑧4 マテラスカイ 戸崎圭太
⑨5 プレミアスター M.バルザローナ
⑩13 レッドルゼル R.ムーア
⑪9 スイッツァランド T.オシェア
⑫6 ワイルドマンジャック F.ハラ
⑬2 ヤウポン J,ロザリオ
⑭14 ゼンデン A.フレス
※勝馬投票券は馬番で発売日本馬の評価
▲コパノキッキング
前走のリヤドダートスプリントは直線鋭い末脚を使って優勝。2走前のJBCスプリントは馬場が合わなかった分6着だっただけで、前走こそがこの馬の実力なのだろう。ダートの高速決着にも対応可能で、左回りも合う。引き続きビュイック騎手が騎乗できるのもプラスで、スムーズな競馬ができれば連続好走もありそう。
△マテラスカイ
テンの速さは世界でもトップクラスの韋駄天。昨年のクラスターカップでダート1200mを1.08.5という超高速時計で制するなど、時計勝負にも強い。直線平坦コースでは出遅れた時以外大崩れが少なく、今回もゲートを決めてハナを切りたい。決め手に欠くためなるべく4コーナーで後続と距離をとっておきたいところだ。
☆ジャスティン
昨年の東京盃やカペラSの勝ち馬。ゲートが不安定な馬で、スタートをうまく切れれば1着、スタートが遅かった時は4着以下という成績が続いている。前走のリヤドダートスプリントもスタートが不安定。直線前が壁になるなどレースにならなかった。逆に言えば好スタートを切ることができれば上位に食い込むだけの力はある。
△レッドルゼル
キャリア16戦中13戦で3着以内と安定感抜群。昨年秋の室町S以来後方待機競馬を続けているが、鋭い末脚を繰り出し5歳にして本格化の気配が漂う。前走、距離不安がささやかれていたマイルのフェブラリーSも4着と健闘。ハイペースだったカペラSで差してきたように、前がやり合う展開なら一発もある。
外国馬の評価
○ヤウポン
ダートの短距離のレベルは世界最高と言えるアメリカから遠征してきたのがこの馬。前走の米G1・BCスプリントはスタートで出遅れ、直線では2度不利を受けてしまっていただけに、8着は度外視していいだろう。それ以前に4連勝しているように、スムーズにハナを切ったら簡単には止まらない。芝並みの持ち時計1.08.5が示すように、スピード能力に関してはこの馬が一枚上。
☆キャンヴァスト
先行馬が揃った今年のメンバーで展開利が見込めそうなのがこの馬。1月の地元のG3・ジェベルアリマイルでは大きく離された3着だったものの、2走前に1200mに距離短縮して一変。
前走は地元のG3・マハブアルシマールを1.10.2の時計で差し切った。メイダンのコースレコードはマインドユアビスケッツが記録した1.10.1。わずか0.1秒差と優秀なタイムを記録しているだけに、今回もハイペースに乗じて上位は十分ありうる。
◎ワイルドマンジャック
ダート短距離王国のアメリカからの遠征馬。元々は芝馬。昨年の3月にはメイダンの芝重賞を勝っている。ダートの米G1・ピングクロスビーSで1着から0.2秒差の4着に入るなど、ダートもこなせるところを見せていて、ダート2戦目となった前走米G3・パロスヴァーディスSを先行策から圧勝した。まだダートのキャリアが浅く伸びしろがある。外枠を引いて揉まれなければ面白い。
ドバイ・シーマクラシック出走馬
(左から馬番、ゲート番、馬名、騎手)
①2 チャンネルメイカー J.ロザリオ
②7 ドバイフューチャー L.デットーリ
③5 シムシアー A.デフリース
④6 スターサファリ M.バルザローナ
⑤5 ウォルトンストリート J.ワトソン
⑥4 バークシャーロッコ J.ワトソン(※出走取消)
⑦10 ミシュリフ D.イーガン
⑧1 モーグル R.ムーア
⑨8 クロノジェネシス 北村友一
⑩9 ラヴズオンリーユー O.マーフィー
※勝馬投票券は馬番で発売日本馬の評価
○クロノジェネシス
昨年の夏、冬のグランプリを連覇した強豪。阪神内回りの宝塚記念、中山2500mの有馬記念を攻略したように器用な立ち回りは現役トップクラスと言っていい。馬群がタイトになりやすい海外競馬も器用に捌いてこれそうだ。重たい芝は大歓迎。少々馬場が緩んでも問題ない。上がり勝負にも対応可能だけに、勝ち負け必至と言える存在だ。
△ラヴズオンリーユー
19年オークス馬。昨年春はドバイへカラ輸送となったこと、蹄のトラブルなどでヴィクトリアマイルで7着。エリザベス女王杯で3着に食い込むなど実力は見せていたものの、この馬本来のレース振りはなかなか戻ってこなかった。しかし今年緒戦となった京都記念で先行策から押し切るなど、確実に調子は戻りつつある。左回りの直線が長いコースは歓迎だろう。
外国馬の評価
◎モーグル
前走香港ヴァーズを圧勝。昨年の仏G1・パリ大賞典も2.24.7という速い時計で勝っているように、硬い馬場の速い時計の決着は歓迎のタイプ。パリ大賞典は上位馬がその後凱旋門賞でも上位だったことを考えれば、実力面では海外勢随一と言っていいかもしれない。前走に続きクールモアの主戦であるR.ムーア騎手が騎乗するのも怖いところだ。
△ミシュリフ
前走のサウジカップで日本から遠征したチュウワウィザードを下している。前走ダートのG1を勝ったとはいえ、昨年の仏G1・フランスダービーを勝っているように元々芝で実績を残している馬。芝に戻ること自体は問題ない。昨年のフランスダービー、続くギョームドルナーノ賞と、勝ったレースはどちらも道悪で時計が掛かっていた。良馬場の高速決着となると不安は残る。
▲ウォルトンストリート
前走地元のG2・ドバイシティオブゴールドを、自身の持つレコードとタイ記録で完勝している。昨年夏までは安定感はあるものの突き抜けられず惜敗続きだった馬が、秋以降覚醒。先行策から3連勝中と勢い十分。この馬の場合、3連勝全て硬い馬場だったこと、ここ2走レコードで走っていることから、良馬場で更に良さが出る。早めに動きだすだけに、日本馬はこの馬にある程度ついていきたいところだ。ドバイ・ターフ出走馬
①6 アルスハイル W.ビュイック
②11 コートハウス D.イーガン
③9 エピックヒーロー P.コスグレイヴ
④12 エクティラーン J.クローリー
⑤13 フェリックス O.マーフィー
⑥3 ファーストコンタクト T.オシェア
⑦8 グレンフォース A.デフリース
⑧2 ランドオブレジェンズ C.スミヨン
⑨4 ロードクリッターズ D.タドホープ
⑩10 ロードノース L.デットーリ
⑪7 リーガルリアリティ R.ムーア(※出走取消)
⑫5 ヴァンドギャルド M.バルザローナ
⑬1 ザインホム A.フレス
※勝馬投票券は馬番で発売日本馬の評価
☆ヴァンドギャルド
今回が初めての海外遠征となる。左回りの直線が長いコースは合うことを考えれば舞台適性はありそう。久々の1800mも守備範囲だけに問題なく、重めの馬場もこなす馬。スタートを失敗してしまうことがたまにある馬だけに、五分以上のゲートを切りたいところだ。
外国馬の評価
▲ロードグリッターズ
末脚だけなら日本のトップクラスにも劣らないのではと思うほど、強烈な決め手を持つがこの馬。19年英G1・クイーンアンSを勝って以降は勝利から遠のいていたものの、3走前に久々の勝利を挙げ、前走地元のG1・ジェベルハッタを強烈な末脚で後方一気の差し切り勝ち。一時期の不振を乗り越えただけに、8歳馬でも侮れない存在だ。
◎ロードノース
昨年の英G1・プリンスオブウェールズSの勝ち馬。続く英G1・インターナショナルSでは5頭立てとはいえ、ガイヤース、マジカルといった昨年の欧州競馬をリードした馬たちに続く3着と結果を出している。2走前の英G1・英チャンピオンSは10着に大敗したが、馬場も極端に悪かったことも影響したか。距離が長かった前走の米G1・BCターフから距離短縮で臨めるのは大きい。
〇アルスハイル
前走ジェベルハッタは3着だったものの、直線で外にヨレる形になってしまい、大きなロスがある競馬だった。長期休養明けの一戦だったこと、高速時計決着だったことを考えると、このロスがありながら3着は価値がある。叩いて前進を狙いたい。
ドバイ・ワールドカップ
(左から馬番、ゲート番、馬名、騎手)
①13 アフステフィスカル V.レアル
②7 キャッペッザーノ R.フレンチ
③3 チュウワウィザード 戸崎圭太
④14 ギフツオブゴールド C.スミヨン
⑤1 グレイトスコット L.デットーリ
⑥2 ハイポセティカル M.バルザローナ
⑦9 ヘスースチーム J.ロザリオ
⑧12 マニークール W.ビュイック
⑨5 ミリタリーロー A.フレス
⑩6 ミスティックガイド L.サエス
⑪11 サルートザソルジャー A.デフリース
⑫10 スリーピーアイズトッド A.モレノ
⑬8 ザグレートコレクション P.コスグレイヴ
⑭4 タイトルレディ R.ムーア
※勝馬投票券は馬番で発売日本馬の評価
△チュウワウィザード
昨年のチャンピオンズカップの勝ち馬。帝王賞、JBCクラシックではクリソベリル、オメガパフュームといった壁を越えられずにいたが、左回りの1800mに舞台が変わって逆転した。過去3度のG1制覇は全て左回りだけに、左回りの2000mという舞台はいい。前走のサウジカップはスタートの失敗が尾を引いてしまっただけに、ゲートを五分に出られれば前進は可能。
外国馬の評価
◎ミスティックガイド
昨年の秋、米G2・ジムダンディSの勝ち馬だ。まだデビューから1年足らず、キャリアの浅さはあるものの、ジムダンディSではヘスースチームを交わし優勝。2走前の米G1・ジョッキークラブゴールドカップも出遅れながら先行し2着に踏ん張った。メイダンは出遅れが致命傷になる競馬場だけに、うまくゲートを切れれば勝ち負けを狙える。
○ヘスースチーム
例年ほど強力ではない米国勢のエースはこの馬か。出世の遅れた馬で、メインストリームに乗ったのは昨年3歳夏。コロナの影響で開催時期が遅くなった米G1・プリークネスSでスイススカイダイバーから10馬身離された3着。前走米ペガサスワールドCはG1・BCダートマイルで敗れたニックスゴーとの差を詰めて2着。そのニックスゴーがサウジカップで4着に敗れているだけに万全の信頼は置けないが、安定感のある1頭だ。
▲サルートザソルジャー
バーレーン所属馬ではあるものの、メイダンを中心に走っているため実質地元馬のような扱いでいいだろう。ここ2走はメイダンで行われるアル・マクトゥーム・ラウンド2、3を連勝してきている。ここ2回、アル・マクトゥーム・ラウンド3から臨んだサンダースノーが連覇していること、今年はアメリカ勢がそこまで強力ではないことを考えると、この馬の先行力は見逃せない。
プロフィール
佐藤ワタル - Wataru Sato
1990年山形県生まれ。アグネスフライトの日本ダービーを偶然テレビで観戦して以降、中学生、高校生、大学生と勉学に勤しむ時期を全て競馬に費やした競馬ライター。『365日競馬する』を目標に中央、地方、海外競馬の研究を重ねている。ジャンルを問わない知識は、一部関係者に『コンビニ』とまで評されている。早稲田大学競馬サークル『お馬の会』会長時代に学生競馬団体『うまカレ』を立ち上げたり、北海道の牧場などに足繁く通うなど、若手らしい行動力を武器に、今日も競馬を様々な角度から楽しみ尽くしている。現在はサラブレ、一口クラブ会報などでも執筆中。血統派で大の阪神ファン。甘党でもある。